【豆知識264】小売店の減少と郊外型ショッピングセンターの増

小売店の数は2000年代に入っても減少を続けています。
 2016年における飲食料品小売店(事業所数)の数は29.9千店と、2002年の46.6千店に比べ約6割の水準へと大きく減少しています(リンク先の下の棒グラフ)。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/04/264_SC.pdf

一方、ショッピングセンター(飲食業、サービス業を含むテナント数が10以上の施設)の数は、2021年は3,169施設と、2001年の2,603施設から22%増加しています(上の棒グラフ)。
 これを立地別にみると、中心地域(人口15万人以上の都市で、商業機能が集積した中心市街地)に立地している施設は478(15%)にとどまっており、残りの85%は市街地の周辺あるいは郊外に立地しています。周辺・郊外に立地しているショッピングセンターの割合は、2001年以降、ほぼ右肩上がりで推移しています(折れ線グラフ。途中で定義の変更があったために厳密には接続しません)。… 続きを読む

【豆知識263】進まない農業分野での価格転嫁

公益社団法人 日本農業法人協会は、2022年11月から12月にかけて「第2回 農業におけるコスト高騰緊急アンケート」を実施しました(対象は協会の正会員、有効回答数460)。
 これによると、ほとんど(97%)の生産者が前年10月に比べて生産コストが上昇したと回答しており、特に畜産においては54%の生産者が1.5倍以上に上昇したとしています(リンク先の一番上のグラフ)。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/03/263_tenka.pdf続きを読む

【豆知識262】日本が依存している海外の農地面積

日本の食料自給率はカロリーベースで38%(2019年、生産額ベースでは63%)と、主要国のなかでは最も低い水準となっており、私たちの食生活は大量の輸入食料に依存しています。つまり、私たちの食料の6割以上は、海外の農地で生産されているのです。
 農林水産省は、日本の農産物輸入量を海外の農地面積に換算(試算)した数値を公表しています(リンク先のグラフ参照)。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/03/262_kaigai_ison.pdf

これによると、海外に依存している品目(小麦、とうもろこし、大豆、畜産物(飼料)等)の生産に用いられている農地面積は913haと試算され、これは、日本国内の農地面積(442万ha)の約2倍に相当しています。
 この状況は、当然ながら武力侵攻により海外の農地を略奪していること等を示している訳ではなく、市場経済と自由貿易の下で実現しているものではありますが、世界的に気候危機が叫ばれるなか、私たちの食料供給がぜい弱な基盤の上に成り立っていることは間違いありません。また、砂漠化など資源不足が叫ばるなかで世界には8億人以上の飢餓人口がおり、一方で日本国内では約28万haの農地が耕作放棄等により荒廃していることを考えると、倫理的にも問題なしとは言えないのではないでしょうか。… 続きを読む

【豆知識261】書店数、平均販売額等の推移

農家数の減少が危機感をもって語られる機会は多いですが、実は書店数も大きく減少しています。
 リンク先のグラフは、全国の書店数等の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/02/261_shoten.pdf

おおむね3年ごとに実施されてきた経済産業省「商業統計」(2012、16年は「経済センサス」)によると、全国の「書籍・文房具小売業」の事業所数(棒グラフ)は1980年代には8万店近くありましたが、90年に入ってから減少のペースを速め、2016年には3万5千店弱とピーク時の4割強にまで減少しています(調査設計の変更により厳密には接続しません)。
 なお、同期間に販売農家数は3割弱へと減少しています。… 続きを読む

【豆知識260】コロナ禍が外食産業に与えた打撃

2021年1月15日、新型コロナウイルスの感染が国内で初めて確認されて以降、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が累次にわたって発令され、営業時間の短縮等が要請された飲食店は、大きな打撃を受けました。
 リンク先の折れ線グラフは、外食産業の売上金額の推移(2000年=100)を業態別に示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/02/260_gaishoku.pdf

