◇フード・マイレージ資料室 通信 No.219◇
2021年6月10日(木)[和暦 皐月朔日]
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◆ F.M.豆知識 日本の漁獲量の推移と新たな不漁
◆ O.カレント 食と農の市民談話会
◆ ほんのさわり 濱田武士『魚と日本人−食と職の経済学』
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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和暦では皐月に入り、カレンダーは6月半ばへ。関東では梅雨入りもないまま、猛暑の日々が始まりました。今日は「時の記念日」だそうです。
本メルマガは、時の流れを体感するため和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に、登録下さった皆様に配信しています。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/mame/
−日本の漁獲量の推移と新たな不漁−

魚は自然資源であるため、漁獲量は海洋環境等によって大きく変動します。ところが近年のサケ、イカ、サンマの3魚種のように、これまでにもあった短期的な不漁とは異なる状況が生まれています。
リンク先の図219は、日本の漁獲量全体及び3魚種の漁獲量の推移を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/06/219_gyokaku.pdf
日本の漁業量は、資源量の変動に加え、200海里時代の到来による遠洋漁業からの撤退もあり、1980年代後半の約 1,100 万トンをピークに減少傾向で推移しています。
さらに近年、3魚種については特に大きく漁獲量が減少しており、過去のピーク時と比較すると、さけ類については20%、さんまは8%、するめいかは7%の水準にまで落ち込んでいるのです。
このような状況を受けて水産庁は「不漁問題に関する検討会」を開催し、先日、そのとりまとめが公表されました。
これによると、3魚種の不漁は地球温暖化などに起因する資源変動によるもので、今後、長期に継続する可能性があるとし、世界的な環境対策や新たな資源管理への取組みが必要としています。
[資料]
農林水産省『漁業・養殖業生産統計』
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kaimen_gyosei/
水産庁ホームページ「不漁問題に関する検討会」
https://www.jfa.maff.go.jp/j/study/furyou_kenntokai.html
◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/pr/
−食と農の市民談話会(NPO市民科学研究室 主催)−
https://www.shiminkagaku.org/agrifoodmeetings/

前号でも案内しましたが、スタートした「食農市民談話会」を改めて紹介します。
日本の食や一次産業が抱えている様々な課題を「自分ゴト」とするための談話会で、月1回、6回にわたりオンライン開催します。企画と進行は中田が担当しています。
去る6月 8日(火)には、小谷あゆみさん(農業ジャーナリスト、ベジアナ)から、「1億農ライフ〜都市のわたし達による食の革命」と題して、興味深く楽しくてパワフルな話題提供を頂き、参加者間での対話も盛り上がりました。
今後のスケジュールは以下の通りです。各回ごとに参加申し込み可能、終了した会の動画を視聴することもできます(500円/回)。
第2回 7月13日(火)19〜21時
「私が帰還困難区域で牛を飼う理由」(仮題)
谷さつきさん(もーもーガーデン、(一社)ふるさとと心を守る友の会、福島・大熊町)
第3回 8月10日(火)19〜21時
「現場から見える日本の食、農の課題」(仮題)
榊田みどりさん(農業ジャーナリスト)
第4回 9月7日(火)19〜21時
「市民協働による関係人口づくりを通じた持続可能な社会づくり」(仮題)
大和田順子さん(同志社大学ソーシャル・イノベーションコース教授)
第5回 10月5日(火)19〜21時
「私がお寿司に巻き込んでいるもの」(仮題)
八幡名子さん(巻き寿司やさん、東京・八王子)
第6回 11月 9日(火)19〜21時
「食と資本主義の歴史ー人も自然も壊さない経済とは?」(仮題)
平賀 緑さん(京都橘大学准教授)
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/
−濱田武士『魚と日本人−食と職の経済学』(2016/10、岩波新書)−
https://www.iwanami.co.jp/book/b266373.html

著者は1969年大阪府生まれ。北海道大学大学院(漁業経済学)を修了し、東京海洋大学准教授を経て現在は北海学園大学経済学部教授。
本書は、近所にあった鮮魚店が閉店したことに「まちの暮らしの楽しみが一つ消えた」と著者が嘆く場面から始まります。顕著な「魚離れ」(消費量の減)という「食べる人たち」の現実。日本独自の文化である「魚食」が廃れつつあるのです。
著者の視点は、消費の現場から順番に上流(生産の現場)に向かっていきます。
「生活者に売る人たち」(鮮魚店や料理人)、「消費地で卸す人たち」(仲買人やセリ人)、「産地で捌く人たち」(荷受人や加工業者)、そして「漁る人たち」(漁師)。
日本独自の豊かな魚食文化は、多くの職人たち(著者は「魚職」と呼びます。)に支えられてきたことが明らかにされます。
そして現在、市場経済や効率主義が蔓延することで、命がけで漁をしている人への敬意は薄らぎ、魚職たちの「誇り」も傷つけられているのです。
著者は「魚食と魚職の復権」「魚を取り扱う人たちのネットワークの再生」を提言します。
「食は職が支えている」こと、人が人を頼りにしていることを再認識し、他者に敬意を払うことを大切にすること。魚食と魚職を考えることは、効率化に囚われ過ぎている日本経済を再び豊かにするきっかけになるとしています。
◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。
▼ 【記事掲載】日本経済新聞(5月22日(土)付け)で拙著を紹介して下さいました。
https://food-mileage.jp/2021/05/24/210522_nikkei/
▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
〇 オンライン講座など(大事なことを忘れないように)、付・日経新聞[5/26]
https://food-mileage.jp/2021/05/26/blog-317/
〇 ガザ停戦の陰で[5/31]
https://food-mileage.jp/2021/05/31/blog-318/
〇 「食と農の市民談話会」始まります(6/8〜、全6回)。[6/5]
https://food-mileage.jp/2021/06/05/blog-319/
▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。
〇 大江正章さん追悼オンライン・シンポジウム
:地域主義とコモンズ−農と自治、アジアを結んで
日時:6月13日(日)15:00 〜18:15
場所:オンライン
主催:NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)
(詳細、問合せ等↓)
http://www.parc-jp.org/freeschool/event/210613.html
〇 奥沢ブッククラブ第68回 大江健三郎『飼育』
日時:6月14日(月)19:00〜21:00
場所:オンライン
主催:奥沢ブッククラブ
(詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/4079261675488139
〇 高校生未来サミット2021もーもー
日時:6月19日(土)9:30 〜11:45
場所:オンライン
主催:もーもーガーデン by(社)ふるさとと心を守る友の会
(詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/478060833555897
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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
「華やかな食卓になったね」
「ほんと、華麗(カレイ)ね」
この日の夕食は、JF但馬漁協(兵庫・香美町)からお取り寄せしたエテカレイの旨干しを頂きました。熟成した魚醤の深い味わいでした!
コツコツ小咄は拙ウェブサイトにも写真入りで掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号No.220は6月24日(水)[和暦 皐月十五日]に配信予定です。
より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
https://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
発行者:中田哲也
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