【オーシャン・カレント】「こじまん」さん


 「こじまん」さん(女性)は愛知県出身。今年の春、20年近く勤めた大手印刷関係の会社を退職して山梨県に移住し、就農を目指して研修(職業訓練)中です。

もともと農業にはそれほど興味は無かったというこじまんさんですが、10年ほど前に歩き旅で四国八十八カ所巡りをした際、「お接待」で頂いたおむすび等の美味しさと同時に力の源になることに感動。
 これをきっかけに、食べものや、それをつくる農業に関心を抱くようになったそうです。

その後、千葉・鴨川市の棚田での米づくり、東京・檜原村でのゴマ栽培、品川での野菜マルシェ等の活動に積極的に参加するなか、農業に対する関心がさらに強まっていきました。
 そして昨年、本格的に農業を始めたいと一念発起、今年3月には山梨・北杜市に移住、4月から山梨県立農業大学校に通っています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】山梨・上野原市西原(さいはら)地区

JR中央線で東京・高尾から3駅目が上野原。そこからバスで相模川水系鶴川を遡るように40分ほど北上したところに、上野原市西原(さいはら)地区があります。
 山に囲まれ平坦地は少ないため、昔から蕎麦、あわ、ひえなどの雑穀や、小麦やジャガイモを中心とする農業が営まれてきました。

1950年代には約2,500人いた人口は現在は570人程度にまで減少しており、しかも65歳以上が半分を占めています。外形的には、典型的な中山間地の過疎地域です。
 しかし、近年は都会から移住する人も多く、地元の方達と力を合わせて様々な新しい活動(例えば「雑穀の村復活プロジェクト」、古民家を改修した民宿等) に取り組んでいるなど、活気のある地域です。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】谷内(赤木)美名子さん(新潟・上越市大賀)


(写真:「上越市ふるさと暮らしセミナー」(2017.9/2)チラシより)

岡山市出身の谷内(赤木)美名子さんは、東京の服飾関係の会社に就職しパタンナーとして働いておられました。パタンナーとは、ファッション・デザイナーがイメージした画から型紙を起こして試作するという、流行の先端を行く仕事です。
 そして、外資系証券界者に勤めておられた幹典さん(金沢市出身)と知り合い、結婚されました。

お二人の人生の転機となったのは5年前の大寒の日。「杜氏の郷」と呼ばれる新潟・上越市吉川区の酒蔵で開催された酒づくり体験会に参加されたのです。
 棚田の雪景色の美しさや、交流会での地域の方たちとの暖かい触れ合いに感動し、その後、折にふれて吉川区に通うようになりました。そしてある日、ご主人から「移住して農業をしながら杜氏を目指したい」という夢を打ち明けられたのです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座総合コース(第7期

東京の伝統野菜の普及に取り組む江戸東京野菜コンシェルジュ協会が、今年も江戸東京野菜コンシェルジュ育成講座総合コース(第7期)を開催します
 https://www.edo831.tokyo/kouza/2111
 これは、東京の伝統野菜の魅力を伝えるエキスパート「江戸東京野菜コンシェルジュ」の育成を目的とした資格取得講座で、以下の3日間の日程で開催されます。
 受講を希望される方は、主催者までお問合せ・申込みください。

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【オーシャン・カレント】2016年度の食料自給率

農林水産省は去る8月9日、2016年度の食料自給率(概算値)を公表しました。
 カロリーベースの総合食料自給率は、2010年度から5年連続で39%で横ばいでしたが、2016年度には1ポイント低下して38%となりました。これは、小麦及びてんさい等が、北海道の豪雨など天候不順により生産量が減少したためです。
 一方、生産額ベースについては、近年、60%で推移しており、2016年度には前年度から2ポイント上昇し68%となりました。これは、野菜及び果実の輸入額が減少する中で国内生産額が増加したこと等によるものです。

また、昨年からは、日本の食料の潜在生産能力の動向を把握する「食料自給力指標」も公表されています。
 これは、国内生産でどれだけの食料を最大限生産することが可能かを試算した指標で、2016年度は農地面積の減少や単収の伸び悩み等により、全体として昨年度から微減となっているものの、いも類中心型の食生活パターンとした場合は必要なエネルギー必要量の水準を上回っています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】都庁職員食堂(西洋フード・コンパスグループ)

戦後からの復興を象徴するかのように東京・西新宿にそびえる東京都庁第1庁舎。
 その32階南側に西洋フード・コンパスグループ(株)が運営する都庁職員食堂があります。職員だけではなく、用務で都庁を訪れた一般の方等も利用することができます(入庁するためにはセキュリティ上の手続きが必要)。

