【メルマガ】F.M.Letter No.257 -pray for peace.

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.257◇
 2022年12月23日(金)[和暦 師走朔日]
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◆ 2022年の振り返り
 −F.M.豆知識、O.カレント、ほんのさわり−
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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 時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に配信している拙メルマガも、本年最後の号となりました。2022年は計25本を配信。一年間、お付き合い下さり有難うございました。
 今号は、恒例の一年間の振り返りです。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータについて、毎回、1点のグラフとともにコツコツと紹介しました。
 https://food-mileage.jp/category/mame/

今年、最も衝撃だった事件はロシアによるウクライナ侵攻でした。
 本メルマガでも、ウクライナとロシアが穀物の生産/輸出大国であること[No.237]、植物油生産でも大きなシェアを占めていること[No.238]、侵攻前から世界の食料価格が高騰し[No.234]、世界の飢餓人口が増加している状況[No.249]を紹介しました。
 国内においては自給率が低い品目ほど価格が上昇しており[No.246]、その影響は低所得層で相対的に大きく[No.252]、家計は特に食費を節約しており[No.250]、一方で食品企業等での価格転嫁は進んでいないこと[No.254]を紹介しました。

これらの状況のなか、日本は人口1億人以上の国の中では極端に食料自給率が低く[No.245]、最大のリスクは国内にあること(高齢化する担い手[No.255]、荒廃が進む農地[No.256])を明らかにしました。

米の関連では、輸入小麦の価格が高騰するなかで米の価格は低下しており[No.239]、それでも米の在庫量は小麦輸入量をカバーできる水準には無いなか[No.241]、消費者の米の購入先は低価格のホームセンター等にシフトしており[No.240]、家計における米の消費額のシェアは大きくないこと[No.253]について述べました。
 一方、生産現場では輸入原料等に依存している資材価格が高騰しており[No.243]、さらに、大規模層ほど値上がりしている肥料や農薬に依存する割合が大きいこと[No.244]を紹介しました。

また、終戦直後の食料難の時代は都市部を中心に体重が「過軽」の人が多かったこと[No.248]、米を中心とした日本食の方が死亡リスクが小さいという研究結果[No.251]も紹介しました。

一方、農村関係では、日本社会において農家は少数派となっていることと[No.233]、中山間地域が農業生産等の面で一定の役割を果たしていること[No.235]、担い手が減少するなかで新規就農者の確保は十分ではないこと[No.236]を紹介しました。
 さらに、沖縄の耕地面積の長期推移[No.242]、私の地元・東村山市等の農業の特色[No.247]についても取り上げました。

◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
 食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介しました。
 https://food-mileage.jp/category/pr/

ウクライナ情勢との関連では、ウクライナ農業と日本との関連[No.237]、国連WFP「ハンガーマップ」[No.249]、過去最高値を更新するFAO食料価格指数[No.240]を紹介。そのようななかで国産小麦の普及を目指す検索マップ「未来を変えるパン」[No.245]も取り上げました。

価格の関連では、米の価格が上昇に転じる兆しを見せていること[No.252]、気候変動の影響もありたまねぎの高値が続いていること[No.243]、民間シンクタンクのアンケート調査(「プレミアム消費」は増加するか)[No.253]を紹介しました。
 農業・農村の多面的機能[No.239]や、新規就農希望者のためのウェブサイト「農業をはじめる.jp」[No.236]も取り上げました。

地域の関係では、福島ひまわり里親プロジェクト[No.238]、上堰米のお酒(福島・喜多方市)[No.234]、伝統工芸品・亀田縞(新潟市)[No.235]、星の谷ファーム・天明伸浩さん(新潟・上越市川谷)[No.255]を紹介させて頂きました。

また、沖縄の若年ママ応援シェルター「おにわ」[No.242]、戦後の松郷開拓地(埼玉・所沢市)[No.248]や秋津ちろりん村(東京・東村山市)[No.256]も紹介しました。

さらに、第4次 食育推進基本計画[No.251]、全国町村会が主催する地域農政未来塾[No.247]、NPOエコラボ(石川・金沢市)[No.250]、同 CSまちデザイン[No.254]も紹介させて頂きました。

