−火野葦平『麦と兵隊』(1960/8、角川文庫)−
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1938年5月、芥川賞を受賞したばかりの火野葦平は、日本陸軍支那派遣軍の報道部員として徐州作戦に従軍します(大量の宣伝ビラを撒くのも任務の一つでした)。
一時は火野自身も行方不明になったと報じられるほどの激戦の中、手帳に記した記録をもとに書かれたのが本書です。同年8月、「銃後」の日本で発表されるとたちまちベストセラーとなり、関連して作成された歌謡曲や映画も大ヒットしました。
本書で印象的に描かれているのが、一面に続く麦畑の光景です。… 続きを読む