F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.016

================================================================

◇◆◇ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信− ◇◆◇

     No.16 ; 2013.3/26(火)[旧暦 如月十五日]発行

================================================================

 

 今年の桜は記録的に早く、東京でもほぼ満開です。大震災と原発事故

から2年、今年も命が萌え出ずる季節がめぐってきました。

 時の流れを感じ取って頂く一助とするため、旧暦の毎月1日と15日に配

信している本メルマガ、今号は旧暦如月十五日の配信です。

 明日(27日)は満月です。

 


—————————————————————-

  F.M.豆知識

   3 フード・マイレージを考える背景

 (5)「食の激変」の悪影響 ア 栄養バランスの崩れ

 

  フード・マイレージを始めとする食や農に関わる話題について、毎

 回少しずつ取り上げていきます。

—————————————————————-

 前回は、食生活の「激変」が現在の私たちの生活や社会に、3段階で

様々な悪影響を及ぼしていることを紹介しました。

 

 今回から、これら様々な悪影響の内容について、順次、紹介していき

ます。

 まず今回は、自分自身、あるいは家族の健康や食生活に直接関係する

1の段階における最初の問題点として、栄養バランスの崩れを取り上げ

ます。

 

 栄養バランスをみる場合の基本的な指標の一つが、PFC熱量比率です。

 これは、食事に含まれる三大栄養素であるたんぱく質(Protein)、脂

質(Fat)、糖質(炭水化物、Carbohydrate)のエネルギー割合のことで

す。

 栄養学的に望ましいPFC熱量比率(バランス)は、たん白質(P)13%、

脂質(F)27%、炭水化物(C)60%程度とされています。

 

 日本におけるPFCバランスは、次のように推移してきています。

 

 農林水産省『食料需給表』によると、1965(昭和40)年度におけるPFC

バランスは、「P 12.2F 16.2C 71.6」となっていました。

 この頃は、カロリーの半分近くをお米から摂っていたのですが、栄養バ

ランス的には、炭水化物が過剰で脂質が足らない状況でした。

 

 その後、本メルマガNo.14でみたように私たちの食生活は急速に欧米化・

洋風化(米消費の大幅な減少、畜産物や油脂の消費の急増)し、炭水化物

の摂取割合が低下し脂質の摂取比率が上昇したため、1980(昭和55)年度

頃のPFCバランスは、「P 13.0F 25.5C 61.5」と、ほぼ理想的な姿と

なりました。

 このような「日本型食生活」はヘルシーであるとして、諸外国からも注

目されるようになりました。

 

 ところが、肝心の日本人の食生活は、この理想的な姿に留まっていれば

よかったのですが、その後も米の消費は減少し、畜産物・油脂の消費は増

加し続けたのです。その結果、2011(平成23)年度におけるPFCバランスは、

P 13.028.6C 58.4と、脂質が適正水準を上回り、逆に炭水化物が

足らなくなってしまいました。

 つまり、過去とは逆の意味でバランスが崩れているのです。

 

 次回は、このような脂質の摂取過多が私たちの健康面に及ぼしている問

題(肥満の増加)について、紹介します。

 

—————————————————————-

  オーシャン・カレント −潮目を変える−

 

  食や農の閉塞感を打ち破るためのユニークな活動や、それに取り組

 んでおられる方達を紹介するコーナーです。

—————————————————————-

 US.Peaceファーム(ユーエスピース・ファーム)という団体があります。

 システム開発会社である(有)USPUniversal Shell Programming)研

究所の社会コミュニティ活動分野を担い、埼玉県小川町のNPO法人等と連

携して、有機農業を目指して新規就農した若者たちの支援など、多彩な

「顔の見える関係」づくりを拡げるための活動をされています。

 

 具体的な活動の1つは、年間を通した「米づくり体験会」の実施です。

 単なる農作業体験イベントではなく、一粒の小さな籾からおいしいお米

まで、成長の過程全てを体験でき、有機農業の基礎講座も兼ねています。

 私も昨年、何回か参加する機会を得て、条件不利地(泥田)における稲

刈りの大変さ、収穫の喜び等を満喫することができました。

 本年も、427日(土)の苗床作りと籾ふりからスタートし、11月の収

穫祭まで、5回にわたって開催される予定とのことです。

 

 また、小川町の有機野菜を「凄腕シェフ」による料理でいただける食事

会(シェフズ・テーブル)を、年に2回ほど東京で開催しています。 

 

 さらに、新規就農者の生産物の販路確保の観点から、月2回、定期的に

有機野菜が届く「おいしいお野菜届け隊」の取組も行っています。

 

 これは、CSACommunity
Supported Agriculture
;地域支援農業)と呼

ばれ、アメリカ等で広く行われているスタイルで、消費者が作付け前に一

括して代金を支払うことにより、地域の小規模生産者等を支援しようとい

うものです。

 もともと日本の生協等による産消提携をモデルとしていたものが日本に

逆輸入され、現在は、企業等による新しいかたちでも取り組まれています。

 

