福島紀行-③二本松・東和地区その1

 花粉飛散はピークでしょうか。
 鼻水が止まらず目は痒く、頭は普段に増してぼぉっとしています。
 さて、福島紀行③は、福島・二本松市の東和地区、宮の平バス停で福島交通バスを降りたところからです。
 2013年3月16日(土)の午前10時半頃です。
 空はあくまで青く、暖かく、格好のハイキング日和。
 国道349号線を南に向かいます。土曜日のせいか、トラック等の通行量はさほど多くありません。
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 国道の両側には、冬の装いのままの水田が拡がっています。
 山裾には農家や段々畑、神社の鳥居。黒い切り株が残された桑畑も見えます。そして、優しい姿をした阿武隈高原の山々(悲運の古城址もあるそうです)。
 3kmほどの道のりは平坦で、懐かしいような「里山」の風景を楽しんでいるうちに、30分ほどであっさりと「道の駅ふくしま東和・あぶくま館」に到着しました。
 ここを管理しているのは、特定非営利活動法人「ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会」です。
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 この協議会の役員で、福島県有機農業ネットワークの理事長でもある菅野正寿(すげのせいじ)さんの講演を、東京でも何度かお聞きする機会がありました。
 そのたびに菅野さんが「現地に足を運んでほしい」と訴えられるのをお聞きし、協議会事務局の営業部門チーフでもある海老沢誠さんを紹介して頂き、今回、お邪魔させて頂くことにしたのです。
 
 入ってすぐが直売スペース。地元の会員農家が出荷する「東和げんき野菜」や、桑を活かした特産品等が並び、多くの来訪客で賑わっています。桑には、血糖値上昇を抑える作用があり、食物繊維やカルシウムも豊富に含まれているとのこと。
 これら特産品は、インターネットでも購入することができます。
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 この日から翌日にかけて、「ちょっと早い春祭り!」というイベントが開催されており、到着した時は、建物の左奥にある会議室で、地元産大豆を使った豆腐づくり体験が行われていました。
 毎月のように、様々なイベントが催されているようです。
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 奥の方には和食、中華の2軒のレストラン。
 少し早い時間でしたが、「東和げんき野菜」をたっぷり使ったという「里山カレー」を頂きました。美味。
towa_8_convert_20130317101540.png また、地元畜産農家の牛ふんなど地域資源を活かした「元気たい肥」も販売されています。
 少し周辺を散策してみました。
 国道をさらに南に下ると、両側に棚田が広がっている場所がありました。
 国道沿いなので比較的平坦な地域と思われますが、それでも一区画10アール未満です。
 水田は水を張る必要があるため、傾斜地では小さな区画が棚のように連なり、畦畔(けいはん、「あぜ」のこと。)は広く、大きくなります。
 このような地域では、規模拡大と生産コスト低減には物理的に限界があります。
 一方、谷ごとに小さな農地があるような山間地では、近隣農地からの農薬の飛散等を避けることが比較的容易であることから、有機農業等には逆に有利な面もあります。
 さらに、これら傾斜地の農地は、国土や景観を保全する面でも大きな役割をはたしています。
 現在は冬の装いですが、田植え期を迎えて水を張れば、さぞ息を飲むような美しい景観になるであろうことが想像されます。
 前日(3/15)の夜、安倍首相がTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加を表明したというニュースを思い出しました。 
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 道の駅にとって返します。風が強くなってきました。
 突然、消防署のサイレンがけたたましく鳴らされました。どこかで火災が発生しているようです。
 道の駅に戻ると、直売スペースの一画で「民話茶屋」が始まるところでした。「語り部」の紺野雅子さんが東和の昔話を語って下さるというのです。
 民話集「とうわむかしばなし」(文章、絵とも紺野さんの作)のあとがきによると、生まれた時から民話の中にあって『むがぁし、むがぁし』と語ってきたという紺野さん、「昔話には『動植物や自然の共生』の大切さや生活の知恵、教訓がこめられている」と記されています。
 道の駅ではCDも販売されていました。
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 話の前に、午前中の体験教室で作られたばかりの豆腐を頂きました。
 地元産大豆で作られた豆腐は、薄く緑色がかっており、歯ごたえがあり、味も濃くしっかりとしています。
 一話目は『かんぷらイモの話』。かんぷらイモとはジャガイモのことだそうです。江戸時代、食料不足に悩んだ東和の人たちを救ったイモの由来の話です。
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 そして二話目、『あの世まで一緒』が語られ始めました。
 ところが、気がつくと青空だった窓の外が俄に煙で霞み、黒い燃えかすのようなものまで次々と飛んできます。そして消防団の方が入ってきて、裏の方で山火事になっていると海老沢さんに告げました。
 お話し会は中止です。
 みんなで裏の駐車場に出てみると、恐ろしい光景が広がっていました(以下、続く)。
【ご参考】
 ◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
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