この食堂は、都内産農林水産物を積極的に使用し、その良さを来店者等に情報発信する飲食店「とうきょう特産食材使用店」として東京都により登録されており、八丈島産のメダイや東京X豚を用いたメニューも提供されています。

さらに2016年5月からは、毎月、「江戸東京野菜フェア」として、旬の江戸東京野菜を特集した特別メニューが期間限定で提供されています(夜のみ)。これまで亀戸ダイコン、寺島ナス、川口エンドウ等が取り上げられてきました。
 さる7月は「おいねのつる羊」の特集でした。おいねのつる羊とは、東京都の西端・檜原村に伝わる伝統のじゃがいも。昨年、江戸東京野菜に追加認定されたばかりです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】スマホアプリ「ポケットマルシェ」


 「食べる通信」とは、食のつくり手を特集した情報誌と、彼らが収穫した食べものがセットになって定期的に届く“食べもの付き情報誌”で、現在、全国各地から38通信が発行されています。
 2016年9月、その「食べる通信」から新しいサービスとして誕生したのがスマホアプリ「ポケットマルシェ」(愛称:ポケマル)。
 各地の「食べる通信」で特集した方など100名以上の全国の生産者(農家や漁師さん)から、スマホやパソコンで旬の食材を直接買うことができるというものです。

ポケマルが目指すのは、お互いの顔が見えるマルシェやファーマーズマーケットの世界。
 一方的に食材をネットで購入するだけではなく、生産者からお勧めの食べ方を聞いたり、こちらから感想を伝えたりすることができるのです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】かんちゃんファーム体験農園

池袋から約1時間半という通勤圏ながら、丘陵に囲まれた緑豊かな地である埼玉・鳩山町に「かんちゃんファーム体験農園」はあります。
 農園主の閑野智道(かんの・ともみち)さんは埼玉・北本市のご出身。農業を志して公務員を退職、北海道や埼玉・小川町、地元の鳩山町での農業研修を経て2013年1月にこの地で新規就農されました。
 「自然の恵みから生まれた旬の農産物を通じて幸せの輪を広げたい」というモットーの下、約1.3haの農地で少量多品種の野菜等を有機栽培されています。近隣の天然原料(乗馬クラブの馬糞、豆腐屋のおから等)を用いた堆肥作り・土作りにも取り組んでおられます。
 生産された野菜等は、飲食店や個人への直売(宅配)のほか、毎週日曜日には仲間と開設した直売所(ときのこや)でも販売されています。

そのかんちゃんファームが、体験農園としての活動を本格化しつつあります。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】小農学会


(写真は総合人間学会(2017.6/10)において小農学会等について説明される山下惣一さん)

2015年11月29日、ユニークな「学会」が設立されました。
 共同代表は萬田正治さん(農業、元鹿児島大学教授)と山下惣一さん(佐賀、農業・農民作家)。副代表や世話人には九州を中心とした著名な生産者や学識経験者が名を連ねています。

設立の趣旨は以下のようなものです(設立趣意書より)。
 21世紀に入っても世界は混迷の一途をたどるなか、戦後、日本は経済大国として復興したものの農村から都市へと人は大移動し、過疎の村と過密の都市という地域に二極分解した。大型スーパー等で食材を買う都市生活者にとって、生き物の命を育み命をいただくという意識は薄れている。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】オアシス21オーガニックファーマーズ朝市村(名古屋)

名古屋の真ん中・栄(さかえ)にある複合施設・オアシス21で、毎週土曜日午前中に開催されているのが「オアシス21オーガニックファーマーズ朝市村」です。

オアシス21を管理運営する第3セクターと朝市村実行委員会の共催により「朝市村」がスタートしたのは2004年のこと。
 当初は出店農家10戸、来客数100人程度で月2回の開催でしたが、2009年からは毎週開催に変更され、現在は毎回、愛知・岐阜を中心とした約70戸の有機農業に取り組む農家が出店し、約1200人が来場。
 年間売上高は約5500万円という規模となっているそうです。

生産者にとっては、この場で農産物を直売できるだけではなく、有機農産物を扱う流通や飲食店の関係者との出会いの場となり、販売拡大と経営の安定につながっているとのこと。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】「乃庭」(東京・檜原村)

