【ポイント】
近年における日本の消費者はますます節約志向を強めており、有機食品については健康、安全といった「利己的な」動機で購入している状況が伺えます。

(株)日本政策金融公庫は、2010年以降、年2回(1月、7月)、消費者の「食の志向」についてアンケート調査を実施しています(リンク先の左側の図293-1)。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2024/06/293_shouhi.pdf
直近(2024年1月)においては、健康に配慮したいとする「健康志向」が45.7%と最も高く、次いで「経済性志向」(食費を節約したい、40.8%)、「簡便化志向」(料理や後片付けの手間・時間を省きたい、38.2%)となっています(複数回答、上位2つ)。
過去10年間の推移をみると、健康志向は一貫して高い水準で推移している一方、経済性志向、簡便化志向は右肩上がりとなっています。特に近年は経済性志向が大きく上昇しており、食料品価格の高騰を受けて、食費を節約したいとする消費者が増加している状況が伺えます。
なお、国産志向は逆に低下傾向で推移しており、特に最近は経済性志向が高まるなかで大きく低下しています(直近では11%)。
リンク先の右側の図293-2は、週に1回以上有機食品を利用する消費者を対象に、有機食品のイメージについて調査した結果です。
これによると、「健康にいい」が86%(「そう思う」と「まあそう思う」の合計)、「安全である」が84%と高いのに対して、「環境に負荷をかけていない」は68%とやや低くなっています。また、85%は「価格が高い」というイメージを有しており、逆に「手に入れやすい」は27%にとどまっています。
このように、近年における日本の消費者はますます節約志向を強めている一方、有機食品の購入は健康、安全といった(環境など社会的な動機ではない)「利己的な」動機に基づいていることが伺えます。
[データの出典]
日本政策金融公庫「消費者動向調査」、農林水産省農業環境対策課「有機食品の市場規模および有機農業取組面積の推計手法検討プロジェクト」(2024.3 修正)から作成。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_240229a.pdf
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/yuuki/attach/pdf/chosa-12.pdf
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.293、2024年6月6日(木)[和暦 皐月朔日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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