「永続敗戦論」

 2015年9月5日(土)。
 ここ数日、残暑が戻ったかのような蒸し暑い日が続きました。
 自宅近くの市民農園へ。
 檜原→奈良のゴマは、沢山のサヤを着けています。今年も豊作見込み(収穫後の調製が大変)。
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 西原(山梨・上野原市)で頂いてきたインゲンは、結局、サヤをつけないまま枯れてしまいました。播種した時期を間違えたようです。
 大浦太ゴボウは、あまり葉が茂ってきません。初めてなのでよく分からないのですが、大丈夫かな。
 オクラは数日、収穫しないと、巨大化して葉を貫いてしまったものも。  
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 福島・いわきで頂いてきた綿(2代目)は、順調に伸びて沢山の花を着けています。改めて摘芯(生長点を切ってより多くの花と実を着けさせます)。
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 寺島ナスも、ほぼ終了。
 以前、お聞きした岩崎正利さん(長崎・島原の農家)の言葉を思い出しました。
 「野菜が最も美しいのは、花が満開の時ではなく枯れた姿。種を次世代に残すために全力を尽くした姿をみた瞬間、野菜が神様に見えた」
 
 こぼれ落ちた伝統大蔵大根が発芽していたので、植え替えてみました。
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 今、畑でもっとも鮮やかなのは内藤唐辛子。カメムシが来ています。辛くないのかな。
 ヤマトシジミは、一見地味ながら美しい翅をもっています。
 モグラの穴も。これも生物多様性ということで。
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 玄関先のプランターのスダチも大きくなってきました。親戚の方から頂いたものがなくなったら収穫する予定。
 翌9月6日(日)は崩れる予報のなか、午後から東京・日本橋へ。
 せっかくなので水天宮の仮宮(本宮は現在、改築中)に参拝した後、日本橋公会堂へ。
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 この日14時から開催されたのは、ベグライテン/ミシュカの森主催による「公共哲学 を学ぶ会~日本の進路を考える~」の第5回。
 白井聡先生(京都精華大)をお迎えし、「戦後の終わり-永続敗戦論から見る安倍政権と現代日本」と題する講演会です。
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 会場は70名ほどの聴衆で埋まりました。比較的年配の男女の方が多いようです。
 冒頭、主催者の方から「ベグライテン」の紹介。
 上智大学コミュニティ・カレッジの受講生が2001年に立ち上げた勉強会で、ベグライ テン(Begleiten [独]、苦しんでいる人のそばにいる)という精神の下、生と死の問題をはじめ、毎日の生活の中で直面する様々な問題について学び活動しているとのこと。
 途中の休憩後には、入江否さんから「ミシュカの森」 の紹介もありました。犯罪被害からの回復、自助とグリーフケア等の活動に取り組んでいる「ミシュカの森」の紹介もありました。なお、入江さんは2000年の「世田谷一家殺害事件」のご遺族の方です。
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 講演がスタート。
 白井聡先生は1977年東京生まれ。元々レーニンなど政治思想がご専門でしたが、2013年に上枠された『永続敗戦論-戦後日本の核心』(太田出版)が多くの賞を受賞、新進気鋭の論客のお一人です。
 話は、現下の安保法制等をめぐる政治情勢の話から始まりました(以下、文責中田)。
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 安倍政権の行方、議員等の相次ぐスキャンダル、防衛省内部文書のリークなど、ある意味、戦後の総決算として問題の本質が出てきている面があるとのこと。
 また、新国立競技場やエンブレムをめぐる騒動をみると、日本はもはや五輪のような国際的イベントを開催する能力を失っているのでは、とも。
150906_4_convert_20150907071451.jpg 毎年8月になるとテレビで多くの戦後特番が放映されるが、全ての結論は「平和と繁栄」。これ以外の語り方をしてはならないかのようだ。
 しかし、このポジティブな戦後のイメージは、経済成長しなくなった20年ほど前から陰りが出てきている。貧富の格差が再び問題になってきた。
 そして3.11がトドメを刺した。「いい時代」はいよいよ終わったのだ。原発事故は、日本を支えてきたエリート達が「全然ちゃんとやっていなかった」という現実があらわになった。
 そのような状況を分析し、問題の核心を見極めるために書いたのが「永続敗戦論」。
 戦争の時に丸山昌男が指摘した「無責任の体系」が、今回の原発事故でも再現された。
 日本は敗戦を正面から認めてこなかった。敗戦を否認し「終戦」と言い換えることで、誰も責任をとらないし、反省する必要もない。敗戦というプロセスは終わっていない。日本は延々と負け続けている(永続敗戦)。
 そして、米国によって免責・登用された支配層によって、世界に類を見ない特殊な(ウェットな)「対米従属体制」が形成された。
 この「永続敗戦レジーム」により戦後の高度成長と経済大国化が達成されたが、その前提であった冷戦構造はとうに崩壊している。
 ここまでで予定の16時40分に。会場との質疑の時間も、ほとんど取られませんでした。
 休憩を挟んで2時間半では、足らなかったようです。
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 この後の資料には、安倍政権の「戦後レジームの脱却」は「永続敗戦レジーム」の純化であり「敗戦の否認」の徹底化であること、これに沖縄から異議申し立てがなされていること等の、興味深いスライドが並んでいたのですが、説明はお聞きできませんでした。
 また、鋭い分析と批判を踏まえた将来の方向性についても、ぜひ伺いたかったのですが、これらの点では少々もの足らない講演に終わってしまいました。
 引き続き、ご著書等で勉強していきたいと思います。
 いずれにしても、刺激と示唆に富む講演会でした。主催者、事務局の皆さま、有難うございました。
 会場を出ると、雨が落ちています。
 帰途、スマホ(radko)でヤフオクドームの中継。先制したのに追いつかれ、何度もの好機に勝ち越せず、結局延長12回に松田にサヨラ被弾。
 あっ、ここにも「永続敗戦」が(涙)。
 【ご参考】
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