【メルマガ】F.M.Letter No.189

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.189◇
 2020年3月24日(火)[和暦 弥生朔日]発行
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◆ F.M.豆知識  切り花の購入額の推移
◆ O.カレント  花いっぱいプロジェクト
◆ ほんのさわり 朱川湊人『花まんま』
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 和暦では今日から弥生。草木が生い茂る「いやおい」の季節。
 桜を始め様々な花も咲き誇る季節を迎えたはずなのですが、今年は新型コロナウイルスの影響で花と触れあう機会が減少しています。今回は、前回の桜に続き、花について取り上げてみました。
 本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介していきます。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/mame/ 

-切り花の購入額の推移-

花は日々の生活に潤いをもたしてくれます。
 一般的に所得が上昇し経済が成熟するのに伴い、基礎的食料のような必需財から、花など生活の質を向上させる財へと需要(支出額)がシフトすると考えられますが、実際にはどうなのでしょうか。
 リンク先の図189は、家計における切り花への支出額の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2020/03/189_kiribana.pdf

 これによると、2000年における1世帯当たりの切り花に対する支出金額は全世帯平均で11,553円でしたが、右肩下がりで推移しており、2019年には8,401円と7割強の水準に減少しています。
 このことは、近年の経済や所得に対する実感を反映しているものとも考えられます。
 なお、日本の花に対する消費額が欧米と比べて少ないことは、かねてより指摘されているところです。

 ところでグラフは、年間収入五分位階級別(低い方から1~5、グラフではローマ数字で記載)にも表していますが、興味深い結果となっています。
 もともと切り花への支出額は最も所得が多い5層で高かったのですが、近年、支出額は大きく減少しており、現在はほぼ平均水準となっています。また、次いで所得の多い4層では平均を大きく下回っています。
 これに対して、所得の少ない1、2層における切り花の購入額が、平均を上回る状況になっているのです。
 これら層においては、せめて花を買うことによって生活の豊かさを求めようとしているのかも知れません。

[資料]
 総務省『家計調査』
 (家計収支編、2人以上の世帯、詳細結果表、品目分類、年)
 https://www.stat.go.jp/data/kakei/index3.html

◆ オーシャン・カレント-潮目を変える-
 食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックス等を紹介します。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/pr/ 

-花いっぱい応援プロジェクト(農林水産省)-

例年3月は、卒業式や送別会等のイベントやお彼岸需要により、花きの需要が最も高まる時期のひとつです(「花き(卉)」とは、切花や鉢花など観賞用の植物のこと)。

 しかしながら本年は、新型コロナウイルスの影響で各種イベントが中止されること等により、花きの需要が落ち込んでいます。
 このため、農林水産省では家庭や職場での花飾りや花の購入促進のキャンペーンを実施しています。
 具体的には、ホワイトデーを含む花を贈ったり胸ポケットに生花のコサージュを挿す取組みの推進・推奨、イベント等の開催自粛で余剰になった花を産地の生産者と連携しての販売、庁舎内や公共スペースでの花飾りのほか、公式SNSを通じた情報発信等を行っています。
(九州農政局作成のYoutubeはこちら)。
 https://www.youtube.com/watch?v=Mlky1vJI0EY 

 また、JAグループでも「花を贈って応援~みんなのよい花プロジェクト」として、家族・友人へのお祝いや感謝、卒業、送別等で花の利用を呼びかけています。

 この機会に花をより身近なものにして、生活に彩りを加えてみませんか。

[参考]
 農林水産省「花いっぱいプロジェクト」
  https://www.maff.go.jp/j/seisan/kaki/flower/hana-project.html 

 JAグループ「花を贈って応援~みんなのよい花プロジェクト」
  https://www.agrinews.co.jp/p50291.html 

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/br/


-朱川湊人『花まんま』(2005.4、文芸春秋社)-
 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163238401 

著者は1963年大阪府生まれ。出版社勤務を経て作家デビュー、本書で第35回直木賞を受賞されています。

 主人公は大阪の下町に住む小学生中学年の男児。
 4歳違いの妹が生まれた時は、お父さんと一緒に病院の前で万歳を叫びました(お父さんはその後、交通事故で死去)。
 そんな可愛いがっていた妹が小学生に上がった頃、ある日突然、自分はある人の生まれ変わりだと言い出したのです。しかもかなり詳しい夢を見ているようです。

 妹に懇願され、幼いきょうだいは電車に乗って女性が住んでいた彦根に向かい、女性の家族と会います。そして女性の父親が、娘を事件で亡くして以来、いっさい食事をとっていないことを知ります。
 そして、妹に託されて父親に届けた弁当箱のなかには・・・。

 サスペンスやホラー小説の香りをまといながら、鮮やかな花の色が想像されて心に沁みる、珠玉の小品です。
 花には、時空を超えて、人の心を結びつける力があるのかも知れません。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

 ▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報

○ケインズの「国家的自給」[3/14]
 https://food-mileage.jp/2020/03/14/blog-261/

○銀河鉄道バス、走る![3/18]
 https://food-mileage.jp/2020/03/18/blog-262/

 ▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 地域発のアルコール飲料が日本を変える
 ~見沼たんぼ発のジンジャービアと大学生発の農学原酒~
 日時:4月4日(土)14:00~16:50
 場所:ちよだプラットフォームスクウェア(東京・竹橋)
 主催:戦略経営研究会
 (詳細、お問合せ先等↓)
 https://m-motegi.at.webry.info/202002/article_4.html

○ 奥沢ブッククラブ第54回「閉鎖病棟」
 日時:4月13日(月)19:00~21:00
 場所:シェア奥沢(東京・自由が丘)
 主催:奥沢ブッククラブ
 (詳細、お問合せ先等↓)
 https://www.facebook.com/events/668150850426509/ 

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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
「卒業式の時に先生に貰った桜餅が美味しくて、忘れられないの」
「和菓子(我が師)の恩ね」

 コツコツ小咄(まとめ)は拙ウェブサイトにも写真入りで掲載してあります。
 http://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.190は4月7日(火)[和暦 弥生十五日]に配信予定です。
 明るい年度始めになっていればいいのですが。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
 いつもありがとうございます。
  http://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。

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◆ F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】
 発行者:中田哲也
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