 この「おいしいお野菜届け隊」、6ヶ月(12回、会費28000円・送料込み)

5ヶ月(10回、23500円)の2タイプがあり、414日(日)まで受け付け

ているとのことです。

 関心のある方は、お問い合わせください。

 

 「US.Peaceファーム」ウェブサイト

  http://www.uspeace.jp/

 

 「おいしいお野菜届け隊」募集のページ

  http://uspeace.jp/user_data/event.php#oyasai_new

 

—————————————————————-

  情報ひろば

 

 食や農に関わるセミナーや勉強会の情報、拙ブログの更新情報、各種イ

ベントの開催情報等をお知らせします。

—————————————————————-

 ブログ「伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 317日付け 福島紀行−(1)福島市

  特に自分が何かをするアテはなかったのですが、315日(金)の夜

 から翌土曜日にかけて福島に行ってきました。15日の夜は、福島に移住

 し対話を通じた復興支援に取り組んでおられる佐野淳也さんに、食事を

 しながら話を伺いました。

  http://food-mileage.jp/2013/03/17/

 

 320日付け 福島紀行−(2)二本松市 

  翌16日、車窓一杯の安達太良山の雄姿と「ほんとうの空」を眺めなが

 ら歴史の町・二本松市へ。市内は表面上は穏やかですが、あちらこちらに

 震災の「証拠」が残されています。

  http://food-mileage.jp/2013/03/20/

 

 321日付け 福島紀行−(3)二本松・東和地区その1

  二本松市東和地区の「道の駅ふくしま東和」に向かう途中は、阿武隈

 高原の優しい山並みと棚田。「ゆうきの里ふるさとづくり」の取組の舞

 台です。ちなみにこの前日、安倍首相はTPP交渉への参加を表明。

  http://food-mileage.jp/2013/03/21/

 

 322日付け 福島紀行−(4)二本松・東和地区その2

  山火事が発生したおかげで、「ふるさとづくり」の取組については、

 あまり詳しく伺えませんでしたが、原発事故に向き合って新たなステー

 ジに進みつつある様子が伺えました。

  http://food-mileage.jp/2013/03/22/

 

 323日付け  さくらさくらさくらさくら(鎮魂)

  桜はほぼ満開。2年前の大震災と原発事故直後、「日経俳壇」に掲載

 された鎮魂の句を思い出しました。

  http://food-mileage.jp/2013/03/23/

 

 324日付け 「農」と「志金」で地域を創る。

  東京・中野の西武信用金庫の本店ホールで開催された「グリーンエコ

 ノミー・シンポジウム」。「農」と「志ある資金」で地域を創り世の中

 を変えていくための具体的な取組について、報告と意見交換がありまし

 た。

  http://food-mileage.jp/2013/03/24/

 

 管理者が参加予定または関心のあるイベント等を紹介します。

  満席等となっている場合がありますので、参加を希望される方は、

 必ずお問い合せ下さい。

 

 2013年度日本農業経済学会大会

 日時:3 29 日(金)〜30日(土)

 場所:東京農業大学世田谷キャンパス

 主催:日本農業経済学会

 (詳細

  http://www.aesjapan.or.jp/wp/wp-content/uploads/2012/11/b4700be01835c7760f890ca1e1eb2f4b.pdf

 

 東北子ども未来公演 presented by JFS & 日本興亜損保

  『CARE WAVE AID 〜被災地の子ども達による【未来宣言3.11】〜』

 日時:330日(土) 2回公演(13:0017:30

 場所:世田谷パブリックシアター(三軒茶屋駅前)

 主催:NGOジャパン・フォー・サステナビリティ(JFS)、

    日本興亜損害保険

 (詳細、申込み等

  http://www.japanfs.org/tohoku/ja/stage/

 

 みんなでトーク・トーク・トーク

  自然エネルギーを広めるネットワークちば情報交換・意見交換会

 日時:330日(土) 14:0017:00

 場所:生活協同組合パルシステム千葉 船橋本部会議室

 主催:「自然エネルギーを広めるネットワークちば」実行委員会

 (詳細、申込み等

  http://renewablecc.jugem.jp/?eid=65

 

 春を祝おうおいしくお花見@東京綾瀬

 日時:331日(日)12:00 16:00

 場所:小菅東スポーツ公園(葛飾区小菅3-1-1

 主催:週末農風×共奏キッチン(共同開催)

 (詳細、申込み等

  http://www.facebook.com/events/list#!/events/602070803153915/

 

 講演会「強く美しく豊かな自然に包まれた幸せの里山づくり」

 日時:45日(金)13:0015:00

 場所:埼玉県小川町下里集落農村センター(小川町下里459-1

 主催:刈援隊、NPO生活工房つばさ・游

 (詳細、申込み等

  http://uspeace.jp/user_data/packages/1202291036/pdf/130405.pdf

 

================================================================

 F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 

================================================================

  発行者:中田哲也(フード・マイレージ資料室 主宰者)