F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信- No.097

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◇◆◇ F. M.Letter −フード・マイレージ資料室通信 ◇◆◇

     No.97; 2016.7/4(月)[和暦 水無月朔日]発行

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 和暦では水無月に入りました。間もなく梅雨が明け暑い夏が本格化し、

水が無くなるとされる月。九州等での豪雨、台風の被害が軽ければ良い

のですが。

 時の流れを体感するため、和暦の毎月一日(朔日=新月の日)と十五

日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今回は水無月朔日の配

信です。

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  F.M.豆知識

  食や農について、(特に私たち消費者にとって)ちょっと役に立つ、

 あるいは考えるヒントになるような話題を、毎回こつこつと取り上げ

 ていきます。

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 【リスクの大きさを感じるメカニズム】

 

 食に関するリスクについて、前々回、前回と、9割以上の消費者が

「家庭での取り扱い方」については「安心」と感じているのに対し、食

中毒により死者は家庭で最も多く発生していることから、ある程度科学

的・客観的に評価できる「安全」と、主観に基づく「安心」とは全く異

なることを紹介しました。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/52_monitor.pdf

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/53_shokuchudoku.pdf

 

 それでは、人がリスクの大きさを感じるメカニズムとは、どのような

ものでしょうか。

 リンク先の表54は、農林水産省ホームページに掲載されている「健康

に関するリスクコミュニケーションの原理と実践の入門書」の一部を表

に整理したものです。

 http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/54_risk.pdf

 

 これによると、自分で制御・管理が可能と感じられるリスクは実際より

も小さく感じられる一方、他人により制御・管理されていると感じられ

るリスクは実際よりも大きく感じられるとしています。

 また、熟知していると感じられるリスクは実際よりも小さく、逆に経

験がないリスクは実際より大きく感じられるとのこと。

 家庭での取り扱い方に関する「安全」と「安心」のギャップは、どう

やらこの辺りに起因しているようです。

 

 さらに、この表によると、信用できる源から起こっていると感じられ

るリスクは実際よりも小さく、信用できない源からと感じられるリスク

は実際よりも大きく感じられるとしています。

 

 食生活の多様化・高度化等に伴い、消費者には、自分たちの食べものが、

どこで誰によってどのように作られているかが見えにくくなっています。

つまり「食と農の間の距離」が拡大してしまっていることが、食に対す

る不安感を高める要因ともなっているのです。

 食に対する不安感を減らしていくための方策を考える場合、この辺り

にヒントがありそうです。

 

[出典、参考資料等]

 農林水産省「健康に関するリスクコミュニケーションの原理と実践の入門書」

  http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/r_risk_comm/index.html 

 

 FM豆知識のページ(ウェブサイト「フード・マイレージ資料室」)

  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/fm-data_mame.html

 

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  オーシャン・カレント 潮目を変える

  食や農の分野について、先進的かつユニークな活動に取り組んでお

 られる方達やトピックスを紹介しています。

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 【広野わいわいプロジェクト】

 福島・広野町は、いわゆる浜通り地方と呼ばれる双葉郡8町村の入り口

に位置しており、福島第一原発事故の収束・廃炉作業の最前線でもあり

ます。

 その地で活動する「広野わいわいプロジェクト」(広野サステナブル

コミュニティ推進協議会)は、「広野町の自然など地域資源を活用し、

町内外の叡智を集め、交流人口を増やし、直面する課題に対しイノベー

ションを興し、地域の復興・未来づくりに寄与すること」を目的として

しています。

 

 昨年度は復興庁「『新しい東北』先導モデル事業」を活用し、7月10

11日に開催されたキックオフフォーラムを皮切りに、広野パークフェ

スや防災緑地でのプレゼントツリーの実施、特産品を活用した商品開発

を通して地域外との交流を促進するとともに、広野町民の仕事を創出し、

町民の帰還促進とコミュニティの再生につなげる活動に取り組みました。

 

 そして本年はNPOの認証を取得、ますますその活動の幅を広げつつあり

ます。

 これら取組の一環として、今年度は福島県「ふるさと・きずな維持・

再生支援事業」を活用し、広野町と首都圏を結ぶボランティアバスを3

にわたり運行することになっています。

 

 その第1回は724日(日)に行われます(参加費はバス代、昼食代等

込みで3500円)。

 朝の7時に新宿駅西口に集合し、10時半頃に到着後広野町浅見川地区の

コットン畑に到着して草刈作業を実施。昼食後は、防災緑地(「Present

Tree in ひろの」エリア)に移動して下草刈りを行い、最後は希望者は

温泉で汗を流した後、20時頃に新宿に戻る予定となっています。

 