私が主宰又は説明者となった「食と農の市民談話会 Seson2」[No.233]、特別講座・著者に尋ねる『フード・マイレージ』[No.241]、小農学会オンラインセミナー「フード・マイレージ最前線」[No.244]、第11回 経済・財政・金融を読む会[No.246]、地域農政未来塾[No.247]も取り上げました。

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介しました。
 https://food-mileage.jp/category/br/

ウクライナ情勢の関連では、黒川祐次『物語 ウクライナの歴史』[No.249]、『アレクシエーヴィチとの対話』[No.237]、ウクライナ民話『てぶくろ』[No.241]、映画「ひまわり」[No.238]を紹介しました。
 また、戦争との関連で、火野葦平『麦と兵隊』[No.245]、中村光博『「駅の子」の闘い』[No.248]。さらに保阪正康『五・一五事件』[No.240]、足達太郎ほか『農学と戦争』[No.239]では農業(農本主義)と戦争の関連について考察しました。

食や農を基本から考える本としては、ポール・B・トンプソン『食農倫理学の長い旅』[No.233]、西川芳昭『種子から食卓を繋ぐ』[No.243]、鈴木宣弘『世界で最初に飢えるのは日本』[No.256]を取り上げました。
 価格や消費との関連では、下川 哲『食べる経済学』[No.246]、山本謙治『エシカルフード』[No.250]、中藤 玲『安いニッポン』[No.252]、さらに関連としてハンセン『スマホ脳』[No.253]を紹介しました。

さらに地域や新規就農の関連では、小松理虔『地域を生きる』[No.234]、榊田みどり『農的くらしを始める本』[No.236]、塩見直紀ほか『半農半X』[No.247]を、さらに沖縄の基地問題と生態系との関連について蝶類研究家・アキノ隊員の『ぼくたち、ここにいるよ』[No.242]を紹介させて頂きました。

本年6月に逝去された山下惣一さんの関係では、萬田正治、山下惣一監修『新しい小農』[No.244]、『振り返れば未来−山下惣一聞き書き』[No.255]を紹介。長野路代、佐藤弘『ながのばあちゃんの食術指南』[No.251]も紹介させて頂きました。
 文芸作品では、山本有三『米百俵』[No.235]、小川 糸『ライオンのおやつ』[No.254]を取り上げました。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
 ○ 3年ぶりの「リアル・奥沢ブッククラブ」など[12/13]
 https://food-mileage.jp/2022/12/13/blog-408/

○ 山下惣一さんを偲ぶ会(東京・千代田区)[12/22]
 https://food-mileage.jp/2022/12/22/blog-409/

▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 哲学カフェの可能性を考える−映画『十二人の怒れる男』をヒントに−
 日時:12月24日(土)14:00〜16:00
 場所:ロージナ茶房(東京・国立駅前)
 主催:シン・哲学カフェ
 (詳細、問合せ等↓)
 https://twitter.com/oogen_0023/status/1604826086876930048

○ ドキュメンタリー映画「百姓の百の声」上映会+トークショー
 講師:柴田昌平さん(映画監督)
 日時:1月11日(月)10:00〜13:00
 場所:オンライン又は会場(東京・経堂)
 主催:CSまちデザイン
 (詳細、問合せ等↓)
 https://cs-machi.com/shimokouza6/

○ 川口由一の自然農というしあわせ with 辻信一
 日時:1月13日(金)19:00〜20:30
 場所:常圓寺(東京・西新宿)
 主催:ロータスシネマ
 (詳細、問合せ等↓)
 https://lc39.peatix.com/event/3444129/

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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
 ウクライナの戦火がやむまでお休み中、残念ながら年内の再開は叶いそうにありません(pray for peace.)。
 過去のバックナンバーは拙ウェブサイトに写真入りで掲載しています。
 https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.258は明年1月6日(金)[和暦 師走十五日]に配信予定です。2023年もよろしくお願いします。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです(本メールに返信頂ければ筆者に届きます)。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。
 https://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
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