◇フード・マイレージ資料室 通信 No.195◇
2020年6月21日(日)[和暦 皐月朔日発行]
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◆ F.M.豆知識 2020年4月の食料費支出
◆ O.カレント 楢葉町食生活改善推進員会
◆ ほんのさわり 前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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和暦では2月に渡った卯月が終わり、皐月に入りました。夏至の今日も雨模様。稲など作物の生長には欠かせない雨です。
本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に配信しています。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介していきます。
(過去の記事はこちらにも掲載)
http://food-mileage.jp/category/mame/
−2020年4月の食料費支出−

新型コロナウイルス感染症に伴う外出自粛は、私たちのライフスタイルや消費行動に大きな影響を及ぼしたことは、統計からも明らかになっています。
リンク先の図195は、2020年4月の食料等への支出の様子を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2020/06/195_kakei.pdf
これによると、消費支出全体は前年同月に比べ実質11.1%減少しています。
食料に対する支出額も6.6%減少していますが、その内訳をみると、費目ごとに大きな差があります。
特に大きく減少しているのは外食で、実に66%も減少しています。パンは6%、菓子類は12%減少しています。
これらに対して、米、麺類、肉・乳卵、野菜、油脂・調味料、酒類等は10%以上増加しています。
また、食料以外でも、洋服や口紅、パック旅行費が大きく減少する一方、パソコンやゲーム機は大きく増加しています。
外出の自粛、休校や在宅勤務の広がりにより、いわゆる「巣ごもり需要」が大きく増大しているのです。このような消費行動の変化は、経済や社会にも大きな影響を及ぼしていることを伺わせます。
[資料]
総務省「家計調査」
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_rf1.pdf
◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックス等を紹介します。
(過去の記事はこちらにも掲載)
http://food-mileage.jp/category/pr/
−楢葉町食生活改善推進員会−

6月の食育月間に、毎年、優れた活動に対する全国表彰が行われています。
今年(第4回)、ボランティア部門で農林水産大臣賞を受賞されたのが楢葉町(ならはまち)食生活改善推進員会です。原発事故の被災地である福島・浜通りで30年以上にわたって食生活改善の推進に取り組んで来られました。
2011年の東日本大震災・原発事故により楢葉町でも全町民が避難し、一時、本会も活動の停止を余儀なくされました。
しかし2014年には早くも活動を再開。特に地元住民の方々にとって重要かつ緊急な課題であった放射線と食の安全についての問題にも正面から取り組んでいます。
具体的には、サロンやミニデイサービスの機会を捉え、専門家からの講話とともに、町の食品放射線検査所で検査した自家栽培の野菜を使った食事を調理し提供し、また、研修会を開催するなどして、住民の不安の解消と正しい知識の習得を目指しています。
これらは、地域に根差した先進的なリスクコミュニケーションの実践例として注目されます。
6月27日(土)に愛知・常滑市で予定されていた全国大会(表彰式)は、残念ながら新型コロナウイルス感染症の影響で中止されたそうですが、本会をはじめ様々な先進的な取組みが全国展開していくことが期待されます。
[参考]
第4回 食育活動表彰結果(農水省HP)
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/hyousyo/4th/result.html
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。
(過去の記事はこちらにも掲載)
http://food-mileage.jp/category/br/
−前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』(2017.5、光文社新書)−
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334039899

世界がコロナ禍に苦しんでいる現在、アフリカや南アジアではバッタが大量発生し農作物に大きな被害を与えています。
1980年秋田県生まれ、小学生の頃に読んだ『ファーブル昆虫記』に感銘を受けた著者は、昆虫学者になる(バッタに食べられたい(?))という夢の実現のため、単身、アフリカに長期滞在しサバクトビバッタの研究に従事。本書は、無収入のポスドク(当時)による「バッタと大人の事情を相手に繰り広げた死闘の日々」を綴ったものです。
なお、「ウルド」とはモーリタニアで最も名誉あるミドルネームで、現地の研究所長から授かったものとのこと。
本書では、バッタの群れを求めて移動する砂漠の光景(サソリも登場)、世界中から資金を調達しバッタの防除に手を尽くす現地の苦闘、研究所の上司・同僚や相棒の運転手氏との交流、フィールドワークと論文執筆、職を得るためのブログ等による「売名行為」や大学等への応募と面接の様子などが、ユーモアあふれる軽快なタッチで描かれています。
著者自らが撮影した多数の写真も、現地の様子を大いに想像させてくれます。
無収入で将来に不安を抱きつつ研究を続ける中、著者は貧しさの痛みと、手を差し伸べてくれる人の優しさと、本気でバッタ研究に人生を捧げようとする自分の本音を知ったそうです。
「研究ができることは、こんなにも幸せなことだったのか」
分野に関係なく、研究というものの素晴らしさを教えてくれる本でもあります。
◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。
▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
〇オンライン読書会、梅雨入り、お米の有難さ。[6/13]
https://food-mileage.jp/2020/06/13/blog-269/
▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。
○ オンライン市民科学講座
シリーズ「生活のなかの科学技術リスク」(第1期)全13回
日時:2020年4月23日(木)19:00〜最長21:00、
〜7月16日(木)
(直近は6月26日(金)、7月2日(木))
場所:オンライン(ZOOM)
主催:市民科学研究室
(詳細、お問合せ先等↓)
https://www.shiminkagaku.org/online_csijseminar_2020/
○ ちよだいちばLet’s産直クッキング!
−第1回あんず農家が教えるフレッシュあんずジャム作り−
日時:2020年7月5日(日)14:00〜15:45
場所:オンライン(ZOOM)
主催:ちよだいちば
(詳細、お問合せ先等↓)
https://www.chiyodaichiba.com/event/e-5650/
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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
「梅雨時の靴下って、バッタみたいね」
「えっ、どういうこと?」
「蒸れる(群れる)と危険」
コツコツ小咄は拙ウェブサイトにも写真入りで掲載してあります。
http://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号No.196は7月5日(日)[和暦 皐月十五日]に配信予定です。
より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
いつもありがとうございます。
https://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】
発行者:中田哲也
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バックナンバー
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ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」
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