【メルマガ】F.M.Letter No.204

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.204◇
  2020年10月31日(土)[和暦 長月十五日]
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◆ F.M.豆知識  食品ロス発生量の推移
◆ O.カレント  30・10運動
◆ ほんのさわり 滝沢秀一『やっぱり、このゴミは収集できません』
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 カレンダーは10月も末。10月は食品ロス削減月間、10月30日は食品ロス削減の日でした。今号では改めて食品ロスについて考えます。
 本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に、登録下さった読者の皆様に配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介していきます。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 https://food-mileage.jp/category/mame/

−食品ロス発生量の推移−

10月は食品ロス削減月間、10月30日は食品ロス削減の日でした。いずれも昨年10月に施行された「食品ロス削減推進法」で定められたものです。今や食品ロスの削減は、法律で定めなければならないほどの深刻かつ重要な問題なのです。
 リンク先の図204は、近年における日本の食品ロス発生量の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2020/10/204_loss.pdf

 2019年における食品廃棄物の量は2,550万トン(有価物や不可食部分も含む。)で、このうち、本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食品(食品ロス)の量は612万トンとなっています。
 これには、売れ残り、返品、食べ残し等が含まれています。

 また、食品ロスのうち、食品製造業や外食産業から発生している事業系が328万トン(54%)、家庭から発生している量が284万トン(46%)と、ほぼ半々となっています。
 これを2年前と比較すると、事業系は8.4%削減されているのに対し、家庭系は1.7%の削減に留まっています。

 食品ロス削減推進法では、世界には栄養不足の状態にある人々が多数存在する中、大量の食料を輸入しながら大量の食品ロスを発生させている日本にとって、食品ロスの削減は、とりわけ真摯に取り組むべき課題と規定されています。
 また、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)にも、世界全体の一人当たりの食料廃棄を半減させるとの目標が掲げられています。

 私たちが日々の生活の中で食品ロスの削減に取り組むことは、単に「もったいない」からだけではなく、世界の資源や環境に対する負荷を削減することにもつながるのです。

[資料]
 食品ロスとは(農林水産省HP)
 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html
 食品ロスの削減の推進に関する法律(消費者庁HP)
 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/promote/

◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
 食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックス等を紹介します。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 https://food-mileage.jp/category/pr/

−30・10運動−

出典:長野・松本市HPより。

食品ロス(食べ残し)が特に多いのが宴会や飲み会です。
 30・10(さんまる・いちまる)運動は、宴会等における食べ残しの量を削減するために長野・松本市で始まったとされ、今は全国に拡がっています。
 これは、宴会等では適量を注文することを前提に、乾杯後30分間は席を立たず料理を楽しむ、お開き前10分間は自分の席に戻って再び料理を楽しむことを推奨する運動です。

 幹事さんの呼びかけのタイミングや内容がポイントで、「乾杯の後の30分間と、お開き前の10分間は自分の席について料理を楽しみ、『もったいない』を心がけ、食品ロス削減の取り組みにご協力ください。それでは、乾杯のご発声を〜」といった例も示されています。

 これから忘年会や新年会など宴会等の機会が多くなる季節を迎えます。コロナの感染拡大にも留意しつつ、食べ残しの削減に努めたいと思います(自戒の念を込めて)。

[参考]
 残さず食べよう!30・10運動(松本市ホームページ)
 https://www.city.matsumoto.nagano.jp/shisei/kankyojoho/haikibutu/syokuhin_loss/3010unndou.html

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 https://food-mileage.jp/category/br/

−マシンガンズ滝沢秀一『やっぱり、このゴミは収集できません 〜ゴミ清掃員がやばい現場で考えたこと〜』(白夜書房、2020.9)−
 http://www.byakuya-shobo.co.jp/page.php?id=6413

著者は1976年東京生まれ。お笑い芸人として活躍しつつ、定収入を得るためにゴミ収集会社に就職したという「半ゴミ収集人・半芸人」。本書は2018年の前著の続編です。

 芸人らしく軽妙でぶっ飛んだ文体とイラストで著されているのは、ゴミ収集現場の過酷な現実です。時には得体の知れないゴミに身の危険さえ感じ、住民には「ゴミ屋」と差別されながらも、淡々とゴミを収集して回る日々が描かれています。

 8年間の清掃活動で気づいたことは多いそうです。
 例えば、超金持ちはゴミの量は少ないこと。自分が価値を認めたもの以外にはお金を使わないのに対して、一般庶民はどうせ捨ててもいいと思って安いものを買っているのです。また、きちんと分別をしない会社は6年以内になくなるとも。
 コロナ禍でマスクが入手できなくなったこと、ステイホームと断捨離でゴミの量が急増したこと等も描かれています。

 著者は、とりわけ食べ物のゴミには心が苦しくなるとのこと。
 可燃ゴミの袋に入れられたみそ汁や牛乳、生のお米、開封されていない高級ゼリーや丸ごと3つのメロン等を見るうち、自分はちゃんと食べきろうと心に決め、弁当を手作りするなど自らの生活習慣も変えていったそうです。

 ギニア出身の清掃員から「ナンデ、ニホンジン、ステルモノ、カウノ」と問われたこともあるという著者は、3R(Reduce、Reuse、Recycle)にRespectを加えた「4R」を提唱します。
 食べものを作った人や料理した人のこと、あるいは清掃員の大変さを想像するだけで、劇的にゴミは減ると著者は語っています。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
〇 市民研の相談会、雨の太田道灌の史跡めぐり[10/24]
 https://food-mileage.jp/2020/10/24/blog-285/

〇 久々の「箕と環」、ちよだスカイファームなど[10/26]
 https://food-mileage.jp/2020/10/26/blog-286/

〇 天覧山・多峯主山へ(悲しいオマケつき)[10/29]
 https://food-mileage.jp/2020/10/29/blog-287/

▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

〇 第5回「地域循環共生圏の形成と分散型エネルギーシステムの構築に向けて(仮題)」
 講師:和田篤也氏(環境省総合環境政策統括官)
 日時:2020年11月7日(土)14時〜15時30分
 場所:オンライン
 主催:(一社)市民セクター政策機構
   (特非)「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
 (詳細、問合せ等↓)
 http://jacses.org/700/

〇 奥沢ブッククラブ第61回 谷崎潤一郎『吉野葛』
 日時:11月9日(月)19:00〜21:00
 場所:オンライン
 主催:奥沢ブッククラブ
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/events/370888624058456

〇 連続講座「日本の市民科学者─その系譜を描く」
  第2回 反核・反原発と日本の科学者−高木仁三郎を主にして
 日時:2020年11月13日(金)19:00〜21:00
 場所:市民科学研究室事務所(東京・文京区湯島)及びオンライン
 主催:NPO法人市民科学研究室、白順社
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.shiminkagaku.org/csijseminar_citizenscientists_2020_2021/

〇 【第10回CSA研究会】世代、地域、立場を超えてCSAを語る
 日時:2020年11月15日(日)14:00〜16:30
 場所:オンライン
 主催:霞ヶ関ばたけ
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/events/383175772872989

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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
「ものを捨てる時は、感謝して手を合わせるようにね」
「えっ、そうなの?」
「廃棄(拝跪)物だけに」

 コツコツ小咄は拙ウェブサイトにも写真入りで掲載しています。
 https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.205は11月15日(日)[和暦 神無月朔日、一粒万倍日]に配信予定です。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
 いつもありがとうございます。
  https://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也

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