東京・お台場(臨海副都心地区)の複合商業施設・ダイバーシティ東京のビル屋上に、「都会の農園」があります。
 ここは、都会で生活する人々が「作る」から「食べる」までを経験し、農業の楽しさや難しさを実感できる「農育」の場として、2014年4月に開設された首都圏最大規模の屋上貸し農園。畑だけではなく田んぼもあり、鶏やアイガモもいます。収穫された野菜等は、隣接するバーベキュー施設で食べることもできるそうです。
 その「都会の農園」は、現在、一部をポタジェにリニューアル工事中。ポタジェ(フランス語)とは、野菜やハーブ、草花を混植した実用と鑑賞を兼ねた庭のことです。

リニューアルの設計・施工を担当しているのが、「十人十色の暮らしに沿ったテーマある庭(○○の庭)づくりをお手伝い」する「乃庭」(のにわ、東京・檜原村)です。

代表の竹本亮太郎さんは、東京農業大学環境緑地学科卒業。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】舘野廣幸さん(舘野かえる農場)

舘野廣幸(たてのひろゆき)さんは1954年、栃木・野木町生まれ。
 山形大学農学部を卒業後に実家の農業を継ぎ、1992年頃から稲作と原木しいたけを中心とした有機農業に取り組んでおられます(原木しいたけは2011年以降休止中)。現在、日本有機農業研究会理事、埼玉大学非常勤講師等を務められ、『有機農業・みんなの疑問』(2007、筑波書房)等の著作もあります。

農家の長男に生まれた舘野さんは、実はもともと農業が好きではなかったとのこと。
 家業を継ぐのが運命と半ばあきらめながら漠然と農作業を続けていたある年(約30年前)、病気が発生して稲の育苗に失敗。その翌年には何種類もの農薬を使用して消毒したものの、またも苗は壊滅。それで必死に勉強し、病気の原因は菌ではなく育てる環境にあることを知り、わらにもすがる思いで農薬を使わずに栽培したところ、病気が少なくなり光明が射してきたとそうです。
 これが、舘野さんが有機農業に取り組むきっかけとなったとのこと。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】みどりの日

今年も間もなくゴールデンウィーク。
 しかし4月29日の「昭和の日」(昭和天皇の誕生日)、5月3日の「憲法記念日」(日本国憲法が施行された日)、5月5日の「子どもの日」(端午の節句)に比べると、5月4日の「みどりの日」の趣旨や由来はあまり知られていません。

みどりの日とは、「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ」日とされています(祝日法)。
 実はみどりの日は、1989年から2006年の間は4月29日でした。
 今上天皇の即位により天皇誕生日が12月23日となった時に、植物にも造詣の深かった昭和天皇の誕生日であった4月29日を「みどりの日」として祝日として存続することとしたのです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】おいしいお野菜届け隊(新規募集)

-おいしいお野菜届け隊(新規募集)-

都市にいながらにして農山漁村地域と関わりをもつ一つの方法が、農産物等を生産者から直接購入することです。

US.Peaceは、埼玉・小川町等で新規就農している若い生産者たちを支援するため、一年を通じた農業体験会、年数回の有機野菜を使った一流シェフによる食事会(シェフズ・テーブル)の開催のほか、2010年から「おいしいお野菜届け隊」という取組みを実施しています。
 これは、霜里農場(小川町、金子美登さん)での研修を経て新規就農された方々の生産物の販路を確保することを目的に、月2回、宅配便により有機野菜等が定期的に直接届くという企画です。

現在、2017年5月~10月(12回)分について新規募集中です。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】塩見直紀さん

塩見直紀(しおみ・なおき)さんは1965年、京都・綾部市の生まれ。
 33歳の時に退職して故郷にUターンされ、現在は半農半X研究所と綾部ローカルビジネスデザイン研究所の代表、福知山公立大学地域経営学部特任准教授、総務省地域力創造アドバイザー等を務めておられる方です。
 ご著書の『半農半Xという生き方』(ソニー・マガジンズ、2003)は海外でも翻訳され、講演やワークショップで全国各地を回っておられます。

塩見さんは、大手カタログ通販会社に勤めていた20歳代半ばに、環境問題と天職問題(いかに生きるか)という2つの難問に出会ったとのこと。そして、これらを解決する方策を追求するなかで「半農半X(はんのう・はんエックス)」というシンプルで新しい言葉(コンセプト)を創り出されました。

「半農半X」とは、持続可能な農ある小さな暮らしをベースにして(半農)、生きがい・天職を活かしつつ(半X)、個人と社会が調和しながらともによりよい方向へ進むために、微力であっても自分がその主役になる生き方を模索することだそうです。… 続きを読む