冨澤ファーム(東京・三鷹市)見学会

 2016年11月19日(土)。
 お昼前には雨は上がりましたが、いつ落ちてきてもおかしくないような天気の下、江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座のオプションである冨澤ファーム(三鷹市)の圃場見学と親睦会が行われました。
 JR吉祥寺駅南口からのバスを南牟礼バス停で下車。
 5分ほど歩くと、周囲を住宅に囲まれた立派な農家に到着。庭先には野菜等の自販機が置かれています。
 ご自身も江戸東京野菜コンシェルジュ(1期生)である冨澤剛さんが出迎えて下さり、まずは畑を案内して下さいました。
 何と、畑を縦断するように都市計画道路が建設中です。
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 全体で30品目ほどの野菜を生産されているそうで、内藤唐辛子、のらぼう菜、下山千歳白菜等は種採りもされているとのこと。
 最初に案内して頂いたハウスの中では亀戸大根が栽培されていました。
 直売所等に出しても一般の人は見慣れたF1種(青首大根等)を好むことから、飲食店を中心に出荷されているそうです。
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 建設中の道路を横切った先の露地畑では、内藤唐辛子が栽培されています。
 新宿で開催されるフェアのため、多くは収穫・出荷されたとのこと。
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 のらぼう菜は、五日市の生産者の方から種を譲り受け、研究会をつくり栽培されているそうです(富澤さんは三鷹ののらぼう菜生産のリーダーとのこと)。
 その脇には、1株だけ種採り用の下山千歳白菜が残されていました。
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 庭先には色鮮やかな「はるみ」。清見オレンジにボンカンを交配した品種でこれも出荷されているそうです(帰り際に自販機で求めましたが、香りのいい柑橘でした)。
 庭の隅には堆肥が積まれています。東京農工大の馬術部や国際基督教大から馬糞や落ち葉を引き取ってきて堆肥にし、土作りをされているそうです。
 別の場所の畑に移動(冨澤ファームの畑は1カ所にまとまっておらず分散しています)。
 ここでは伝統大蔵大根(伝統種)と青首大根(F1種)が並べて栽培されていました。
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 冨澤さんの説明通り、一見して大蔵大根は生育にばらつきがあることが分かります。収穫期等も予想がつかないとのこと。収穫や葉の処理の作業にも青首の3倍位の手間がかかるそうです。
 畑の周囲は住宅に囲まれています。
 足を止めて見学の様子をご覧になっていた近所の女性は、畑が残っていると住環境がよく気持ちがいいと話されていました。
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 ハウスに戻り、この度、毎日農業記録賞(最優秀賞、一般の部)を受賞されたという「作文」を朗読して下さいました。
 農家の4代目(次男)という冨澤さん。
 子どもの頃、「農家は土地を売れば大金持ちになれていいですね」と言われ悔しかったとのこと。バブル期にも土地を売らず続けてきた実家の農業を継いで15年になるそうです。
 様々な勉強会等に積極的にも参加。特に野菜ソムリエの資格をとったことで栄養士さんなど様々な人と知り合 うことができ、学校給食に食材を提供するようになったそうです(現在は仲間 6人のグループで対応されているとのこと)。
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 学校の授業に呼ばれたり児童の体験学習を受け入れたりする中で、農業は多くの人に喜びを与えることができることを実感されているそうです。さらに、農業を通じて子育て支援など社会問題を解決していきたい、農業を起点にローカルな経済活性化を進めた い、農の力で人を幸せにしたいといった「夢」を語られました。
 その夢は着実に実現しつつあるようです。
 その後は、ハウスの中で懇親会です。
 江戸東京野菜コンシェルジュ協会の上原恭子理事と松嶋あおい理事が、料理を準備して下さいました。
 その献立は、小金井市にあるメーカーのハム盛り合わせ、伝統大蔵大根と亀戸大根の食べ比べ(バジル味噌マヨネーズで)、伝統大蔵大根の麻婆、伝統大蔵大根と豚肉の炒め物。
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 さらに内藤カボチャのカプレーゼ仕立てと春巻、亀戸大根汁。飲み物はビールにワインなど。
 美味しい食事を頂きながら、参加者から自己紹介。第6期総合講座の受講生の皆さんが中心です。
 例えば、新規就農して伝統野菜の栽培に取り組んでおられる方、JAや市場関係の方、富澤さんとの連携を始められているという漬け物屋さん、地産地消を進めたいという飲食店経営者の方、県の農業普及指導員をされている方。
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 それに生協活動や市議をされている方、学校の栄養職員の方、野菜ソムリエとして活動されている方、野菜をテーマにした本を出版されたイラストレーターの方など、多彩な方たちが参加されていました。
161119_10_convert_20161125014814.jpg 都市農業に関しては、昨年、都市農業振興基本法が制定され、本年5月には「都市農業振興基本計画」が閣議決定されました。その中では、都市農業の多様な機能を発揮させていくための施策の方向が明らかとされています。
 その一方で富澤さんも指摘されていましたが、相続税など依然として厳しい課題も残されています。
 江戸東京野菜をきっかけにした多彩なネットワークの広がりは、東京における都市農業の発展にも大きく寄与していくこと期待されます。
 【ご参考】
◆ ウェブサイト:フード・マイレージ資料室
 (プロバイダ側の都合で本年1月以降更新できなくなっていることから、現在、移行作業中です。)
◆ メルマガ :【F. M. Letter】フード・マイレージ資料室 通信
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