自宅近くに一画を借りている市民農園。
「菌ちゃん」畝に冬野菜を補植しネットをかけ替え。今夏はナスは全く不作でしたが、今頃になって花をつけ始めてています。
露地の畝は左から品川かぶ、ほうれん草、春菊。いずれも芽を出し始めました。
コットンの花(これも今頃になって多く咲き始めました)には、蜜を吸いに来たイチモンジセセリの姿。
2024年9月28日(土)20時から開催されたのは「おいしい未来をつくる読書会」の第3回。
持続可能性(サステナブル)やリジェネラティブな視点を大切にした、参加者同士の対話を中心とした月1回のオンライン読書会で、7月21日(日)に第1回を開催しました。
私も3人の運営委員の一人として参画しています。
毎回、1冊の課題本を取り上げてディスカッションするのですが、今回は拙著『フード・マイレージ[新版]』を取り上げて下さり、私がコーディネータを務めることに。
参加して下さったのは11名。以前に大変お世話になった懐かしい方のお顔も。
まず、チェックインとして一人ずつ自己紹介を頂きました。ご自身も様々な立場で活動されるなど、食については意識の高い方ばかりのようです。
続いて中田から、課題本についてスライドを用いて簡単に紹介させて頂きました。
自己紹介、一介の行政事務員が本を出版させて頂くに至った経緯(農林水産政策研究所でお仕えした篠原孝所長(当時)のご縁)に続き、イギリスのフードマイルズ運動を参考に輸入食料のフード・マイレージを試算した結果、地産地消の効果測定例、フード・マイレージ指標の限界等について説明。
また、「私たちにできること」として、食事バランスガイドを参考に地産地消等を心掛けるによる3つのメリット、EAT-ランセット委員会の「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」にも通じること等も説明させて頂きました。
なお、プラネタリー・ヘルス・ダイエットについては、この読書会の「言い出しっぺ」である手島祐子さんが訳された『食卓から地球を変える』に詳しく説明されています。
3つのグループに分かれて1回目のディスカッション。
1回目のテーマは「地球環境への負荷をかけない食生活とは?」。
ご一緒した2人の方からは、食生活と地球環境がリンクしていることを意識している人は少ないのではないか。話題となっている昆虫食については、あまり進んで食べたいとは思わない等の意見。
全員での共有タイムでは、政府も市民も地球環境問題に対する危機感がなさすぎるのでは。あるスーパーだけでも輸入品を売らないといった社会実験をしてはどうかといったユニークな意見がシェアされました。
再び3グループに分かれて2回目のディスカッションのテーマは「食(食卓、消費者)と農(産地、生産者)の間の距離を縮めていくために何ができるか」。
ディスカッションに先立ち、私から徳野貞雄先生の「消費者の分類」の図表を説明。
この図表はインパクトがあります。また、この日もいつものコメントが出されました。すなわち、経済的に余裕がないなかで高い食品を買ってもらおうとするのは無理ではないか、全体の社会経済情勢が悪いのが問題ではないか、というもの。
私からは、家計においては米の購入額の6倍以上の金額を携帯電話通信料に支出している等のデータを紹介しましたが、これに対しては、コミュニティが希薄となる中で孤独を感じている若者にとって携帯は不可欠とのコメントも。
知人の生産者の方の「猛暑で年々農業が厳しくなっている」との言葉を紹介して下さった方。生協の活動で全国の産地を訪問された経験を話して下さった方も。
2回目の共有タイムでは、食をリスペクトする気持ちを取り戻すために小売店やマスメディアにできることが多いのではないか、街中に「食べられる公園」を設置してはどうか、子どものころからの食育が必要ではないかとの意見。
食の分野だけで解決できる問題ではなく、インターセクショナルな議論と取組みが必要ではないかとの意見も。
クラウドファンディングのような、若い人にも人気のある(ウケる)手法を活用することも有意義ではとの提案もありました。
進行役の不手際で、閉会予定の21時30分直前にディスカッションは終了。
次回は10月19日(土)20時から、平賀緑さんの『食べものから学ぶ現代社会』を取り上げます。なかなか興味深いご著書です。
手島さんからはLINEオープンチャット「食べ物部」の紹介も。
21時40分に閉会。
お時間のある方には22時過ぎまで残って頂き「放課後タイム」の雑談。ここでも小中学校への「出前授業」の取組み実績など、様々な興味深いお話を伺うことができました。
現下の食や農をめぐっては様々な課題があります。この日の読書会は、その深刻さが明白になっただけかもしれませんが、多くの前向きの提案もありました。
様々な方と意見交換できる読書会、次回も楽しみです。
(ご参考)
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
https://food-mileage.jp/
メルマガ「F.M.Letter-フード・マイレージ資料室通信」(月2回、無料)
https://www.mag2.com/m/0001579997