【ポイント】
農業生産資材の価格は2021年頃から高騰し、現在も高い水準で推移しています。これらコスト上昇分は、農産物価格には十分には反映(転嫁)されていません。
肥料、飼料等の農業生産資材の価格は、国際需給の引き締まり、円安の進行、ウクライナ危機等の影響により、2021年半ば以降、大きく上昇しています。
リンク先の図301は、2020年以降の主な資材価格指数の推移を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2024/10/301_bukka.pdf
これによると、資材価格(総合)は、国際的な原油価格や飼料穀物価格の上昇により2021年に入る頃から上昇基調となっています。2022年に入ってからはウクライナ危機により肥料価格が上昇したこともあってさらに高騰し、この結果、23年平均の資材価格指数(総合)は121.3と統計のある1951年以降で最も高い数値となりました。23年以降はほぼ横ばいと、現在も高い水準で推移しています。
このような資材価格高騰の背景には、農業資材(原料)の多くを輸入に依存しているという事情があります。肥料原料の一部(塩化カリ)は、ウクライナ危機以前はロシアやベラルーシから相当量を輸入していました。
また、図には示されていない人件費や物流費等のコストも上昇しています。
一方、破線で示している農産物価格指数ついては、2022年以降は上昇傾向にあるものの、その上昇の幅は資材価格(コスト)に比べて穏やかです。これらの価格指数自体は農業経営の収益性を直接表す指標ではありませんが、コスト上昇分が十分に価格に反映(転嫁)されていない状況が伺われます。
特に、現在価格上昇が話題となっている米については、これまで特に低い水準で推移してきていることが分かります。
[データの出典]
農林水産省「農業物価統計」から作成。
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noubukka/index.html
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No. 301、2024年10月3日(木)[和暦 長月朔日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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