【メルマガ】F.M.Letter No.251

(ウェブ掲載にはタイムラグがありますので、よろしかったら以下から登録(無料)して頂ければ幸いです。)
 https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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◇フード・マイレージ資料室 通信 No.251◇
 2022年9月26日(月)[和暦 長月朔日]
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◆ F.M.豆知識  日本食と死亡リスクとの関連
◆ O.カレント  第4次 食育推進基本計画
◆ ほんのさわり 長野路代、佐藤弘『ながのばあちゃんの食術指南』
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 和暦は長月に。連続して台風が通過し、秋の気配が強まってきました。ロシアでは動員令に国民が反発しているとのニュース。
 今号は和食、伝統食の特集です。
 本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に、登録して下さっている皆様に配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/mame/

−日本食と死亡リスクとの関連−

戦後、日本人の食生活パターンは急速かつ大幅に洋風化が進みましたが(米の消費量の4割への減、畜産物・油脂等の3〜4倍の増加)、一方で、日本食は健康面でも優れていることも知られています。
 (国研)国立がん研究センターは、全国11地点の男女約9万人について食事アンケート調査を実施し、約19年にわたって追跡調査(多目的コホート研究)を行いました。

リンク先のグラフは、この研究結果から作成したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/09/251_washoku.pdf

左のグラフは、8項目の食品の摂取量をもとに日本食パターンについてスコア化し、「低い」〜「高い」の4グループに分類して全死亡リスクとの関連を示したものです。これによると、日本食パターンのスコアが高いグループほど、死亡リスクが小さくなっていることが分かります。
 また、右のグラフからは、海草、漬物、緑黄色野菜、魚介類、緑茶など日本の伝統的な食品の摂取量が多いグループは、少ないグループに対して死亡リスクが明らかに小さくなっていることが読み取れます。

この研究結果は、食習慣がその後の健康に大きく影響すること、日本人の伝統的な食事パターンは死亡リスクを軽減するという面で優れていることを証明しています。

資料:国立研究開発法人 国立がん研究センター「日本食パターンと死亡リスクとの関連(多目的コホート研究)」(2020.7)を基に筆者作成。
 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8499.html

◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
 食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/pr/

−第4次 食育推進基本計画−

写真:農林水産省「第4次食育推進基本計画 啓発リーフレット」より。

食育推進基本計画は、食育基本法 (2005年)に基づいて5年ごとに作成されています。
 昨(2021)年3月に公表された第4次計画 (2021〜26年度が対象)では、学校給食での地場産物を活用した取組等の増加(栄養教諭による指導:現状9.1回→目標12回以上)、産地や生産者を意識して農林水産物・食品を選ぶ国民を増やす(73.5%→80%以上)、環境に配慮した農林水産物・食品を選ぶ国民の増加(67.1% →75%以上)など16の目標が定められるとともに、新たに以下の3つの重点事項が明記されています。
  [1] 生涯を通じた心身の健康を支える食育の推進
  [2] 持続可能な食を支える食育の推進
  [3] 「新たな日常」やデジタル化に対応した食育の推進

これらのうち 2 については、食と環境の調和 (有機農業等に対する国民の理解増進、食品ロスkの削減等)、農林水産業・農山漁村を支える多様な主体とのつながりの深化 (農林漁業体験活動、地産地消、生産者と消費者との交流促進等)のほか、地域の風土・伝統を活かした和食文化の保護・継承が掲げられています。
 和食や日本型食生活の重要性については、食育の観点からも改めて重視されているのです。

(参考)第4次 食育推進基本計画
 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kannrennhou.html

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/br/

−長野路代、佐藤 弘『ながのばあちゃんの食育指南』(2015年8月、西日本新聞社)−
 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/199107/

長野路代さんは1930年、福岡・飯塚市の農家に生まれました。
 終戦後まもなく母親が急逝し、一家の料理作りを十代で担うことに。ところが当時は農家であっても供出等により一握りの米もなく、一日の重労働(農業)を終えて帰ってきた父親が、ドロドロに炊いたサツマイモ等を黙って食べる姿が、涙で見えなかったとのこと。
 その体験から、長野さんは、身近にあるもので工夫をして豊かな食卓を作ることを心がけるようになったそうです。

60代の時に、地域の女性たちと農産加工グループ「野乃実会」結成し、農家の女性の知恵と技を「商品化」する取組みを始められました。地域の食材を使ったゆず胡椒、赤こうじなど野々実会の加工品は、ホームページからも購入することもできます。

共著者の佐藤 弘さん(西日本新聞社編集委員(執筆時))は、長野さんにとって料理とは、「家族の健康と生活を守るために紡いできた技の積み重ね」であり、「人生に対して」真摯に向き合い、前を向いて生きて来たからこその果実」であるとしています。

食料自給率の向上や循環型社会の形成といった国家的な課題も、このような方たちによる地域における実践があって、初めて達成できるのです。

(参考)野々実会HP
 https://nonomikai-uchino.jimdofree.com/

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
 ○ ささやかな体験(地下鉄と、はとバス)[9/17]
 https://food-mileage.jp/2022/09/17/blog-393/

○ 持続可能な食を考える(NPOエコラボ学習会)[9/10]
 https://food-mileage.jp/2022/09/18/blog-394/

○ 福岡のうまいもん、野々実会(飯塚市)[9/10]
 https://food-mileage.jp/2022/09/25/blog-395/

▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 上映会「たねと私の旅」&島村菜津さん講演会
 日時:9月13日(火)13:00〜14:30
 場所:日の出町役場-やまびこホール(東京・日の出町)
 主催:まち あきるの 多摩きた生活クラブ生協
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/events/1072475190072817

 ○ 労働者協同組合法 法制化記念フォーラム in 町田
 コミュニティの元気を生み出す新しい働きかた(東京都町田市)
 日時:9月29日(木)18:00〜20:00
 場所:ぽっぽ町田(東京・町田市原町田4)
 主催:労働者協同組合法法制化フォーラム in 町田 実行委員会
 (詳細、問合せ等↓)
 https://santama.roukyou.gr.jp/info/844/

 ○ 奥沢ブッククラブ第83回 横溝正史「犬神家の一族」
 日時:10月10日(月)19:00〜21:00
 場所:オンライン
 主催:奥沢ブッククラブ
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/events/831886324926347

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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
 ウクライナの戦火がやむまでお休み中です(再開が待たれます)。
 過去のバックナンバーは拙ウェブサイトに写真入りで掲載しています。
 https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.252は10月10日(月)[和暦 長月十五日]に配信予定です。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
 https://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
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 ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」
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