【ほんのさわり No.229】平賀 緑『食べものから学ぶ世界史』

−平賀 緑『食べものから学ぶ世界史−人も自然も壊さない経済とは?』(2021.7、岩波ジュニア新書)
 https://www.iwanami.co.jp/book/b584818.html

広島出身の著者は、国際基督教大学卒業後に香港の大学に留学し、新聞社、金融機関等に勤めながら食や環境に関わる市民活動を企画運営された後に、改めて大学院に進学し、ロンドン市立大学で修士(食料栄養政策)、京都大学で博士(経済学)を取得されました。
 現在は、京都橘大学経済学部准教授を務めるとともに、様々な市民活動にも参画されています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.229】食品ロス削減の日(10月30日)

(消費者庁HPより)

「豆知識」欄でも紹介したように、食料関連産業(食品製造業、流通業、外食産業等)が発展し食品流通が広域化するなかで、年間600万トンという膨大な食品ロスが発生しています。
 このようななか、農林水産省は去る10月30日の「食品ロス削減の日」に合わせて、食品ロス削減や食品リサイクルなど商慣習見直しに取り組む事業者の取組を募集し公表しました。このなかでは、いわゆる「3分の1ルール」(賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する慣例)の見直しや賞味期限表示の大括り化に取り組む事業者が増えている状況がみられます。

 一方、食品ロス削減のためには事業者のみならず消費者の取組みも重要です。例えば、消費者庁が中心となって、商品棚の手前にある商品を選ぶ「てまえどり」を呼びかけるキャンペーン等を行っています。

 ちなみにゴミ清掃員でお笑い芸人である滝沢秀一さんは、「消費者は100円の大根を買う時には1円でも安くと気にする一方で、腐らせて半分(50円分)捨てたりしている」等と話しています。… 続きを読む

【豆知識】農業・食料関連産業のシェアの推移

リンク先の図229は、農業・食料関連産業の国内総生産の、全経済活動(GDP)に占めるシェアの推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/11/229_share.pdf 

 国内農林漁業のシェアは、1970年には5.5%でしたが2019年に1.0%へと低下しています。また、食品製造業や外食産業を含む関連産業全体では、同期間に15.6%から9.6%へと同様に低下していますが、それでもGDP全体の約1割を占めています(なお、これには輸入原料を用いた加工品等も含んでいます)。
 一次産業以外の関連産業のシェアが相対的に大きくなっていることが分かります。

 国内農林漁業のシェアが低下傾向にあり、現在は1%という低い水準となっていることについて、悲観的に(あるいは批判的に)捉える見解もありますが、それは必ずしも妥当とは言えません。… 続きを読む

2021年秋の福島訪問(3日目、広野町・いわき市)

二本松・東和の朝6時過ぎ、日が差してきてようやく目が覚めました。
 2021年秋の福島訪問3日目(11月1日(月))も、好天に恵まれそうです。

 朝食前に、農家民宿・遊雲の里の前の坂道を、芸術祭の会場となった田んぼまで散歩することに。納屋では、朝早くから昨日の餅つきに使った杵の手入れをされている菅野さんの姿。… 続きを読む

2021年秋の福島訪問(1日目、大熊町)

新型コロナウイルス感染症にかかる緊急事態宣言等が9月末に解除され、2回のワクチン接種も終了したこともあり、ようやく福島訪問が実現しました。3泊4日の予定です。
 本年3月のプレゼントツリーのツアーを別にすれば、およそ2年半ぶりです。

2021年10月30日(土)。
 東の空が白み始める頃に自宅を出発し、JR武蔵野線・京浜東北線経由で大宮へ。快晴です。7時5分発のやまびこ203号の座席は9割方埋まっています。… 続きを読む

【ブログ】安藤昌益の「ご縁」

最近、静かなマイブームとなっているのが安藤昌益(あんどう・しょうえき)です。

 昌益は、現在の秋田・大館市に生まれた江戸中期の医師、思想家。かつては「忘れられた思想家」と呼ばれていたこともあります。
 その思想は絶対平等主義と徹底的な平和主義(武力・暴力の全廃)であり、農業労働などの「直耕」を尊重する一方、自ら生産しない聖人や為政者を「不耕貪食の徒」として痛烈に批判するというものです(封建制の江戸中期の思想家であることに驚きを覚えます)。

昌益に関心を持ったきっかけとなったのが、NPO市民科学研究会(市民研)主催の2つのオンライン講座(9月10日の「連続講座・日本の市民科学者」続きを読む

【ほんのさわり No.228】石渡博明『いのちの思想家 安藤昌益』

−石渡博明『いのちの思想家 安藤昌益』(2012.11、自然食通信社)
 http://www.amarans.net/3022

かつて「忘れられた思想家」と称されていた安藤昌益については、現在は農山漁村文化協会による労作『安藤昌益全集』(全21巻)等により、その思想の全貌を知ることが可能となっていますが、昌益の著作はもともと難解で、入門書的なものがないかと探していたところ、農文協・農業所センターで出会ったのが本書です。
 著者は1947年神奈川・横須賀市生まれの「在野」の昌益研究家で、「安藤昌益の会」の事務局長も務められています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.228】石川敏之さん(ゆっくり農縁、東京・あきるの市)

石川敏之さんは神奈川県のご出身。
 生協で食品関係の業務に携わられているうち、次第にスローライフに魅了されるようになり、ブータン旅行をきっかけに早期退職され、当時住んでおられた東京・八王子市を中心に、様々な市民活動に参画されるようになりました。
 活動内容は、伝統野菜の普及、映画の自主上映、市民エネルギーなど幅広いものでした。

そのうちに石川さんは自らも農業生産者になりたいとの思いが強くなり、多摩地方を中心に農地を探した結果、4年ほど前、東京・あきる野市に「ゆっくり農縁」を開園されたのです。
 JR武蔵増戸駅から徒歩10分弱、住宅に囲まれた400坪ほどの農園では、農薬や化学肥料は使用しない、極力、人の手を加えないという「自然農法」で、野菜やハーブを栽培されています。多くは固定種(伝統的に継承されてきた種)です。… 続きを読む

【豆知識】年齢別にみた投票と社会変革に関する価値観

シンクタンク株式会社・山猫総合研究所(三浦瑠麗代表)は、2017年衆院選および2019年参院選の結果について、18歳以上の男女を対象にインターネットによる価値観調査を行いました(回答者2060人)。
 その結果を分析したレポートでは、有権者の投票行動に最も影響したのは安保・憲法に関わるイデオロギーであり、成長重視か分配重視かはそれほど大きな影響を与えなかったこと、日本国民のなかには党派を超えた幅広いコンセンサス(自由貿易、女性問題等)が存在すること等が明らかとされています。

リンク先の図228は、本調査結果の一部を抜すいしたものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/10/228_katikan.pdf

これによると、「選挙で投票しても何も変わらない」という考えには、全体で56.4%が賛成し38.2%が反対していますが、年齢別にみると、年長者よりも若い世代にそう感じる人が多くなっています。… 続きを読む

【ブログ】都内の循環型牧場と新渡戸『農業本論』

2021年10月18日(月)。雨模様の日々の合間の晴れ間に、東京・八王子へ。
 JR高尾駅から京王高尾線に乗り換えて3駅目の山田で下車。交通量の多い都道を渡りゴルフ練習場の脇を抜けたところに、磯沼ミルクファームの看板が出ています。畑や放牧地など、視界が一気に広がります。
 私は… 続きを読む