【ほんのさわり】下川 哲『食べる経済学』

−下川 哲『食べる経済学』(2021年12月、大和書房)−
 https://www.daiwashobo.co.jp/book/b590669.html

著者は北海道大学農学部農業経済学科卒業、アメリカ・コーネル大学で博士号を取得され、現職は早稲田大学政治経済学術院准教授。
 ごく日常的な私たちの「食べる」という行為は、実は地球全体の資源や環境に予想を超えるほどの大きな影響を及ぼしています。そのことに気づくことで、「健康的で持続的な食生活」への変革を促そうというのが、本書のテーマです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】第11回 経済・財政・金融を読む会

(一社)ピープルズ・プラン研究所(PP研)では、経済・財政・金融の分野で注目される著作の「読書会」を定期的に開催しています。
 7月30日に開催予定の第11回では「食」に関するテキストを取り上げることとなり、僭越ながら、私が報告(解題)させて頂くことになりました。
 ご関心のある方の参加申し込みをお待ちしています。

○ 第11回 … 続きを読む

【豆知識】品目別の食料価格の推移と自給率

2022年に入ってからもエネルギーや食料の価格上昇が止まりません。上昇率は欧米に比べれば低いとはいえ、日本にとって近年なかった状況です。
 リンク先の図246は、品目別にみた最近の食料価格の推移とその自給率を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/07/246_kakaku.pdf

縦軸は、品目別の消費者物価指数の推移(2020年(100)、21年、22年1〜5月)を図示したものです。各品目の折れ線グラフの横幅の中心は、横軸の自給率(2020年、重量ベース)です。
 これによると、自給率が低い油脂類、小麦の価格が最も大きく上昇しており、これと対照的に、ほぼ国内で自給している米の価格は逆に低下している状況がみられます。なお、肉類の自給率は飼料価格を考慮すると7%となり、今後、飼料原料価格高騰の影響が肉類の価格に影響を及ぼしてくる可能性があります。… 続きを読む

【ブログ】山下惣一さん、有難うございました。

2022(令和四)年7月。
 ウクライナでの戦争は長期化の様相。エネルギーと食料価格の高騰は、世界のいくつかの国での政情不安を顕在化させています。

 さらに国内では驚くべき事件が。
 7月8日(金)、選挙応援のため奈良市で街頭演説中の安倍晋三元総理が銃撃され、夕方には死亡が確認。翌々日投開票の参議院選挙では、安部氏の持論でもあった防衛費増額や原発再稼働を志向する与党が圧勝。大きな転換点になるのかも知れません。
 何とも、心穏やかではない夏です。… 続きを読む

【ほんのさわり】火野葦平『麦と兵隊』

−火野葦平『麦と兵隊』(1960/8、角川文庫)−
 https://www.kadokawa.co.jp/product/322011000418/

1938年5月、芥川賞を受賞したばかりの火野葦平は、日本陸軍支那派遣軍の報道部員として徐州作戦に従軍します(大量の宣伝ビラを撒くのも任務の一つでした)。
 一時は火野自身も行方不明になったと報じられるほどの激戦の中、手帳に記した記録をもとに書かれたのが本書です。同年8月、「銃後」の日本で発表されるとたちまちベストセラーとなり、関連して作成された歌謡曲や映画も大ヒットしました。

本書で印象的に描かれているのが、一面に続く麦畑の光景です。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】検索マップ「未来を変えるパン」

食料自給率向上のような大きな課題は、国(政治や行政)が取り組むべきもので、自分にできることはせいぜい国産や地元産の食べものを選ぶこと(それはそれで大切なことですが)位しかないと思っている人も多いと思われます。
 しかし、個人の立場で、食料自給率向上に正面から取り組んでいる方もおられます。

その一つが「未来を変えるパン」。
 国産小麦のパンを扱っている全国のパン屋さんの検索マップで、現在、北海道から九州まで121店舗が登録されています。
 フードロス削減や地産地消に配慮しているパン屋さんの新規登録の受け付け、小麦生産者とパン屋さんとの橋渡し等も行っており、また、フォーラムやセミナー、小麦畑ツアー、麦踏み体験会等のイベント情報も掲載されています(「情報ひろば」欄参照。去る6月5日の麦刈りイベントには、私も参加させて頂きました)。… 続きを読む