 私は、認定NPO法人「JKSK 女性の活力を社会の活力に」が主催するオ

ーガニックコットン・ボランティアバスに2013年から個人的に参加させ

て頂くなかで、東日本大震災、原発事故の被災地である福島・浜通り地

方の姿は、復興が進んでいる部分もあると同時に、まだまだ大きな問題

も抱えていることを理解することができました。

 そのような状況の中で、地元の方たちは新しい地域づくりに取り組ん

でおられるのです。

 

 東日本大震災から間もなく54ヶ月。

 ぜひ、一人でも多くの方が現地に足を運び、現地の方たちと交流する

ことで、自分自身の目と耳と心で復興の現状を肌で感じていただきたい

と思います。

 

[参考]

 広野わいわいプロジェクト(FBページ)

 https://www.facebook.com/hirono.waiwai.project/

 

 いわきおてんとSUN企業組合ホームページ

 「双葉八町村に春を呼ぶ!福島県広野町応援プロジェクト

  ふくしまオーガニックコットン
ボラバス2016」(募集案内)

 http://www.iwaki-otentosun.jp/otentosun/news/2016/06/724_2016.php

 

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  情報ひろば

  拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベント

 の開催情報等をお届します。

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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」更新情報

 2016 日本フードシステム学会大会 (06/22)

  http://food-mileage.jp/2016/06/22/

 世界農業遺産(GIAHS)と地域ブランディング宮崎・椎葉村に学ぶ (06/24)

  http://food-mileage.jp/2016/06/24/

 脱成長ミーティング公開研究会(第11回) (07/01)

  http://food-mileage.jp/2016/07/01/

 

 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。

  なお、既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には

 必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

 

【筆者も発起人の一人です】

 がまだせ、くまもと! 食べて呑んで勝手に熊本を応援する会

 日時:79日(土)13:0015:0012:45開場)

 場所:全国うまいもの交流サロン
なみへい(東京・中央区日本橋本石町4

  http://www.namihei5963.com/namihei-board/list4.html

 発起人:蔦谷栄一氏、茂木正光氏、植村春香氏、中田哲也

 協力:くまもと食べる通信、全国うまいもの交流サロン
なみへい

 (詳細、お問合せ等

  http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/160709kumamoto2.pdf

 

 * お蔭様で予定の定員に達しました。申し込み下さった皆様、有難

  うございました。

   これ以降の申込みはキャンセル待ちの取扱いとさせて頂きます。

 

【その他】

 【農政の基礎知識セミナー】7/6「コミュニティ農業」研究会

 日時:76日(水)19:0021:00

 場所:ルノアールマイスペース銀座マロニエ通り6号室(東京・銀座3-9-4

 主催:銀座農業環境イニシアティブ、農業情報総合研究所

 (詳細、お問合せ等

  http://m-motegi.at.webry.info/201606/article_2.html

 

 Charity
CONCERT~pray for kumamoto~

 日時:710日(日)14:0015:30

 場所:ハリウッドビューティプラザ(東京・港区六本木ヒルズ4F

 主催:風戸直子さん、谷口実紗さん

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1774123109540789/

 

 〔結イレブンvol.31 ほんとの空の下で考える ほんとの幸の育てかた

 日時:710日(日)9時に福島・JR郡山駅前ロータリー集合〜11日(月・祝)

 場所:福島・二本松市
岳温泉(トレイルウォーカーの運営ボランティア)

 主催:結イレブン

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1829506160614708/

 

 奥沢ブッククラブ(第10回)

 日時:714日(木)180021:00

 場所:シェア奥沢(東京・世田谷区自由が丘)

 主催:奥沢ブッククラブ

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/1561910077446434/

 

 5回 森の読書会

 日時:716日(土)140015:30

 場所:森の食卓(東京・三鷹市井の頭5

 主催:森の読書会

 (詳細、お問合せ等

  https://www.facebook.com/events/144419235966066/

 

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* 今号のコツコツ小咄。

 「日銀の金利政策についてコメントを」

 「うちの市民農園で茄子ができ始めているんだよ」

 「はあ、何のことですか?」

 「どちらも、My 茄子(マイナス)」」

 

注:「コツコツ小咄」は、拙FBページにて土日祝を除く毎日、絶賛(?)

  投稿中です。

  https://www.facebook.com/tetsuya.nakata.7

 

* 次号No.98は、718日(月)[水無月十五日]の配信予定です。

 

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて

 頂いています。いつもありがとうございます。

  http://www.lunaworks.jp/

 

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方

 は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。

 

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F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信ID;0001579997】 

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  発行者:中田哲也

 

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