【ブログ】「ふっふっふ」の大豆収穫ボランティア(埼玉・ときがわ町)

2023年12月2日(土)も快晴。埼玉・ときがわ町での大豆収穫ボランティアに参加させて頂きました。
 東武東上線・武蔵嵐山駅前9時49分発のバスは、紅葉の街歩きイベントでもあるのか超混雑。乗り切れなかった人もいたようです。
 10時過ぎ、ときがわ町役場本庁舎で下車。同乗しておられた方に現地まで案内して頂きました。

 大塚農園は、地大豆等にこだわるとうふ工房わたなべのすぐ裏です。
 主催者の大塚洋一郎さん(NPO農商工連携サポートセンター代表理事)達が待っていて下さいました。

畑に移動し、まずは自己紹介。この日の参加者は大塚さんを含めて9名(うち女性が6名)で、それぞれ大塚さんとつながりのある方ばかり。
 この大豆畑でのボランティアは何度目かという方、長野県で農地を取得して農業を始められるという方、二地域居住・半農半Xを目指しているデザイナーの方など。兵庫、群馬からの参加者の方も。

 私は千代田区を中心に活動されていた大塚さんのイベント(ちよだいちば、ビルの屋上にあるスカイファーム等)に何度か参加し、2020年9月には西伊豆町へのツアーにも参加させて頂きました。
 東京の消費者と地方・農村の生産者等を結びつける大塚さんの取組みには、大いに感服し、楽しませて頂いていたのですが、その大塚さんが(私の印象としては)突然、ときがわ町に活動の拠点を移し、自ら農業を始められたのです。
 ときがわ町に移られてからの大塚さんにお会いするのは、この日が初めてでした。

作業に先立ち「石神様」に手を合わせます。
 この畑は元々湿地だったそうで、水はけを良くするために水路を掘った時、最後まで残っていた大ぶりの石を取り除くと水が流れるようになったとのこと。その石を「石神様」として、畑の脇に祀っておられるのだそうです。

 少し離れたところに停めてある大塚さんの軽トラ(農家の必需品!)まで用具を取りに行き、まずは大豆を干す「はさ」の組み立て。
 アルミ製で軽く丈夫そうで、組み立ても簡単です。ホームセンターで扱っているとのこと。

大塚さんが畑に入って、収穫方法などを説明して下さいます。
 今年は猛暑に加えて開花期に一回しか雨が降らず、サヤは着いてもなかなか実が入らなかったそうです。10月に入ってから雨が降り始め、ようやく実が入ってきたものの、収穫量は昨年の2割くらいではないか、とのことです。
 今年は全国的に、農業にとっては受難の年だったようです(来年以降も気候変動の影響が懸念されます)。

 品種は青山在来(隣接する小川町の在来種)で、地面のギリギリまでサヤが着いているのが特徴とのこと。地面ギリギリのところで鎌かハサミで切って収穫します。
 根の根粒菌も見せてくれました。マメ科植物の根に共生し、窒素を固定して肥料分を供給するる役割があるそうです。

大豆畑は全部で5枚あって(なかなかの面積です)、この日は3枚目の途中まで収穫するのが目標とのこと。なお、翌日は家族連れの体験を受け入れるそうです。

 10時45分頃から思い思いに畑に入り、収穫作業スタート。
 大豆の茎は思いのほか太くて硬く、鎌もハサミも、ちょっとコツが要ります。確かに地面ギリギリまでサヤが着いています。
 中には、まだ青いままのサヤも。実の入りは今イチのようです。葉も緑色が残っていて、完全に枯れ切ってはいません。まだ気温も高く、これから実が入るのかもしれませんが、この後に小麦の作付けを予定しているので刈り取ってしまうことにしたのだそうです。

 12月に入ったというのに暖かく、汗ばむほどです。
 30分ほどで最初の休憩。12月とはいえ熱中症にならないよう(大塚さんは経験があるとのこと)、しっかりと水分を取るようにとのアドバイスも。

 刈り取った大豆は、4本ずつを目安にひもで縛っていきます。
 2番目の畑の刈り取りを始めたところで12時を過ぎ、午前中の作業は終了。

車に分乗して Cafe TAO に移動。明るい空間です。ときがわ町には、移住してきた方等によるお洒落なカフェが何軒もあるそうです。
 昼食にお弁当を準備して下さっていました。地元の野菜や豆腐をふんだんに使った手作りのお弁当は、優しい味でした。

 大塚さんからの差し入れのコーヒーを頂きながら、歓談が続きます。
 農商工連携のサポートに取り組んて来られた大塚さんですが、やがてご自身で生産することの楽しさに目覚めたとのこと。地元の農家の方の指導を受けて、現在は10aほどの土地で小麦と大豆を中心に栽培されているそうです。
 小麦は地元の製粉会社で製粉し、ピザやスコーンにして食事会等を開催しているとのこと。味噌作りイベントも。多くの人との交流活動は、さらに深化しているようです。

 NPOの事務所もこの地に移転し、ご自身も移住されたという大塚さんは、
 「食べるものを自ら生産するのは人間の本能ではないか。農業は成果が目に見えるので励みにもなる。背筋など身体も丈夫になった。自分で作り、それを多くの人に食べてもらうことの喜びは何にも代えられない。ふっふっふ」と、笑いながら話して下さいました。

ついつい話が楽しく、畑に戻ったのは14時近く。早くも太陽は傾き始めています。
 作業を再開。1番目の畑はようやく終わりが見えてきましたが、はさはすでに一杯です。

 2番目の畑は日当たりがあまり良くないとのことですが、1番目の畑より実の付きはいいようです。どんどん刈り、ひもで縛り、はさに掛けていきます。
 日が傾きつつある中、作業は自然にスピードアップ。午前中は話し声や笑い声もありましたが、この頃には、大豆が触れ合うカサカサという音しか聞こえなくなりました。

結局、ハサは2基では足りず、もう1基を追加することに。これもすぐに一杯になってしまい、予定していた3枚目の畑までは手が回りませんでした。

 ハサに掛けられた大豆の束を見て、大塚さんは「収穫ゼロを覚悟した時期もあったが、何とか収穫することができた」と、安堵しておられました。

掛けられた大豆でいっぱいになったハサの前で、記念撮影。大塚さんの発声で「エイ、エイ、オー」。この日収穫した大豆は、味噌作りイベント等で使う予定とのことです。
 15時20分。この日はこれで解散です。

 参加者の何人かは、とうふ工房わたなべに立ち寄りました。屋外で豆乳アイスクリームを食べる人など、この日も多くの来客で賑わっています。
 私は霜里木綿豆腐(小川町の青山在来大豆を使用)、蓮根がんも等を求めさせて頂きました。

注:集合写真は参加者のお一人からLINEで共有頂いたものです。

車で参加されていた方に、武蔵嵐山駅まで送って頂きました。15時53分発の川越特急に乗り、17時30分頃に帰宅。

 青空の下での心地よい作業、カサカサとした大豆の感触、美味しいお弁当など、忘れえない経験となりました。大塚さん、参加者の皆さま、大変お世話になり有難うございました。
 大塚さんの笑い声(「ふっふっふ」)が、しばらく耳の奥から消えそうにありません。