【ほんのさわり】中村光博『「駅の子」の闘い』

−中村光博『「駅の子」の闘い−戦争孤児たちの埋もれてきた戦後史』(2020年1月、幻冬舎新書)−
 https://www.gentosha.co.jp/book/b12871.html

終戦直後の日本の都市は、戦地や空襲で父母を失うなどして行き場をなくした孤児たちで溢れていました。
 全国の戦争孤児の数は、終戦から2年半後に行った厚生省の調査でも全国で12万3千人にのぼったそうです(終戦直後はさらに多かったと思われます)。
 雨風をしのぐために焼け残った駅舎で寝起きする子どもたちは、「駅の子」とも呼ばれました。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】松郷開拓地(埼玉・所沢市)

(2022.8/8、筆者撮影)

戦後の深刻な食料不足に対処するため、政府は全国各地で緊急に開拓事業を実施することとなりました。
 筆者の住いの近隣にある埼玉・所沢市(当時は所沢町、柳瀬村)においても、旧陸軍所沢飛行場跡地を含めて開拓が進められました。そのなかでも松郷(松井地区)は、最も規模の大きな開拓地の一つでした。

現在、その地には「松郷開拓の碑」があります。開拓30周年を記念して昭和五十二(1977)年に建てられたものです。
 碑文によると、昭和二十一(1946)年の夏、県から平地林を入植者等に解放するという提案がなされ、防災面等から平地林の伐採に反対する地主との2年以上の話し合いを経て、翌々年十月、入植者30名、地元の増反者150名に対して農用地90ha、防風林用地40ha等を配分することが決定されたとのこと。なお、電気が通ったのは、さらに5年後だったそうです。… 続きを読む

【豆知識】終戦直後の栄養摂取状況

昭和20(1945)年8月、終戦を迎えた日本は深刻な食料不足に見舞われていました。
 農民の出征により国内の農業生産基盤がぜい弱化していたなか、大陸や台湾等からの食料供給は途絶え、さらに戦地から多くの兵士が復員してきたためです。

リンク先のグラフは、現在、厚生労働省のホームページで入手できる最も古い国民栄養調査(現在は国民健康・栄養調査)から作成したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/08/248_sengo.pdf

これによると、昭和21(1946)年の熱量摂取量(棒グラフ)は、都市では1,721kcal(単純平均)であるのに対して農村では2,084kcal。翌年はそれぞれ1,772kcal、2,136kcalへと増加しているものの、顕著な改善は見られません。また、都市は2年間を通じて農村の8割強の水準に留まっています。… 続きを読む

【ほんのさわり】塩見直紀ほか『半農半X』

−塩見直紀、藤山 浩、宇根 豊、榊田みどり編『半農半X−これまで・これから』(2021年11月、創森社)−
 http://soshinsha.sakura.ne.jp/bookdetail.php?id=420

「半農半X」(はんのう・はんエックス)とは、農ある小さな暮らしをベースに、その人ごとの天与の才(天職、生きがい)を世に活かすという生き方。言い換えれば、農業を営みながら、自分の好きなやりがいのある仕事に携わるというライフスタイルのことです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】地域農政未来塾

全国の町村の連合組織である全国町村会(本部:東京・千代田区永田町)が開講している「地域農政未来塾」は、農業・農村を取り巻く環境が大きく変化するなか、自ら地域の課題に気づき、学び、考え、提案し、そして実行できる町村職員を養成することを目的としています。

6期目となる2022年度は、公募で選ばれた全国からの18名の受講生が参加し、来年2月にかけて計7回の講座やゼミが開かれています。
 塾長は生源寺眞一先生(福島大学教授・食農学類長)。少人数に分かれてのゼミを担当する主任講師は、小田切徳美先生(明治大学農学部教授)、榊田みどりさん(農業ジャーナリスト・明治大学客員教授)、荘林幹太郎先生(学習院女子大学副学長・教授)、中嶋康博先生(東京大学大学院教授)の4名。
 他にも、それぞれの分野での第一人者である30名近くの講師陣による講義も行われます。

私も榊田さんのゼミを少し協力させて頂きましたが、受講生は意欲的な方ばかりでした。… 続きを読む

【豆知識】東村山市、東京都の農業の特色

去る7月22日(金)、榊田みどりさん(農業ジャーナリスト、明治大学客員教授)のご依頼を受けて、地域農政未来塾(「オーシャン・カレント欄」参照)において「農林水産統計の調べ方、使い方」について説明させて頂きました。
 その際、せっかくの機会でしたので、私も自分が住んでいる東京・東村山市の農業について調べてみました。

市町村の農林水産業について調べる時に役に立つのが、農林水産省・統計情報のホームページで公開されている「わがマチ・わがムラ(市町村データ)」です。
 このサイトでは、日本地図から調べたい市町村を選択すると、その市町村の土地面積や人口、農林水産業に関するデータの一覧が表示されます(ランキングや週択単位のデータを見ることもできます)。
 また、データは、所在する都道府県及び全国のデータと同時にCVS形式でダウンロードすることができます。… 続きを読む

【ブログ】松郷開拓地(埼玉・所沢市)

「八月や六日九日十五日」
 毎年8月は鎮魂と平和を祈念する月です。しかしウクライナでの戦火がやまない今年の8月は、平穏な気持ちで過ごせそうにはありません。

 2022年8月6日(土)は、広島に原爆が投下されてから77年目の日。
 自宅近くに一画を借りている市民農園へ。
 今年も多くの恵みを頂いた夏野菜はほぼ終了。枝豆も最後の収穫。スイートコーンはもう少し残っています。… 続きを読む

【説明資料】地域農政未来塾において「統計の調べ方、使い方」について説明させて頂きました。

去る2022年7月22日(金)、地域農政未来塾(全国町村会主催)において、主任講師の一人である榊田みどりさん(農業ジャーナリスト、明治大学客員教授)からの依頼を受け、「農林水産統計の調べ方、使い方」について説明させて頂きました。

フード・マイレージとは関係ありませんが、説明資料を掲載します。
 なお、当日の模様(拙ブログ)は… 続きを読む

【ブログ】「地域農政未来塾」と、東村山の農業史

全国の町村の連合組織である全国町村会(本部:東京・千代田区永田町)が主催する「地域農政未来塾」は、農業・農村を取り巻く環境が大きく変化するなか、自ら地域の課題に気づき、学び、考え、提案し、そして実行できる町村職員を養成することを目的としています。

 6期目となる2022年度は、全国からの18名の町村職員の方が参加し、計7回の講座やゼミが開かれることとなっています(一流の講師による密度の高い内容です)。

左は
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【ほんのさわり】下川 哲『食べる経済学』

−下川 哲『食べる経済学』(2021年12月、大和書房)−
 https://www.daiwashobo.co.jp/book/b590669.html

著者は北海道大学農学部農業経済学科卒業、アメリカ・コーネル大学で博士号を取得され、現職は早稲田大学政治経済学術院准教授。
 ごく日常的な私たちの「食べる」という行為は、実は地球全体の資源や環境に予想を超えるほどの大きな影響を及ぼしています。そのことに気づくことで、「健康的で持続的な食生活」への変革を促そうというのが、本書のテーマです。… 続きを読む