【ほんのさわり】五十嵐泰正『原発事故と「食」』


-五十嵐泰正『原発事故と「食」-市場・コミュニケーション・差別』(2018/2、中公新書)-
 http://www.chuko.co.jp/shinsho/2018/02/102474.html

著者は1974年千葉・柏市生まれの筑波大学大学院人文社会系準教授(都市/地域社会学)。
 原発事故でホットスポットとされた千葉・柏市で「安全・安心の柏産柏消」円卓会議事務局長を務められた時の経験は、編著『みんなで決めた「安心」のかたち』(亜紀書房)としてまとめられています(これも多くの示唆に富む本です)。

本書では、東日本大震災から7年以上が経過し、「風化」と「風評の残存」が同時進行するという複雑な状況にあるという認識の下、まず、福島県産農水産物の「風評」被害が市場の中で固定化されていくメカニズムが分かりやすく分析されています。例えば、季節性や保存性、あるいは代替産地の有無の点でキュウリと米は違う状況にあることがデータに基づき明らかにされます。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】福島県産農産物等流通実態調査


 -2017年度 福島県産農産物等流通実態調査(農林水産省)-

農林水産省は、2018年3月、福島県産農産物等の販売不振の実態と要因を明らかにするため、主要品目の流通実態を調査した結果を公表しました。

米、青果物(桃、きゅうり等)、畜産物(牛肉、牛乳等)、きのこ、水産物(かつお、ひらめ等)20品目について、生産・流通・販売に携わる事業者及び消費者を対象として、ヒヤリング及びアンケート調査(インターネット及び店頭)を実施したものです。
 また、統計データにより福島県産農産物等の販売量や価格の変化についても分析されています。… 続きを読む

【豆知識】回復していない福島産米の価格


 東日本大震災と原発事故から7年以上が経過し、多くの人の関心が薄れつつあるなかで、福島県産農水産物に対するいわゆる「風評」被害は現在も解消されていません。
 その状況は品目等によって千差万別なのですが、ここでは特に米の価格に着目します。

リンク先の図96は、福島県産コシヒカリの相対(あいたい)取引価格の推移を示したものです。なお、相対取引価格とは、全国の出荷団体等と卸売業者間の取引価格です。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/04/96_aitai.pdf

これによると、震災前は全国全銘柄平均とほぼ同水準にあった中通り、浜通り地方のコシヒカリの相対価格(全国全銘柄平均=100)は、2011年以降、大きく低下したことが分かります。その後、最近は上昇しているものの、特に浜通り産については震災前の水準にまで回復したとは言えません。… 続きを読む

【ブログ】写真家・高橋美香さんのパレスチナ

2018年4月28日。GWは夏のような好天でスタートしました。
 JR十条駅北口を出て踏切を渡った先には「十条中央商店街」の看板。なかなか昭和的な街並みです。
 商店街を抜けたところには浅間神社があり、「祝 世界遺産登録・富士山」との看板も。

軽く富士登山と参拝をして商店街を戻り、お目当てのパレスチナ料理店・… 続きを読む

【ブログ】五十嵐泰正さん『原発事故と「食」』トークイベント@ゲンロンカフェ

2018年4月25日(水)の終業後は、東京・西五反田の「ゲンロンカフェ」へ。

2013年2月にオープンしたイベントスペースで、年間150回ほどトークイベントを開催しているとのこと(同時に有料のウェブ中継も)。以前から気になっていたのですが、初めて訪ねました。
 壁一面には、これまでの出演者のサインなども。… 続きを読む

【ブログ】堅田香緒里さんのベーシック・インカム(脱成長MTG)

2018年4月も後半。春を通り過ぎて夏の陽気の日が続きます。
 自宅近くに一画を借りている市民農園では、収穫しそびれた白菜の花に早くもナガメの姿。今年もカメムシ達との熾烈な闘いが予想されます。

2018年4月21日(土)17時30分から、ピープルズ・プラン研究所(PP研、東京・江戸川橋)で「脱成長ミーティング(MTG)公開研究会」が開催されました。… 続きを読む

【ブログ】碧野圭さん『駒子さんは出世なんかしたくなかった』トーク&サイン会

2018年の春は、ソメイヨシノに続いて八重桜もあっという間に散ってしまいました。

それでも空を押し上げるハナミズキ、モッコウバラ等が目を楽しませてくれます。
 冬には氷柱を下げていた東京・日比谷公園の鶴は、今は新緑を噴き上げているかのようです。

4月20日(金)の終業後は、吉祥寺のパルコブックセンター続きを読む

【ほんのさわり】広井良典『コミュニティを問いなおす』


-広井良典『コミュニティを問いなおす』(2009/8、ちくま新書)-
 http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480065018/

著者は1961年岡山市生まれ。現在は京都大学こころの未来センター教授として、環境や社会保障に関する政策研究からケア等をめぐる哲学的考察まで、幅広く発信されています。

著者によると、これからの日本社会の課題を考えて行く上で中心に位置するテーマが「コミュニティ」とのこと。
 経済成長期を支えていたのは“都市の中のムラ社会”とも言うべき閉鎖性の強いコミュニティ(カイシャ、核家族)でしたが、経済が成熟し定常化社会を迎える中で、地域に根ざした新たなコミュニティの創造が必要としています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】たんたんぺろぺろ


-たんたんぺろぺろ(浜下り神事、福島・広野町)-

福島県の浜通りにある広野町(ひろのまち)では、五穀豊穣を願い、130 年ほど前から浜下りの神事「たんたんぺろぺろ」が行われていました。そのユニークな呼び名は、太鼓と笛の音色に由来するとのこと。

貞観八(西暦866)年に常陸の国・鹿島神社から勧請し、旧下浅見川村の鎮守として奉られ、旧暦の四月八日に浅見川の上流に鎮座する大滝神社と下流に鎮座する鹿島神社の御輿に御神体を移した御輿が旅所を廻った後、上浅見川桜田地区で出合います。
 その後、旅所を廻りながら浅見川河口で海に入って潮垢離(しおごり)し禊祓(みそぎはらえ)をするというものです。… 続きを読む

【豆知識】神社等の数の比較


 日本には、神社やお寺がたくさんあります。
 文化庁「宗教統計調査」によると、2015年12月31日時点における神社の数は全国で81,158、寺院の数は77,256となっています(添付先の図95)。
 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/04/95_jinja.pdf

これがどれほど多いかというと、例えば全国の小学校の数は20,313、中学校が10,404。郵便局の数が20,074となっており、神社やお寺はこれらの4~8倍ほどもあるのです。
 さらに、最近はどこにでもある(イメージの)コンビニエンスストアの数は全国で54,501ですので、やはり神社やお寺の方が多いのです。… 続きを読む