【メルマガ】F.M.Letter No.126

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.126◇
 2017年9月5日(火)[和暦 文月十五日]発行
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◆ F.M.豆知識 東京農業の特徴と底力
◆ O. カレント 江戸コン育成講座総合コース
◆ ほんのさわり 植木美江『7色野菜の便利図鑑』
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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 カレンダーは9月に入りました。不安定だった夏も過ぎ、すっかり秋の気配に包まれています。時候は処暑を経て間もなく白露に移ります。
 時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月の日)と十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、文月十五日配信の今回は東京農業の特集です。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるようなデータの断片を、毎回一つずつ、コツコツと紹介していきます。

-東京農業の特徴と底力-

国土の0.6%の面積に総人口1割強が集中する東京都。東京都民の食生活を賄うために、都外から多くの農産物が移入されています。東京都の食料自給率はカロリーベースで1%、生産額ベースでも3%と、いずれも都道府県の中で最も低い値です。
 東京都は農業からもっとも縁遠い都道府県というイメージがありますが、実は306億円もの農業産出額があります(2016年)。

リンク先の図81の左の横棒グラフは、東京都の農業産出額の構成比を全国と比べたものです。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2017/09/81_tokyo.pdf

これによると、東京農業は米や畑作、畜産の構成比が小さい一方で、野菜の構成比が特に大きく、果実や花きも全国平均に比べて高くなっています。
 これら野菜等は、比較的狭い農地でも生産できる作目です(「集約的作物」と呼ばれます)。そして、1ha当たりの農業産出額を計算してみると、東京都は429万円と、全国平均(196万円)の2.2倍となっているのです。

東京都においては、近隣に消費者が多いという立地条件を活かして、庭先やJAでの直売所を通した消費者への直接販売等も盛んで、収益性の高い農業が行われているのです。
 なお、都市部の農地については、防災の観点からもその重要性について再認識されつあります。

[参考]
 農林水産省「生産農業所得統計」「作物統計」
  http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/nougyou_sansyutu/index.html
  http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/menseki/index.html

ウェブサイト「フード・マイレージ資料室-F.M.豆知識」
  http://food-mileage.jp/category/mame/

◆ オーシャン・カレント -潮目を変える-
 食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。

-江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座総合コース-
 (第7期)
 東京の伝統野菜の普及に取り組む江戸東京野菜コンシェルジュ協会が、今年も江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座総合コース(第7期)を開催します
https://www.edo831.tokyo/kouza/2111
 これは、東京の伝統野菜の魅力を伝えるエキスパート「江戸東京野菜コンシェルジュ」の育成を目的とした資格取得講座で、以下の3日間の日程で開催されます。
 受講を希望される方は、主催者までお問合せ・申込みください。

○ 日時、講師、演題
(1日目)10月28 日(土)10:30~16:30
 大竹道茂さん「江戸東京野菜には物語がある」、
   「江戸東京野菜コンシェルジュの歩む道と食育」
 水口均さん「江戸東京野菜の品目」
 成田重行さん「まちおこしと内藤トウガラシ」

(2日目)11月4 日(土)10:30~16:30
 上原恭子さん「食材としての江戸東京野菜」
 佐藤勝彦さん「江戸東京野菜の流通と飲食」
 福島秀史さん「江戸東京野菜のPR」
 梶谷正義さん「これだけは知っておきたい野菜栽培の基礎」
 大竹さん、梶谷さん、佐藤さん、上原さん、福島さんによる「パネルディスカッション」

(第3日目)11月11 日(土)10:30~16:30
 中田哲也「フードマイレージと地産地消」
   「フードマイレージ・グループワークショップ」
 井之口喜實夫さん「生産者からみた江戸東京野菜」
 検定試験(上記講座をすべて受講した方が対象)

○ 場所 JA 東京南新宿ビル(JR新宿駅南口、徒歩4分)

[参考]
 NPO法人 江戸東京野菜コンシェルジュ協会
  http://www.edo831.tokyo/
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室-オーシャン・カレント」
  http://food-mileage.jp/category/pr/

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」だけを紹介します。

-植木美江(絵と文)『7色野菜の便利図鑑』(2016.10、幻冬舎)-
  http://www.gentosha.co.jp/book/b10373.html

著者は「自然がたくさん残り、湧き水も豊富で野菜がおいしい」東京・小金井市在住のイラストレーター。
 数年前、近所の友人たちと野菜を主役(野菜の料理・スイーツ、アクセサリー、イラストなど)にしたマルシェを行ったのをきっかけに「野菜オタク」になられたそうです。
 その後、江戸東京野菜コンシェルジュの資格も取得され、自作の紙芝居を携えて学校を回る等の食育活動にも取り組んでおられます。

本書は、定番・最新・珍しい野菜たちの食べ方や特徴が分かる図鑑です。
 全編、植木さんが描いたかわいくて、気持ちがほんわりするような、独特のタッチのイラストであふれています。主役の野菜は、その微妙な色合いも含めて精密に描かれています。

