やはり2025年の猛暑は異常です。
玄関前に置いたプランタのハナモモの実はシワシワ、スダチの葉は丸まって実は全然着いていません。馬酔木はとうとう枯れ始めました。今年の春も目を楽しませてくれたのですが(右の写真)。
毎朝毎夕、水を撒いても「焼け石に」状態です。

8月2日(土)は東京・虎ノ門へ。久しぶりに霞ヶ関ばたけに参加しました。月1回程度、休日の朝に開催されている勉強会(食と学びとつながりの場)です。
主催者からの挨拶と説明に続き、30名強の参加者から一人ずつ自己紹介。今回も民間企業、大学生、公務員など様々な方が参加されています。この日は約半分の方が初参加のようです。

第215回霞ヶ関ばたけは、「Z世代農家の話を聞こう〜なぜ私は農を選んだのか〜」をテーマに、3名のゲストの方からお話を伺います(以下、文責・中田)。
1人目は和田ゆかりさん。
奈良・五條市出身で、大学・新社会人を県外で過ごした後に約9年ぶりにUターン。お父様が代表を務める(株)パンドラファームグループで商品企画・開発、産地交流企画等を担当されている方。
農業生産は柿と梅がメインで、樹園畑の多くは急斜面にあるため人力が必要とのこと。生産物は無駄にしないために加工やレストラン経営、柿のオーナー制度や都心での催事出典等にも積極的に取り組んでおられるそうです。
詳細なパンフレットも配布して下さいました。後日、ウェブサイトも拝見しましたが充実しています。

2人目は、槙 紗加 (まき さやか)さん。
神奈川・相模原市出身で、大学卒業後小田原に移住し、2年間農家で研修を受けた後に2023年にはれやか農園を立ち上げられたという方。レモン、湘南ゴールド等のかんきつ類、キウイフルーツなどを生産し、ECサイトやオンライン、マルシェ等で販売されているとのこと。子どもたちの農業体験にも取り組んでいきたいと話されました。

3人目は相田直人さん。
東京・調布出身。大学卒業後、都内の農園や青果店などで修行したのち、2024年、実家の経営を継承するかたちで認定新規就農者として独立し、2024年12月に(株)TOKYO NOKAを設立。
「野菜を売らない農家」をキャッチフレーズに、農そのものの価値を提案するための田んぼ体験事業等に取り組んでいるとのこと。社会全体のウェルビーイングの向上に貢献していきたいと、力強く語られました。

後半はトークセッション。
最初のテーマ「Z世代農家とはどんな存在?」について、相田さんは「若いことは特権」。槙さんも「地域でも注目され、機械を貸してくれるなど甘えさせてもらっている」。和田さんからは「私の会社でも20歳代は少ない。農家の平均年齢は70代」等の回答。
「作り手として思う、感じる、考えること」としては、槙さん「以前は畑に足を踏み入れたことはなく、農家の知り合いもいなかったが、農家で研修することで、自分の食べ物がこのようにつくられていることを知って感謝の気持ちがわいてきた。農家とのつながりを持ってほしい。ぜひ、私の農園にも遊びに来てほしい。消費者が農家と直接つながることが重要」等の回答。
和田さんからは「柿を間引きする作業等を通じて、農業には手がかかっていることを実感した。流通にも人手がかかっている」。
相田さんは「農業は孤独な作業で、虫たちに出会えると心が癒される。生き物や自然に意識が向くようになった」等の回答。
「自分は〇〇的農家?」との質問には、相田さんは端的に「野菜を売らない農家」。
和田さんは「伝道師になりたい」。槙さんは「観光業的農家。初めて畑に足を踏み入れた時の感動を伝えていきたい。気軽に遊びに来てもらって、農業の魅力を知ってもらいたい」との回答。
最後の「好きな野菜、果物は」との質問には、相田さんは「まず、米が大好き。夏の農作業には紫蘇ジュースが最高で、近くインスタグラムに作り方をアップする」。
和田さんは「たねなし柿」、槙さんは「不知火」等とのお答えでした。

引き続き、会場同士で(3名ほどのグループごとに)意見交換。農業に関心をもって活動されている学生さんの話に引き付けられました。
さらに参加者とゲストとの間で質疑応答・意見交換。
他にも選択肢はあったと思われるなか最終的に農業を選んだ理由は、との質問には、
和田さん「故郷で高校まで暮らしていたが、人口が減り、スーパーがなくなり、学校が統廃合されるのを見てきた。地元に戻りたいと思ったのがいちばんの動機」。
槙さんからは「教育に関心があり、内定ももらってインターンをしていたが、偶然、友人に農家に連れて行ってもらって、農業なら、社会課題解決のために自ら新規事業を起こせるのではと思った」との回答。
相田さんは「就活もしたが、あまりやりたいと思うことが見つからず、自分にできることは何かと考えているうち、人をつないでいくことではと思い立った。その頃に見た新規就農者の新聞記事にも触発された」等の回答でした。
農業をより身近に感じてもらうためにはどうすればいいか、との質問には、
槙さん「まずは知り合いを作ること。関係人口を増やすため、自分もSNS等での発信を続けている。遊びに来てくれる方をオープンに受け入れたい」。
和田さん「今回の米騒動で、米は当たり前にある訳ではないということを多くの人は知ったのではないか。私の場合、小学生の同級生28名のうち20名が柿農家であり、農業が当たり前の環境だった。体験だけでもきっかけになるのでは」等の回答。
相田さんは「発信が重要。自分の世代でも、今は農業・農家は格好いいと思われている」と答えられました。

トークの途中では、和田さんが、たねなし柿のドライフルーツを配って下さいました。すっきりとした甘さ、これもネットショップで購入できるようです。
最後には、いつも通り高田有菜さんによるグラフィック・レコーディングが披露されました。3名のゲストの似顔絵も、ほのぼのとしたタッチです。
個人的に「食と農の間の距離」を縮めるためのフォーラムなどを開催しつつも、消費者の多くには農業や農村の危機的な状況はしょせんは伝わらないのかと悲観的な思いを断ち切れない私にとって、非常に刺激的にイベントでした。
3名の「Z世代」の方たちの、柔軟で、楽しそうな、未来を信じている姿には、大いに勇気づけられました。情報発信を続けていくことの大切さにも、改めて確認できました。このような方たちがおられるなら、日本の農業はまだまだ大丈夫かなと、確信できたイベントでした。
ゲストの3名の方、意見交換させて頂いた参加者の皆さん、主催者の皆様、有難うございました。
なお、次回(216回)の霞ヶ関ばたけは、8月23日(土)に開催予定とのことです。
自炊料理家・山口祐加さんから「”じぶん”と”社会”に向き合うための自炊」と題してお話を頂く予定です。多くの方に、食や農について関心を持っていただければと思います。
(ご参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
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https://www.mag2.com/m/0001579997
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