【豆知識】「規模拡大が進展」の実態

【ポイント】
 大規模経営のシェアが過半となりましたが、これは全体の耕地面積が大きく減少していることを反映したものであり、必ずしも順調に規模拡大が進んでいるとは言えません。

昨年11月に農林水産省が公表した資料「2025年農林業センサス結果の概要(概数値)」には、「経営耕地面積20ha以上の農業経営体の面積シェアが初めて5割を超えるなど、規模拡大が進展」とあります。
 リンク先の図332は、この根拠となっている経営耕地面積規模別にみた経営耕地面積について、10年前、5年前と比較したものです。大規模経営の面積は縦軸の右側、それ以外の経営の面積は左側に図示してあります。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2026/01/332_census2.pdf続きを読む

【豆知識331】2025年の振り返り

3月に東京でも行われた「令和の百姓一揆」の背景として、食料自給率が長期的に低下してきた最大の要因は消費者の食生活(食の選択)の変化にあること[No.313]、都市部の食料自給率は極めて低い水準にあること(東京都はカロリーベースで0%)[No.312]、日本の農業生産を支える基盤(担い手、農地)は急速にぜい弱化していること[No.314]を紹介。11月に公表された新しいセンサスでは、担い手数は経済の高度成長期を上回る減少率を示していることも明らかになりました[No.330]。

米も大きなテーマでした。
 昨年(2024年)は、米の生産が増加すると同時に価格が上昇し[No.308]、消費量も増加に転じる[No.317]という転機になった年であったことを紹介。
 それでも小規模層では赤字で[No.319]、全体としても経営収支は厳しい状況にあること[No.325]。就業者一人当たり純生産をみても第一次産業は他産業に比べて4分の1程度の低い水準で推移していること[No.310]のデータを紹介。
 また、現在の日本の1人当たり米の収穫量は深刻な飢餓に直面していた1940年代に比べて約半減していることも指摘しました[No.322]。… 続きを読む

【豆知識330】減少のペースを早める農業の担い手数

【ポイント】
 農業の担い手(基幹的農業従事者)の数は、経済の高度成長期さえ上回る過去最大の減少率を示しています。

去る11月28日(金)、農林水産省が公表した2025年農林業センサス結果(概数値)により、いくつかの特徴的な動向が明らかとなりました。
 リンク先の図330は、農業の担い手(基幹的農業従事者)数の長期的な推移を概観したものです。なお、基幹的農業従事者とは「自営農業を主な仕事としている世帯員」のことで、農家における「農業の担い手」に相当します。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/12/330_census.pdf続きを読む

【豆知識329】農用地面積と食料供給量の国際比較

【ポイント】
 EU、アメリカ、オーストラリアでは、日本に比べて農用地に占める牧草・採草地の割合が高く、食生活は、それぞれの国の農用地の条件(気候、風土の条件)を反映して形成されていることが分かります。

前号でEU(European Union、欧州連合)の農用地面積等について紹介したのに対して、読者の方から、EUと日本では農用地の種類(構成)が異なるため単純な比較はできないのでは、との指摘を頂きました。
 これを踏まえて、農用地面積等の国際比較を行ったものがリンク先の図329です。… 続きを読む

【豆知識328】EUの農業(日本、アメリカとの比較)

【ポイント】
 EUはアメリカ、日本と比べて相対的に「農業大国」の性格が強く、独自の手厚い政策が講じられていますが、日本とは土地条件等はかなり異なります。

EU(European Union、欧州連合)とは欧州連合条約に基づく政治・経済統合体で、現在の加盟国は27か国(イギリスは2020年に離脱)であり、412万平方キロメートル(アメリカの約4割、日本の約11倍)の面積、4億5千万人(アメリカの約1.3倍、日本の約3.6倍)の人口を擁しています。
 また、EUは世界においてアメリカと並ぶ大農業地帯であり、北極圏域から地中海沿岸まで南北に長く多様な農業がおこなわれています。… 続きを読む

【豆知識327】増加する「超加工食品」

【ポイント】
 いわゆる「超加工食品」の消費が、長期的に大きく増加しています。

「超加工食品」が注目されています。これは加工食品のなかでも特に工業的な製法で作られ、家庭では使わないような多くの糖質、脂肪、添加物が含まれているもので、安価でおいしいという利便性がある一方で、健康面で様々な悪影響があると指摘されています。

「超加工食品」の定義・範囲については定まったものはありませんが、リンク先のグラフは、家計調査から「超加工食品」と思われるもの(カップ・即席めん、魚肉練製品、加工肉、マーガリン、調味料、菓子類、調理食品、炭酸飲料)の消費額の長期的な推移をみたものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/10/327_chokako.pdf続きを読む

【豆知識326】今年も異常に暑かった夏

【ポイント】
 夏季(7~9月)の最高気温は、2025年も過去に比べて異常に高い数値でした。

10月に入りようやく過ごしやすくなりましたが、今年の夏も暑かったですね。これをデータで示したのが、リンク先の図326(日最高気温の平均値の推移を図示したもの)です。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/10/326_kion.pdf

このグラフからは、直近3年間の夏が特に暑かったことが分かります。… 続きを読む

【豆知識325】農業経営体の経営収支の現状

【ポイント】
 米など農産物価格は上昇しているものの、農家等の経営収支は厳しい状況にあります。

 米、野菜、鶏卵などの農産物価格が上昇(農産物価格総合指数は2022年から23年にかけて6.4ポイント上昇)していますが、農家など農業経営体の経営収支はどのような状況にあるでしょうか。
 リンク先の図325は、農業経営体の農業粗収益、農業経営費及び所得(粗収益-経営費)の状況を経営タイプごとに示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/09/325_shusi.pdf続きを読む