色彩豊かな野菜は絵の具に見立てられ、以下の7色に分けて紹介してあります。
 まずは赤(誘いにのって思わずパクリ:トマト、とうがらしなど)から。続いて橙(太陽みたいに元気をくれるかぼちゃ、にんじんなど)、黄(勝負ごとには欠かせないとうもろこし、パプリカなど)、紫(貴婦人たちの美を制するなす、紫いんげんなど)、緑(キッチンで森林浴:ピーマン、アスパラガスなど)、白(白衣の天使が健康を守る:だいこん、かぶなど)、黒(料理を引き締め、ごまかす:黒ごま、黒豆など)。
 そしてオマケは茶(きのこ)。
 パラパラとめくれば、簡単にお目当ての色の野菜を探すことができ、品種や調理方法も知ることができます。

「みなさんも“野菜でおいしく色遊び”してみませんか?」と呼びかける著者。
 眺めるだけで楽しくなり、野菜をもっと食べたくなること、間違いありません。

[参考]
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室-ほんのさわり」
  http://food-mileage.jp/category/br/

◆ 情報ひろば
  拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ 鎌倉古街道(2)、神田・なみへい(8/25)
  http://food-mileage.jp/2017/08/25/blog-36/

▼ 筆者が説明者を予定しているセミナー等です。参加を希望される方等がおられれば、主催者にお問い合せ下さい。

○ 市民講座
 「何をどう食べる? みんなで考える『食』の未来」
 日時:
(1日目)10月7日(土)10:00~12:00
 「フードロス 日本の食の現状と、いま私たちができること」
  講師:近藤惠津子さん
  (NPO法人CSまちデザイン理事長)
(2日目)10月14日(土)
 「フード・マイレージ-あなたの食が地球を変える」
  中田が担当します。
(3日目)10月21日(土)
 「葉っぱも皮も、地元野菜をまるごと味わう試食会」
  講師:酒井文子さん
  (食育・野菜料理コーディネーター、小金井市食育推進会議副会長)

場所:小金井市公民館東分館(東京・小金井市東町1)
 対象・定員:市内在住・在勤・在学の方20人(申込順)
 主催:小金井市公民館
 (詳細、お問合せ等↓)
  https://www.city.koganei.lg.jp/kosodatekyoiku/shisetsu/kominkan/kouzaannai/syokunomirai.html

○ フード・マイレージ
 -あなたの食が私たちの社会を変える
 日時:11月10日(金)19:00~21:00
 場所:番來舎(東京・目黒区駒場1)
 主催:番來舎
 (詳細、お問合せ等↓)
  https://www.facebook.com/events/108282553198782/

○ 江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座総合コース(第7期、3日目)
「フードマイレージと地産地消」「グループワークショップ」(検定試験は3日間の講座をすべて受講した方が対象)
 日時:11月11 日(土)10:30~16:30[3日目]
 場所:JA 東京南新宿ビル(JR新宿駅南口より徒歩4分)
 主催:NPO法人江戸東京野菜コンシェルジュ協会
 (詳細はオーシャン・カレント欄または以下をご覧ください。)
  https://www.edo831.tokyo/kouza/2111

▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ あなたの情報は間違っている!?
 ~放射能問題を正確に知り福島の農業を再生するために
 日時:9月9日(土)13:30~15:30
 場所:生活クラブ館(小田急線経堂駅徒歩3分)
 講師:石井秀樹さん
 (福島大学うつくしまふくしま未来支援センター)
 主催:CSまちデザイン
 (詳細、お問合せ等↓)
  http://cs-machi.com/?p=3323

○ 第3回 旅の読書会
 日時:9月17日(日)10:00~12:00
 場所:森の食卓(東京・三鷹市井の頭5)
 主催:森の読書会
 (詳細、お問合せ等↓)
  https://www.facebook.com/events/1398236680283230/

○ 比企ツーリズム・Cコース(歴史と文化)
 日時:9月18日(月・祝)10:00東武東上線森林公園駅集合
 場所:関東を代表する山岳寺院・慈光寺周辺
 主催:ECOM エコ・コミュニケーションセンター
 (詳細、お問合せ等↓)
  https://www.facebook.com/npo.ecom/photos/a.590150297729169.1073741834.261172057293663/1406286779448846/

○“できる場所”がここにある!
  ~里山と暮らすということ~
 日時:9月18日(月・祝)10:00~20:00
 場所:ユギムラ牧場(東京・八王子市)
 主催:一般社団法人 八王子協同エネルギー
 (詳細、お問合せ等↓)
  https://www.facebook.com/events/105655046836745/ 

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*今号のコツコツ小咄。
「マッサージしてもらったんだけど、肩こりが治らないの」
「今年の稲作みたいね」
「えっ、どういうこと?」
「揉み(もみ)が足らないかも」

8/15現在の水稲の作柄概況は「平年並み」または「やや良」、その後の天候不順が影響しなければいいのですが。
「コツコツ小咄」は拙ウェブサイトにも掲載しています。
  http://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.127は、9月20日(水)[和暦 葉月朔日]の配信予定です。
  より有用な情報の発信に努めていきたいと考えていますので、ご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
  http://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
 ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」
  http://food-mileage.jp/
 ブログ「新・伏臥慢録」
  http://food-mileage.jp/category/blog/
 発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/