食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介しました。
https://food-mileage.jp/category/br/


-より豊かな未来の食のために-
「F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-」のなかで、食や農の分野について考えるヒントとなる本の「さわり」だけを紹介しています。
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介しました。
https://food-mileage.jp/category/br/

−鈴木宣弘『世界で最初に飢えるのは日本−食の安全保障をどう守るか』(2022年11月、講談社+α新書)−
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000369740

かねて日本の食と農をめぐる危機を告発し続けてきた著者(東京大学大学院教授)が、ロシアによるウクライナ侵攻など最新の情勢を踏まえ改めて世界的な危機の現状を整理した上で、日本人が飢餓を回避するためのヒントを探った書です。
帯にある「日本人の6割が餓死する」との刺激的なフレーズは、アメリカの大学の研究者らによる研究成果−核戦争が勃発した場合、食料生産の減少と物流停止によって世界全体で2.55億人が餓死し、うち7200万人が日本に集中するというもの−から引用されています。
2020年度の日本のカロリーベースの食料自給率は37%(注:21年度は38%)ですが、種や肥料の海外依存度を考慮すると10%にも届かないとの著者の試算も紹介されています。… 続きを読む

−『振り返れば未来−山下惣一聞き書き』(2022年12月、不知火書房)−
https://www.nishinippon.co.jp/image/581593/
本年7月、佐賀・唐津の農民作家である山下惣一さんが逝去されました(享年86)。個人的な話で恐縮ながら、私にとって山下さんの著作は、人生の節々における羅針盤でした。
本書は、生前、ご自身の生涯を振り返りつつ語られた内容について、西日本新聞に連載された記事を基に、約2倍の分量に加筆され、一冊の単行本としてまとめられたものです。
聞き手は、山下さんの弟子と自称されている佐藤 … 続きを読む

−小川 糸『ライオンのおやつ』(2022年10月、ポプラ文庫)−
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8101455.html
デビュー作『食堂かたつむり』(2008年)でも、食べものにまつわる優しい人生の物語を紡いだ著者の新作。2020年本屋大賞では2位にランクされたそうです(テレビドラマ化もされたとのこと)。
末期がんの33歳の主人公は、クリスマスの日、瀬戸内海の「レモン島」にあるホスピス「ライオンの家」に入居します。彼女を迎えてくれたのは「マドンナ」と名乗るオーナー兼看護士、医師などのスタッフ、個性的な入居者(ゲスト)たち、一匹の犬。それに高齢の姉妹が作ってくれるおいしい食べものでした。… 続きを読む

−アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(2020年11月、新潮新書)−
https://www.shinchosha.co.jp/book/610882/
1974年生まれのスウェーデンの精神科医が、スマホなどデジタル技術に過度に依存することの危険性に警鐘を鳴らした世界的なベストセラーです。
スマホ依存がもたらしている様々な弊害について、本書では実に多くの実験結果や研究成果が引用・紹介されています。
例えば、スマホやパソコンの前で過ごす時間が長いほど気分が落ち込む。フェイスブックに時間を使う人ほど(他人と比較する等により)自信を失い幸福感が減る。… 続きを読む

−中藤 玲『安いニッポン−「価格」が示す停滞』(2021年3月、日経BP新書)−
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/2021/9784532264536/
著者は1987生まれ。愛媛新聞社を経て現在は日本経済新聞社編集局企業報道部に勤務し、2019年12月に3回にわたって連載された「安いニッポン」シリーズを担当しました。本書は、大きな反響を呼んだこの連載をもとに書き下ろされたものです。
海外旅行先で高い価格に驚いた著者は、各国の様々な「価格」を取材・調査し、日本と比較してみました。… 続きを読む
−長野路代、佐藤 弘『ながのばあちゃんの食育指南』(2015年8月、西日本新聞社)−
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/199107/
長野路代さんは1930年、福岡・飯塚市の農家に生まれました。
終戦後まもなく母親が急逝し、一家の料理作りを十代で担うことに。ところが当時は農家であっても供出等により一握りの米もなく、一日の重労働(農業)を終えて帰ってきた父親が、ドロドロに炊いたサツマイモ等を黙って食べる姿が、涙で見えなかったとのこと。… 続きを読む

−山本謙治『エシカルフード』(2022年3月、角川新書)−
https://www.kadokawa.co.jp/product/321805000137/
著者は1971年愛媛県生まれ埼玉県育ち。「やまけん」さんの愛称で、全国の「おいしいもの」情報を広く発信されています(ブログは私も長年愛読しています)。
著者は、日本では食の分野を含めてエシカル(倫理的)消費が拡がらないことを残念に思っています。
例えばトレーサビリティや有機農業についても、日本では利己的な目的(個人の安全や健康)のためのものとして捉えられているのに対して、ヨーロッパでは利他的で普遍的な価値(環境や人権など)を守るために取り組まれているのです。… 続きを読む

