【メルマガ】F.M.Letter No.335-pray for peace.

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.335◇
 2026年2月17日(火)[和暦 睦月朔日]
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◆ F.M.豆知識  日本-アメリカ間の農林水産物貿易の推移
◆ O.カレント  ララ物資とは
◆ ほんのさわり 杉本鉞子『武士の娘』
◆ 情報ひろば  第8回 食と農の未来フォーラムの開催について
         (本日19時~)
         ブログ更新、イベント情報等
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 和暦でも新しい年を迎えました。国内政治情勢には大きな変化がありましたが、どのような一年になるのでしょうか。
 本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)にコツコツと配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータ等をコツコツと紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/mame/

-日本-アメリカ間の農林水産物貿易の推移-

【ポイント】
 日本-アメリカ間の農林水産物貿易は日本の大幅な入超が続いていますが、いわゆる日本食ブームもあり、近年は日本からアメリカヘの輸出も増加しています。

日本にとってアメリカ合衆国は、外交、経済、安全保障など広い分野で最も重要・緊密な関係を有しています。
 日米関係は1854年の「日米和親条約」の締結に始まり、1941~45年には太平洋戦争を戦い、戦後は自動車等のアメリカへの輸出を通じて日本は復興と高度経済成長を遂げました。一方、農林水産物貿易については、一貫して日本の輸入超過の状況が続いています。
 リンク先の図335は、2000年以降の日本-アメリカ間の農林水産物貿易の推移を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2026/02/335_nichibei.pdf

日本の輸入超過額(輸入額-輸出額)は、年による変動はあるものの、おおむね1.5~2兆円で推移しており、一貫して輸入超過の状況が継続しています。
 そのようななか、2020年代に入ってからは、日本からアメリカへの農林水産物の輸出額が徐々に増加していることが分かります。輸入額に対する輸出額の割合(折れ線グラフ)をみると、おおむね3~4%で推移していたのが2010年代半ばには5%を超え、2024年には10.9%にまで上昇しています。
 ちなみに日本のアメリカからの輸入額が大きい品目はとうもろこし(飼料原料)、大豆(油脂原料)、牛肉、豚肉等で、日本からアメリカへの輸出額の大きい品目はアルコール飲料、ぶり、ほたて貝、緑茶等となっています。

日本側の大幅な入超には変わりはないとはいえ、近年のいわゆる日本食ブームもあり、日米間の農林水産物貿易の構造には従来とは異なる兆しが現れつつあります。

[データの出典]
農林水産省「農林水産物輸出入概況」から作成
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kokusai/joho_gaikyo.html

◆ オーシャン・カレント
 食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/pr/

-ララ物資とは-

【ポイント】
 飢餓に苦しむ終戦直後の日本を救ったのは、民間団体・LARAを含む連合国からの救援物資であり、これらには日系人移民も深くかかわっていました。

画像は昭和館HPより。

ララ(LARA)とは、1946年にアメリカで発足した民間の援助組織であるアジア救済公認団体(Licensed Agencies for Relief in Asia)のことで、宗派を超えた宗教団体や社会事業団体など13の民間団体で構成されていました。
 終戦直後の日本では、食料等の欠乏から多くの餓死者や戦争孤児が発生するなか、連合国から様々な援助を受けていましたが、1946年11月には最初のララ救援物資を載せた船が横浜に到着しました。
 救援物資は食料(全体の8割近く)、衣料、医薬品、靴、雑貨等からなり、全国の1400万人の日本人に届けられたと伝えられています。1947年にはララ救援物資による学校給食も開始されました。
 ララの母体となったのが、日系人が中心になって設立した「日本難民救済会」です。戦争中は「敵性国民」として強制収容されていた日系人たちが祖国の窮状を救おうと支援団体を設立し、ララ救援物資の約2割はアメリカをはじめとする日系人コミュニティが集めたものとされています。

 なお、戦後のアメリカからの食料援助については(特に1954年からのPL(公法)480に基づくものは)、アメリカの穀物余剰の解消と日本人の食生活を変えさせるための謀略であったとの言説も広く存在しますが、一方で戦後の食料難の時代にアメリカからの支援は不可欠であったことも歴史的事実です。

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/

-杉本鉞子『武士の娘』([新訳]2016.3、PHP研究所)
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-82778-0