【豆知識324】割安な生産者との直接取引

【ポイント】
 米の購入価格を入手経路別にみると、生産者から直接購入する場合が最も割安となっています。

米の価格は前年等と比べて高い水準で推移しており、今夏の猛暑が新米の価格に影響するのではないかとも懸念されています。そのようななか、消費者が購入する精米の価格は、入手経路によって差がみられます。
 リンク先の図324は、入手経路別にみた精米の購入単価と、入手経路の割合の推移を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/09/324_chokusetu.pdf続きを読む

【豆知識323】格差が解消した福島・浜通り産米の価格

【ポイント】
 近年の米価格の高騰は、結果として福島・浜通り産米に対するいわゆる「風評被害」の解消につながりました。

2011年3月の東京電力福島第一原発のシビアアクシデント(過酷事故・炉心損傷)は、立地する福島・浜通り地帯に深刻な被害をもたらしました。特に放射能に汚染された地域では、いわゆる「風評被害」もあり、一時はもう農業はできないのではといった絶望さえ広がりました。
 リンク先の図323は、米の全国平均価格と、福島県の地域別の米の価格の推移を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/08/323_hamadori.pdf続きを読む

【豆知識322】米の収穫量の比較(1940年代と2020年代)

【ポイント】
 現在の日本の米の収穫量は、深刻な飢餓に直面していた1940年代に比べて、総量で85%、一人当たりでは約半分へと減少しています。

戦中戦後の一時期、日本は深刻な飢餓に直面しました。都会の駅に集まった戦災孤児(「駅の子」)のように、毎日のように失われていく命があったのです。
 それでは、当時の米の収穫量は比べてどの程度だったのでしょうか。リンク先の図322は、米の収穫量(総量及び一人当たり)について、1940年代と2020年代を比較したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/08/322_kome.pdf続きを読む

【豆知識321】除去土壌等を保管している仮置場等の箇所数の推移

【ポイント】
 原発事故後、一時期は1000箇所を超えていた除去土壌等を保管する仮置き場等の箇所数は現在までに急速に減少しています。

私事で恐縮ながら、東日本大震災・原発事故の後、最初に福島・浜通りをボランティアで訪ねたのは2011年6月のこと。水田に打ち上げられ横倒しになったままの漁船の姿などに息を飲みました。その後、ふくしまオーガニックコットンのツアー等で何度も訪ねるうち、がれき(よくない言葉ですね)等の撤去がどんどん進む一方で、逆に目についてきたのが黒いフレコンバッグの山でした。
 除染が進むに連れて大量に発生した除去土壌等を詰めたもので、国道沿いの仮置き場にも積み上げられたフレコンバッグの山を車窓から見るたび、その膨大な量に圧倒される思いがしました。
 しかし、この山は次第に目立たなくなり、やがて視界から消えていきました。リンク先の図321は、除去土壌等を保管している仮置き場等の箇所数の推移を示したものです。… 続きを読む

【豆知識320】小規模市町村の人口の現状

【ポイント】
 人口の少ない小規模自治体ほど近年における人口減少率が高く、同時に高齢化が進行しています。

(株)雨風太陽の高橋博之さん(「ほんのさわり」欄参照)によると、過疎は「慢性的な災害」であり、過疎地域はすでに「有事」に直面しているとのこと。東京圏への一極集中が進む中、地方の、特に小規模市町村では深刻な過疎化と高齢化が進行していると言われています。
 リンク先の図320は、この現状を総務省の統計を用いてに明らかにしたものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/07/320_shokibo.pdf続きを読む

【豆知識249_2】世界の飢餓人口の推移

本年7月28日(月)、国連は「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」と題するレポートの最新版(2025年版)を公表しました。
 リンク先のグラフは、この報告書(英文)のデータから作成したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2025/07/249_2_NoU.pdf

これによると、世界全体で飢餓の影響を受けている人の数(慢性的な栄養不足人口)は、2024年には最大で6億7,300万人(最大で7億2,000万人)と推定され、これは世界の全人口の1割弱を占めており、SDGs(持続可能な開発目標)の2番目「2030年までに飢餓をゼロに」の7目標からは遠く離れているとしています。

 飢餓人口の推移をみると、2005年には約8億人だったのが2010年には約6億人、2018年には約5.6億人へと減少していましたが、2019年から増加に転じ、21年には約7億人となりました。これは、新型コロナウィルスの感染拡大とウクライナ戦争によってサプライチェーンが混乱し、食料価格が上昇したためとされています。… 続きを読む

【豆知識319】米の価格と生産コスト

【ポイント】
 「高騰」していた米の店頭価格はようやく沈静化する兆しを見せていますが、生産コストを考慮する視点も必要です。

6月23日(月)の農林水産省の発表によると、6月15日までの1週間に全国のスーパーで販売された米の平均価格は3,940円(5kg当たり税込み)と、約3か月ぶりに3,000円台に値下がりしました。また、小泉進次郎農相は6月10日(火)の記者会見で、追加放出する2020年産米の店頭価格は1,700円程度になると言及しました。
 なお、2024年産米の25年5月時点における相対取引価格(出荷業者と卸売業者等間で取引を行う場合の価格。2024年産米、全銘柄平均価格)は5kg当たりに換算すると2,304円となります。

 リンク先の図319は、これら価格と米の生産コストを比較して示したものです。… 続きを読む