【ブログ】食べることの むかし、いま、そしてこれから(藤原辰史先生講演会@埼玉・小川町)

年度途中の11月から借りられることとなった自宅近くの市民農園の一画、旅行前にあわてて苗を植えて種をまいたのですが、発芽はしているものの、さすがに育つかどうか不安です。
 しかも、長い時間が住宅の日陰になってしまうという区画。

2025年11月29日(土)は、久しぶりに埼玉・小川町へ(ブログによると新年会以来です)。歴史学者・藤原辰史先生の講演会の開催日です。

かねてお世話になっている高橋優子さん(NPOつばさ游)と、駅近くにある日替わりシェフのレストラン・ベりカフェで待ち合わせてランチ。
 この日も地元産のたっぷりの野菜(お代わりできます)、三元豚のチーズハンバーグなどを美味しく頂きました。ご馳走様でした。 

高橋さんに案内して頂き、小川和紙(ユネスコ無形文化遺産)のお店などを覗きつつ、講演会場の小川町立図書館へ。

 2001年にオープン。
 書棚は山並みをかたどって直線的ではなく、内装のあちらこちらに小川和紙が使われています。紙芝居等の読み聞かせができる「お話室」、飲食可能な屋外テラス席もある素敵な図書館です。

14時30分、「食べることの むかし、いま、そしてこれから」と題する講演会がスタート。
 定員の130人の視聴覚ホールはほぼ満席です。藤原先生の講演をお聴きするのは本年4月18日以来です。

冒頭、主催者・桑原衛さん(ぶくぶく農園NPOふうど代表)からの開会挨拶(以下、文責・中田)。
 「藤原先生に小川町まで来て頂き感謝。小川町には有機農業、半農半Xというライフスタイルを目指す新規就農者も多いが、農業の将来には不安もあり、農業経営体数は大きく減少している。可能性と課題が拮抗している状況。現在の日本の食料や農業が、歴史上、どのような位置にあるかについて講演を聞き、皆さんと共有したい」等の挨拶。

 藤原先生がマイクを取られました。
 多くの著作がある藤原先生、韓国でも翻訳されるなど、世界的に食と農、生き方への関心が高まっているそうです。
 「歴史は未来を考えるヒントになる」とも。

私たちの胃袋の『いま』は、グローバルな食権力(food power)に支配されているそうです。
 食料は、軍事力、石油と並んで世界を支配するための力であり、世界でも家庭(笑)でも胃袋をつかまれたら終わりとのこと。飢餓と差別は「双子の暴力」とも。

そして、「いきなり結論」として、以下のように述べられました。
 1 グローバルな食権力から独立した食と農の自立を考える。
 2 それは「食料安全保障」というナショナル(日本人中心的)な枠組みにおさまらない。
 3. 自分たちのものは自分たちで食べる(作る?)。ローカル的規模の拠点としての「物質循環」と「自給」。

食権力(food power)とはアメリカの国際政治学者・キッシンジャーの言葉であること、穀物王朝とも呼ばれる「メジャー」が世界の穀物を支配してきていること。
 また、ナチスとの関わり、人の命よりも儲けを重視してきたこと等、歴史的な経緯について説明されました。
 現在のイスラエルがガザを封鎖し、パレスチナ人から土地や水を奪っているのも、典型的な食権力の行使であるとも。

そして、食権力に対抗する方策として、フードバンクや学校給食、食を重視する診療所等
についての具体的な事例を紹介して下さいました。
 この日午前中に視察されたというNPOふうどのバイオガスプラント等についても。

そして流通段階が少数の大企業に支配されている「砂時計」に、穴をあけることの重要性を強調されました。

会場参加者との間での質疑応答・意見交換のなかでは、これまで学生など若い世代に失望したことはないこと、若い世代の価値観も変わってきていること、ワーカーズコープに代表されるゆるやかな連帯が世界的に注目されていること等について説明がありました。
 最後に、「ここ10年で社会は大きく変動すると思っている。楽観的と批判されるかも知れないが」と語られました。藤原先生の力強い言葉が実現することを心から期待したいと思いました。

終了後、交流会の会場に向かう途中、偶然会った知人(拙メルマガを読んで来て下さったようです。感謝)と地ビールで予行演習。ドイツ等で飲んだビールより美味しいような。

 駅近くのカフェ・たゆたふで開催された交流会にも、多くの方が参加されました。
 隣町の農業者・Iさん(積極的に農業体験の受け入れ等を行っておられるそうです)の音頭で乾杯。
 地元の野菜などの食材、日本酒などがたっぷり。

京都のNPO法人木野環境の方は、田んぼの除草にも活躍した合鴨の肉を提供して下さいました。有難く頂きました。
 引き続き、参加者との間で意見交換。藤原先生も本音で語って下さいました。このような食事を伴った、対面での交流会は貴重な機会です。
 主催者、関係者の皆様、有難うございました。ご馳走様でした。

会場で藤原先生のご新著『生類の思想-体液をめぐって』を求めさせて頂き、サインも頂きました。有難うございます。
 もう1冊のご新著『食権力の現代史-ナチス「飢餓計画」とその水脈』と併せて拝読したいと思っています。

(ご参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
 https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」
 https://www.mag2.com/m/0001579997
フェイスブック「フード・マイレージ資料室(分室)」
 https://www.facebook.com/foodmileage