【豆知識】世界の人口大国と穀物自給率

パンデミックやウクライナ情勢により、世界的に食料安全保障に対する懸念・関心が高まっています。ここで改めて、世界の中で日本がどのような状況にあるかを確認しておきます。
 リンク先の図245は、世界各国の穀物自給率を人口の大きな国の順に並べたものです。

 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/07/245_2_kokumotu2.pdf
 【メルマガ配信時から年次等を訂正してあります。】

国連統計によると2018年の世界の人口は76.3億人。… 続きを読む

【ブログ】「核」「原子力」をめぐって。

2022年6月後半。梅雨明けはまだですが晴れの日も増えて気温も上昇。猛暑日も。
 夏の花が咲き、虫たちの行動も活発になってきました。

左からアカシア、クロハナムグリ、ナガフゴマカミキリ、ジャコウアゲハ(いずれも22年6月、東村山市内)

そのようななか、「核」や「原子力」に関連する出来事が相次ぎました。
 6月17日(金)、最高裁第二小法廷は、東京電力福島第一原発事故に関する4件の集団訴訟 … 続きを読む

【ほんのさわり】萬田正治、山下惣一監修『新しい小農』

−萬田正治、山下惣一監修 小農学会編著『新しい小農〜その歩み・営み・強み』(2019/11、創森社)−
 http://www.soshinsha-pub.com/bookdetail.php?id=404

萬田正治先生(鹿児島大学名誉教授)、山下惣一さん(農民作家、佐賀)達の呼びかけにより、2015年7月、福岡市で開催された小農学会設立総会には、全国から農家、研究者、ジャーナリストなど90人ほどが参加しました。
 農的暮らし、田舎暮らし、菜園家族、定年帰農、市民農園、半農半Xなどに取り組む都市生活者も含む「小農」学会では、学会誌の発行、定期セミナーの開催(オーシャン・カレント欄参照)など様々な活動を行っています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】小農学会オンラインセミナー「フード・マイレージ最前線」

食料の輸送量に輸送距離を乗じたフード・マイレージは、もともとは食料輸送に伴う環境負荷の大きさ(CO2排出量)を把握するために開発された指標ですが、最近のパンデミックやウクライナ危機のなかで、食料の安定供給(安全保障)を考える際のヒントとなるものとしても注目されています。
 以下により、6月17日(金)、小農学会オンライン定期セミナー(zoom)で話題提供させて頂きますので、食料や一次産業に関心のある方のご参加をお待ちしています(参加費無料)。

日時:2022年6月17日(金)19:30〜21:00
  19:30〜 開会、中田からの話題提供「フード・マイレージ最前線」(仮題)… 続きを読む

【ブログ】小農学会オンラインセミナー「フード・マイレージ最前線」

2022年6月4日(土)から19日(日)の間、地元・東村山市の北山公園では菖蒲祭りが開催されました。
 新型コロナウイルス感染の関係で3年ぶりの開催。
 約600種8000株というハナショウブは変わらずに見事、飲食店など屋台は出ていますが、コロナ前に行われていたお囃子の舞台などは今年も実施されませんでした。… 続きを読む

【豆知識】作付規模別にみた米生産費

一般的に生産コストは規模が拡大するに伴って低減します。このスケールメリット(規模の経済)は、米についても明らかに観察されます。
 リンク先の図244は、米の60kg当たり生産費(費用合計)を作付規模別に示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/06/244_kibo.pdf
 
 2020年産米の60kg当たり生産費(費用合計)は平均で1万3104円ですが、棒グラフにある通り、作付面積0.5ha未満では平均の1.9倍、0.5〜1ha層では1.5倍となっているのに対し、10〜15ha層では71%、50ha以上層では56%と、作付規模が大きい経営体ほど生産費は低減しています。
 費目別にみると、特に農機具費、賃借料及び料金(作業委託料等)、労働費が大きく低減していることが分かります。… 続きを読む