◇フード・マイレージ資料室 通信 No.141◇
2018年4月16日(月)[和暦 弥生朔日]発行
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◆ F.M.豆知識 神社やお寺の数
◆ O. カレント たんたんぺろぺろ(福島・広野町)
◆ ほんのさわり 広井良典『コミュニティを問いなおす』
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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ソメイヨシノに続いて八重桜も散ってしまいました。今年は季節が早いようです。
時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月の日)と十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今号は弥生朔日の配信です。
今号は、オーシャンカレント欄で紹介する「たんたんぺろぺろ」に関連して神社の特集になりました。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるようなデータをコツコツと紹介していきます。
-神社等の数の比較-
日本には、神社やお寺がたくさんあります。
文化庁「宗教統計調査」によると、2015年12月31日時点における神社の数は全国で81,158、寺院の数は77,256となっています(添付先の図95)。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/04/95_jinja.pdf
これがどれほど多いかというと、例えば全国の小学校の数は20,313、中学校が10,404。郵便局の数が20,074となっており、神社やお寺はこれらの4~8倍ほどもあるのです。
さらに、最近はどこにでもある(イメージの)コンビニエンスストアの数は全国で54,501ですので、やはり神社やお寺の方が多いのです。
なお、戦後の推移をみると、小学校や郵便局の数は減少、コンビニ数は増加しているのに対して、神社やお寺の数は大きな変化はありません。
このように、神社やお寺は、今も日本の全国各地にあまねく存在しているのです。
[参考]
文化庁「宗教統計調査」、文部科学省「文部科学統計要覧」、日本郵便(株)「郵便局局数情報」、日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計調査」
◆ オーシャン・カレント -潮目を変える-
食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
-たんたんぺろぺろ(浜下り神事、福島・広野町)-
福島県の浜通りにある広野町(ひろのまち)では、五穀豊穣を願い、130 年ほど前から浜下りの神事「たんたんぺろぺろ」が行われていました。そのユニークな呼び名は、太鼓と笛の音色に由来するとのこと。
貞観八(西暦866)年に常陸の国・鹿島神社から勧請し、旧下浅見川村の鎮守として奉られ、旧暦の四月八日に浅見川の上流に鎮座する大滝神社と下流に鎮座する鹿島神社の御輿に御神体を移した御輿が旅所を廻った後、上浅見川桜田地区で出合い、その後も旅所を廻りながら浅見川河口で海に入って潮垢離(しおごり)し禊祓(みそぎはらえ)をするというものです。
しかし、広野町は2011年3月の東日本大震災で大きな津波の被害を受け、さらに福島第一原発事故により一時全町避難を強いられたことから、祭事は休止されていました。特に海岸に近い鹿嶋神社は津波の直撃を受け、拝殿や本殿は修復されたものの今も鳥居は再建されていません。
また、震災前には32世帯いた氏子は14世帯に減少しています。
このような中、2018年4月8日(日)、8年ぶりに「たんたんぺろぺろ」が復活しました。
猿田彦と太鼓に先導された神輿が地区内を練り歩いた後、新たに整備された防災緑地と防潮堤を越えて浜に下り、海に入っていきました。
この日は強風注意報が発令され、波が荒く水も冷たかったのですが、20名ほどの担ぎ手により海の中で神輿が何回転もされる姿は勇壮なものでした(なお、この日は鹿島神社単独の祭りでした。山間部にある大滝神社は担ぎ手不足がさらに深刻とのことです)。
ご自身も自宅や田畑を津波に流され、一時、隣のいわき市で避難生活を送っておられた鹿嶋神社の氏子総代・根本賢仁さんは、「被災を乗り越えて祭りを再開できたことは、住民のふるさとへの愛着を強め、今後の新しい町づくりのきっかけにもなる」と期待されています。
[参考]
浜下り神事(広野町ホームページ)
https://www.town.hirono.fukushima.jp/sangyo/hamakudari_shinji.html
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。
-広井良典『コミュニティを問いなおす』(2009/8、ちくま新書)-
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480065018/
著者は1961年岡山市生まれ。現在は京都大学こころの未来センター教授として、環境や社会保障に関する政策研究からケア等をめぐる哲学的考察まで、幅広く発信されています。
著者によると、これからの日本社会の課題を考えて行く上で中心に位置するテーマが「コミュニティ」とのこと。
経済成長期を支えていたのは“都市の中のムラ社会”とも言うべき閉鎖性の強いコミュニティ(カイシャ、核家族)でしたが、経済が成熟し定常化社会を迎える中で、地域に根ざした新たなコミュニティの創造が必要としています。
そこで著者が注目するのが、神社やお寺です。
「豆知識」欄でも紹介したようなデータを示しつつ、「昔の日本では地域や自治体の中心に神社やお寺があった」「これほどの宗教的空間が全国にくまなく分布している国は珍しい」とします。
また、これらは宗教施設に限られるものではなく、寺子屋のような教育機能、位置が開かれる経済機能を併せ持ち、「『宗教、教育、経済』という、人間の社会における主要な機能を渾然一体となった形で担っていた」としています。さらに「鎮守の森」は、自然とともにあるというスピリチュアルな要素をも有しているともしています。
本書の刊行後、著者は「鎮守の森コミュニティ研究所」を設立し、神社等を地域の自有用な資源として再評価し、自然エネルギー開発や福祉・学習活動の場として活用する方策等について研究を進めています。
◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。
▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ 閉じられる場。そして新たなスタートへ。[4/5]
http://food-mileage.jp/2018/04/05/blog-96/
○「Present Tree in ひろの」交流イベント[4/14]
http://food-mileage.jp/2018/04/14/blog-97/
▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。
○ 共奏キッチン♪@自由が丘シェア奥沢
日時:4月16日(月)18:00 ~22:00
場所:シェア奥沢(東京・世田谷区奥沢 2)
主催:共奏キッチン
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/825430784308674/
○ 第15回脱成長ミーティング
日時:4月21日(土)17:30~21:00
場所:ピープルズ・プラン研究所(東京・文京区関口1)
テーマ:ベーシック・インカムの意義と実現可能性を探る
問題提起:堅田香緒里さん
主催:脱成長ミーティング
(詳細、お問合せ等↓)
http://umininaru.raindrop.jp/datsuseichou/tuo_cheng_zhangmitingu/di15hui_kai_cui_jiang_zuo.html
○ 市民が政策をつくる!白石孝トーク&読書会
日時:4月27日(金)18:30~20:30
場所:豊島区地域活動交流センター(東京・豊島区西池袋2)
主催:ECOM エコ・コミュニケーションセンター
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/2013003748939496/
○ パレスチナ トーク&ランチ~ゲスト:写真家 高橋美香さん~
日時:4月28日(土)12:00〜14:30
場所:パレスチナ料理Bisan(東京・北区中十条2)
主催:Kumiko Iwamotoさん
(詳細、お問合せ等↓)
https://www.facebook.com/events/1026330584185265/
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*今号のコツコツ小咄(たんたんぺろぺろを詠んで)
「停電で真っ暗だった部屋が、さっと明るくなったような心持ちです」
「そうなんですか」
「電灯(伝統)が復活しましたから」
コツコツ小咄は、まとめて拙ウェブサイトにも掲載してあります。
http://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号No.142は4月30日(月)[和暦 弥生十五日]の配信予定です。
より役立つ情報発信に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
いつもありがとうございます。
http://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】
発行者:中田哲也
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
http://food-mileage.jp/
ブログ「新・伏臥慢録~フード・マイレージ資料室から~」
http://food-mileage.jp/category/blog/
発行システム:『まぐまぐ!』
http://www.mag2.com/