2000年代、なだらかに増加していた売上金額は、新型コロナウィルスが確認された2020年から21年にかけて激減しました。
 22年は、3月に営業制限が解除され、価格改定もあったことから前年比113%とやや持ち直しましたが、コロナ禍前の19年の水準には戻っていません(19年比94%)。… 続きを読む

【豆知識259】「物価の優等生」と規模拡大

飼料価格の高騰等を背景に、「物価の優等生」とされる鶏卵の価格が上昇しています。リンク先の折れ線グラフは、消費者物価指数(1970年=100)の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/01/259_keiran.pdf

消費者物価指数(総合)は長期的に上昇基調で推移しましたが、2000年代に入ってからはほぼ横ばいとなっています(1970年比3.2倍)。食料全体もほぼ同様の動きとなっていますが、近年は総合を上回って推移しています(同3.5倍)。
 一方、鶏卵価格は長期的にほとんど上昇しておらず、まさに「物価の優等生」であったことが見て取れます。

棒グラフは、農家(経営体)1戸当たりの飼養羽数の推移を示したものです。1970年においては70羽程度(300羽未満の生産者を含む。)だったのが、2021年には約7万5千羽(1000羽以上の生産者のみ)と、実に1000倍以上の規模拡大が実現しています。… 続きを読む

【豆知識258】国民経済における農林水産業の地位

経済発展に伴い、国民経済における第一次産業(農林水産業)のシェアが低下し、第二次産業(製造業)、さらには第三次産業(サービス業)のシェアが上昇することは、世界的・歴史的にも明らかな現象です(「ペティ・クラークの法則」)。
 リンク先の青い折れ線グラフは、日本の国内総生産(GDP)に占める農林水産業の割合の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/01/258_GDP2.pdf

これによると、1970年代前半において5〜6%のシェアを有していた農林水産業は、経済発展(サービス化の進行等)に伴って大きく低下し、90年代前半には2%を割り込み、近年はほぼ1%の水準で横ばいとなっています。
 このことをもって、かつては1.5%の一次産業のために日本経済全体を犠牲としてはならないと発言した外務大臣(当時)さえいました。… 続きを読む

【豆知識】2022年の振り返り

食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータについて、毎回、1点のグラフとともにコツコツと紹介しました。
 https://food-mileage.jp/category/mame/

今年、最も衝撃だった事件はロシアによるウクライナ侵攻でした。
 本メルマガでも、ウクライナとロシアが穀物の生産/輸出大国であること[No.237続きを読む

【豆知識】減少し荒廃が進む農地

世界的に食料危機が叫ばれ、国内でも食料安全保障(食料の安定供給)の議論が盛んになっています。しかし、最大のリスクは国内にあるということで、前号では、国内農業の担い手が急速に高齢化しつつ大きく減少していることを紹介しました。
 今回は、「人」と並んで食料生産の最も重要な基盤である「土地」についてです。

リンク先のグラフは、農地面積と、荒廃農地の割合の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/12/256_nouti.pdf

これによると、1956年には601万haあった農地面積(ピークは1956年の607ha)は、経済の高度成長や人口増加が進むなかで、工場用地、商業用地、住宅地等への転用が進んだこと等から一貫して減少してきました直近の2022年においては433haと、ピーク時に比べると約3割減少しています。… 続きを読む

【豆知識】高齢化しつつ大きく減少を続ける農業の担い手

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大、ロシアのウクライナ侵攻等により日本の食料安全保障は危機に面していると言われていますが、実は最大のリスク要因は国内にあります。
 それは、国内において食料を安定供給する基盤の脆弱化です。

リンク先のグラフは、農業の担い手(基幹的農業従事者)数の推移を年齢階層別に示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/11/255_ninaite.pdf

これによると、基幹的農業従事者(ふだん仕事として主に自営農業に従事している者)の数は2005年には224万1千人でしたが、2020年は136万3千人と、15年間で約6割へと大きく減少しています(組替集計)。… 続きを読む