黒川祐次『物語 ウクライナの歴史』(2002年8月、中公新書)
https://www.chuko.co.jp/shinsho/2002/08/101655.html
外務省で駐ウクライナ大使等を歴任した著者が2002年に発表した本書が、ロシアのウクライナ侵攻を受けて改めて注目されて版を重ねています(手元にあるのは14版(2022年4月))。
10世紀のキエフ・ルーシ公国以来の歴史がありながら、ロシア・ソ連、ドイツ、ポーランドなど周辺の強国の圧迫と思惑により、ウクライナは1991年まで実質的な独立はできませんでした。ウクライナの歴史は「国のない」民族の歴史だったのです。… 続きを読む

−中村光博『「駅の子」の闘い−戦争孤児たちの埋もれてきた戦後史』(2020年1月、幻冬舎新書)−
https://www.gentosha.co.jp/book/b12871.html
終戦直後の日本の都市は、戦地や空襲で父母を失うなどして行き場をなくした孤児たちで溢れていました。
全国の戦争孤児の数は、終戦から2年半後に行った厚生省の調査でも全国で12万3千人にのぼったそうです(終戦直後はさらに多かったと思われます)。
雨風をしのぐために焼け残った駅舎で寝起きする子どもたちは、「駅の子」とも呼ばれました。… 続きを読む

−塩見直紀、藤山 浩、宇根 豊、榊田みどり編『半農半X−これまで・これから』(2021年11月、創森社)−
http://soshinsha.sakura.ne.jp/bookdetail.php?id=420
「半農半X」(はんのう・はんエックス)とは、農ある小さな暮らしをベースに、その人ごとの天与の才(天職、生きがい)を世に活かすという生き方。言い換えれば、農業を営みながら、自分の好きなやりがいのある仕事に携わるというライフスタイルのことです。… 続きを読む

−下川 哲『食べる経済学』(2021年12月、大和書房)−
https://www.daiwashobo.co.jp/book/b590669.html
著者は北海道大学農学部農業経済学科卒業、アメリカ・コーネル大学で博士号を取得され、現職は早稲田大学政治経済学術院准教授。
ごく日常的な私たちの「食べる」という行為は、実は地球全体の資源や環境に予想を超えるほどの大きな影響を及ぼしています。そのことに気づくことで、「健康的で持続的な食生活」への変革を促そうというのが、本書のテーマです。… 続きを読む

−火野葦平『麦と兵隊』(1960/8、角川文庫)−
https://www.kadokawa.co.jp/product/322011000418/
1938年5月、芥川賞を受賞したばかりの火野葦平は、日本陸軍支那派遣軍の報道部員として徐州作戦に従軍します(大量の宣伝ビラを撒くのも任務の一つでした)。
一時は火野自身も行方不明になったと報じられるほどの激戦の中、手帳に記した記録をもとに書かれたのが本書です。同年8月、「銃後」の日本で発表されるとたちまちベストセラーとなり、関連して作成された歌謡曲や映画も大ヒットしました。
本書で印象的に描かれているのが、一面に続く麦畑の光景です。… 続きを読む

−萬田正治、山下惣一監修 小農学会編著『新しい小農〜その歩み・営み・強み』(2019/11、創森社)−
http://www.soshinsha-pub.com/bookdetail.php?id=404
萬田正治先生(鹿児島大学名誉教授)、山下惣一さん(農民作家、佐賀)達の呼びかけにより、2015年7月、福岡市で開催された小農学会設立総会には、全国から農家、研究者、ジャーナリストなど90人ほどが参加しました。
農的暮らし、田舎暮らし、菜園家族、定年帰農、市民農園、半農半Xなどに取り組む都市生活者も含む「小農」学会では、学会誌の発行、定期セミナーの開催(オーシャン・カレント欄参照)など様々な活動を行っています。… 続きを読む

−西川芳昭『食と農の知識論-種子から食卓を繋ぐ環世界をめぐって』(2021/2、東信堂)−
https://www.toshindo-pub.com/book/91638/
1960年、奈良県の採種農家に生まれた著者は、大学で作物遺伝学を専攻し、現在は龍谷大学において、重要な遺伝資源である種子の持続可能な保全と利用方法等について社会経済的な観点から研究されています。
近年、SNS等において不安を煽るような誤った断片的な情報が氾濫しています(在来種の自己増殖が禁止される、多国籍企業による遺伝子組み換え種子に席巻される、かびないパン、食べてはいけない・・・等々)。そして、これらに騙され信じる人が増えていることを著者は強く憂慮しているとのこと。
例えば、主要農作物種子法の廃止や種苗法改正に反対する主張には、科学リテラシーや法律知識が不足しているものが多く、なかには明らかに非科学的なデマ(問えばF1が少子化につながる等)もあると著者は指摘します。… 続きを読む