【ブログ】エコキッズプラン「地産地消/フード・マイレージ」(東久留米市)

2024年6月22日(土)は好天。自転車でお隣の東京・東久留米市探検へ。
 黒目川の上流にある柳窪天神社の境内には、柳久保小麦の説明板があります。強い香りとコシがあり屋根ふきにも使われるなど、戦前には広く栽培されていたものの、戦時中にはいったん消滅した等とあります。

 その柳久保小麦は、昭和の終わりに農林水産省の研究所に保存されていた種子から復活され、市や商工会、農家グループにより「まちづくり」にも活用されていると聞いていました。

ちなみに下の左の写真は、2011年に東久留米市内で頂いた柳久保小麦のうどん。
 市内には現在も麦畑が残っており、ほとんど収穫は終わっていました。
 最後に訪ねたのがJA東京みらいの直売所。お目当てはホームページにあった柳久保小麦の乾麺でしたが、見当たりません。お店の方に聞いてみると、最近は全く入っていないとのこと。

 翌日に呼ばれている講演会のネタにしようと思っていた目論見が外れて、ややショック。

さて、翌6月23日(日)は一転して雨がぽつぽつ。
いよいよ「雨男」襲名かと思いつつ、自転車で東久留米市役所へ。

 実は東久留米市には、30年近く前になりますが、現住所に引っ越す前に10年ほど住んでいました。もっとも当時とは、駅も街路も大きく変わっています。
 市役所の庁舎も近代的で立派。明るい吹き抜けのホールにはピアノが置かれ、市民グループがオペラの練習中でした。

 展望エレベータで7階へ。晴れていれば富士山も綺麗に見えるそうです。
 13時30分から会議室で開催されたのは、地産地消/フード・マイレージ勉強会。

東久留米市・市民環境会議「エコキッズプラン2024」では、エコクッキング、環境家計簿付づけ、廃棄物処理施設の見学など様々な活動をされていますが、この日の勉強会もその一環とのこと。
 講演の依頼があった朝日新聞の大村美香記者が、私も一緒にどうかと声を掛けて下さったのです。

 参加者は、最前列の子どもたちとその保護者の方など20名ほど。
 子どもたちの興味をそらさないように、プログラムも工夫されています。主催者の方の挨拶に続き、まずはトラックのプラモデル作り。教材を提供して下さったのは、市内の物流会社・(株)NTSロジの方。
 接着剤は使わず組み立てられるスグレもの。手こずる大人たちと違って子どもたちは簡単に組み立て、さっそくチョロチョロと走らせていました。 

続いて世界地図を広げ、ふせんに好きな食べものを書き、産地と思われる場所に貼っていきます。自分たちの食べものが遠い国から運ばれてきていることが、自然に実感できるようになっています。

続いて「“フードマイレージ”でCO2のはいしゅつりょうのけいさんをしてみよう!」と題するワークショップ。
 米(市内産、新潟産)と、とりにく(市内産、宮崎産、ブラジル産)についてフード・マイレージを計算し、さらに「はいしゅつけいすう」をかけてCO2排出量を計算するという高度な内容です。
 お父さんやお母さんに手伝ってらいながら、子ども達も一心に電卓をたたき表を埋めていきます。(私はようやくトラックの組み立てが終わりました。)

休憩を挟んで講演会。
 まず私から、スライドを使ってフード・マイレージの説明。小学校高学年を中心とした子どもたちが中心と聞いていたので、子ども向けに資料も分かりやすく作ったつもりです。
 ところでこの日は、79回目の沖縄慰霊の日。4年前に沖縄を訪ねた時の写真を映写しながら、平和の大切さも考えてみましょうと話し始めました。ちなみに私の服装はかりゆしです。

地元の伝統作物・柳久保小麦とアメリカ産小麦を比較した計算結果等を示しつつ、地産地消の大切さを訴えさせて頂きました。

後半は大村さんから、「フードマイレージを減らすために、何ができるだろう?」と題して講演。
 東久留米産を買ってみる、旬のものを食べる、食品ロスを出さないことの大切さ等を説明されました。子どもたちにスナック菓子を配り、表示の見方についても説明。ちなみにお菓子は子どもたちのお土産に。
 常に子どもたちの目線を意識して、優しく分かりやすく、質問も交えながら語り掛けられる大村さん。うまく子どもたちからの発言を引き出し、上手な答えには拍手もし、時折り笑い声や歓声も混じりました(勉強になりました)。 

その後は、保護者の方も交えて質疑応答・意見交換。
 ある小学生からの「なぜCO2が増えると温暖化するのか」との素朴な(大切な)質問には、大村さんが温室効果等について分かりやすく説明。
 「安全・安心のためにも地産地消は大切と思うが、自分一人が行動しても世の中は変わらないのでは」とのお父さんからの質問には、私から「数%の人の意識と行動が変われば社会が変わる」との斎藤幸平さんの意見を紹介。
 食べものの大切さを実感するためには、子どもの頃から買い物や自炊をすることが大切といった意見も。

大村さんからは最近の取材経験を踏まえて、「近年はどこの産地に行っても、気候変動が激しくて野菜が育てにくくなっている」等生産者の声も紹介して下さいました。

トラックの教材を提供して下さった方からは「今はコンビニに出向しているが、コンビニも物流会社もなかなか環境面で貢献できることは少ない」との発言がありました。
 私からは「コンビニも配送回数を減らす、ロス削減のため値引き販売する等の取組みをされている。今日はトラックはCO2排出量が多い等と失礼な説明をしたが、2024年問題もあってモーダルシフトの取組みも進みつつあるものの、今後もトラック輸送が食料輸送の中核を担い続けることは間違いないと思う。消費者も再配達にならないよう気を付けるなどできることはある。いずれにしてもコンビニも物流も身近な存在で、様々な取組みをされている効果は大きいと考えている」等と説明(釈明?)させて頂きました。

終了後はスタッフの方たち数名とカフェで懇談。沖縄に住んでおられた方も複数おられ、しばし沖縄談義も。
 柳久保小麦の生産が続けられているとの情報も頂きました。収穫祭等があればぜひ参加したいと思います。

 すぐ隣の市でこのように積極的に活動されている方々がおられるとは、存じ上げませんでした。大いに勉強になり刺激も頂きました。気分が高揚していたせいか、帰途の雨はあまり気にならなかった次第。

(ご参考)
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
 https://food-mileage.jp/
 メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」(月2回、登録無料)
 https://www.mag2.com/m/0001579997