【豆知識】企業の価格転嫁の動向

新型コロナウイルスによるパンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻に加え円安の進行もあり、食品等の価格値上げが毎日のようにニュースで取り上げられています。しかし前号でも紹介した通り、企業物価指数(企業間の取引価格、9月は前年同月比9.7%)に比べて消費者物価指数(生鮮食品を除いて3.0%)の上昇率は低いものにとどまっています。
 コスト上昇分の価格への転嫁が十分なものとはなっていないことは、民間の信用調査会社のアンケートからも明らかです。

リンク先のグラフは、(株)帝国データバンクサービスの「企業の価格転嫁の動向アンケート」結果から作成したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/11/254_tenka.pdf

これによると、本年6月時点では、仕入れコストの上昇分を販売価格やサービス料金に「すべて転嫁できている」とする企業は6.4%、「8割以上転嫁できている」は15.3%となっているのに対して、「全く転嫁できていない」とする企業が15.3%となっていました。… 続きを読む

【豆知識】家計における米の消費額の地位

先日、公表された9月の米の相対取引価格(2022年産)は3年ぶりに上昇に転じました(前年同月比5%、前年産平均比9%)。
 また、21日に発表された9月の消費者物価指数は前年同月比で3.0%(生鮮食品を除く。)と31年ぶりの上昇率となりましたが、企業物価指数(企業間の取引価格)は同月に9.7%上昇していることに比べると、米や食品に限らず、多くの品目において、コスト上昇分の価格への転嫁は十分なものとはなっていないようです。

前号で紹介したように、日本の物価が上がらない原因は、デフレの長期化で賃金が上がらず、その結果、消費も増えないという悪循環に陥っているためです。
 それでは、現代の日本の消費者の家計において、米の価格上昇を受け入れる余地は全くないのでしょうか。
 リンク先のグラフは、本年8月の品目別の家計消費支出額を示したものです。… 続きを読む

【豆知識】低所得層で大きい物価上昇の影響

パンデミック、ウクライナ情勢、円安により様々な商品の価格が上昇しており、家計を直撃しています。これら値上げの影響は所得階層によって異なることを示したものが、リンク先のグラフです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/10/252_kakei.pdf

縦軸は、総務省が9月20日に発表した2022年8月の消費者物価指数の対前年同月比です。総合では3.0%(注:生鮮食品を除くと2.7%)上昇しており、特に光熱・水道は15.6%、食料は4.7%と特に大きく上昇しています。

横軸は、10月7日に総務省が発表した8月の家計消費支出について、各費目についての低所得層(年間収入五分位階級の第一階級)の特化係数です。例えば、支出総額に占める食料消費の割合(エンゲル係数)は低所得層では31.9%で、平均(27.5%)に対する比率は1.16となります。
 これが特化係数で、右に位置する費目ほど、低所得層における消費のシェアが相対的に大きい(必需財的な性格が強い)ことを示しています。… 続きを読む

【豆知識】日本食と死亡リスクとの関連

戦後、日本人の食生活パターンは急速かつ大幅に洋風化が進みましたが(米の消費量の4割への減、畜産物・油脂等の3〜4倍の増加)、一方で、日本食は健康面でも優れていることも知られています。
 (国研)国立がん研究センターは、全国11地点の男女約9万人について食事アンケート調査を実施し、約19年にわたって追跡調査(多目的コホート研究)を行いました。

リンク先のグラフは、この研究結果から作成したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/09/251_washoku.pdf

左のグラフは、8項目の食品の摂取量をもとに日本食パターンについてスコア化し、「低い」〜「高い」の4グループに分類して全死亡リスクとの関連を示したものです。これによると、日本食パターンのスコアが高いグループほど、死亡リスクが小さくなっていることが分かります。… 続きを読む

【豆知識】ここ3ヶ月で節約した費目

日本生活協同組合連合会(生協連)は、本年8月、「節約・値上げについてのアンケート」調査結果を公表しました。
 長引く新型コロナウィルス流行や値上げが続くなか、「節約」の実態等について組合員を対象にWEBアンケートを行ったものです(有効回答数 4,689)。
 リンク先のグラフは、この調査結果から作成したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/09/250_setuyaku.pdf続きを読む