【ポイント】
 日系人移民排斥運動が広る第二次世界大戦前のアメリカにおいて、杉本鉞子が英文で発表した『武士の娘』は、戦中戦後の日米間の相互理解等に大きく貢献しました。

杉本鉞子(えつこ)は1873(明治6)年、旧越後・長岡藩(現在の新潟・長岡市)の筆頭家老の娘として生まれました。幼少時代は厳格な武家の教育を受け、1898(明治31)年、25歳の時に結婚のために渡米します。
 当時のアメリカでは日系人移民が増加し、日系人コミュニティも形成されつつありましたが、一方、現地では日系人に対する差別や排斥運動が広がりつつありました。1924年には排日移民法が制定され、太平洋戦争が始まった後には約12万人の日系人が強制収容されました。
 このような時代背景のなか、アメリカで杉本鉞子が英文で発表したのが『武士の娘』です。これは、アメリカとは異なる日本の伝統的な文化や習慣、日本人の行動様式や心情等を紹介した自伝的小説で、7か国語にも翻訳されてベストセラーになり、戦中戦後の日米間の相互理解等に大きく貢献しました。

今回の衆院選では「日本人ファースト」等と声高に叫ぶ政党が躍進し、「外国人」問題のみならず夫婦別姓問題など、ますます多様性が軽視される風潮が広がることが危惧されています。
 鉞子は、本書の中で、「東も西も人の心は同じ」だとしつつ、船の往来(貿易、経済)ばかり活発になっても「いまだに心を通じ合わせてはいません」と記しています。互いへの思いやりがないと真の理解は生まれないと、鉞子は訴えているのです。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届けします。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
〇 レストランで食べる福島産の牛肉(CSまちデザイン市民講座)[1/31]
https://food-mileage.jp/2026/01/31/blog-621/

〇 「限界を迎える限界集落-消えつつある自給自足の農と里山暮らし」(第7回 食と農の未来フォーラム)[2/6]
https://food-mileage.jp/2026/02/06/blog-622/

〇 五感が喜ぶアートと食のマリアージュ ~福島・浜通りの魅力を探る~(東京・赤坂)[2/11]
https://food-mileage.jp/2026/02/11/blog-623/

▼ 第8回 食と農の未来フォーラムの開催について
・日時 2026年2月17日(火)19時~21時【本日夕方】
・テーマ「「日本人ファースト」って?『武士の娘』から考える」(仮題)
・ゲスト 釘島浩子さん
・開催方式等 オンライン(zoomを利用)
  チケットを申し込んで下さった方には、終了後、アーカイブを配信予定。
・参加費 1000円(ゲストの方へのカンパに充てさせていただきます)。

 杉本鉞子『武士の娘』の内容、時代背景等について釘島浩子さん(異文化交流研究家)からお話を頂き、これからの誰もが生きやすい社会のあり方について考えます。
 こういう時代だからこそ、多くの方と意見交換できればと思います。ご関心のある方は以下からお申込み下さい。(本日19時まで申し込み可能です。)
(参考)
 杉本鉞子『武士の娘』(ちくま文庫)
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480027825/
 同(新訳、PHP研究所)
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-82778-0

▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 参加等を希望される際には、必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

〇 美術館建設予定地をめぐる日帰りバスツアー
 日時:2月21日(土)8:30東京駅集合~20:30
 場所:福島・浜通り
 主催:ハマコネ
 (詳細、問合せ等↓)
https://hamado-ri.com/2026/02/04/20260204_1/

〇 中山 七里『有罪、とAIは告げた』(第124回ブッククラブ)
 日時:3月9日(月)19:00~21:00
 場所:オンライン
 主催:奥沢ブッククラブ
 (詳細、問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/1947386569540343
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* 米令寺忽々のコツコツ小咄
「こんな極端な議席構成になって、与野党とも果たしてどんな議論をするのか、ちょっと楽しみではあるね」
「一興(一強)ですな」

 コツコツ小咄は個人のフェイスブックで週3日お披露目中。月ごとの「まとめ」は以下に掲載しています。
https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.336は3月3日(火)[和暦 睦月十五日]に配信予定です。
 正確でより役に立つ情報発信に努めていきますので、読者の皆さまのご意見・ご批判、ご要望等をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつも有難うございます。
https://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F.M.Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
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 バックナンバー
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 ブログ「新・伏臥慢録~フード・マイレージ資料室から~」
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