【メルマガ】F.M.Letter No.282-pray for peace.

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.282◇
  2023年12月27日(水)[和暦 霜月十五日]
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◆ F.M.豆知識  2023年の振り返り
◆ O.カレント    〃
◆ ほんのさわり   〃
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 間もなく終わる2023年は(和暦ではまだ霜月ですが)、今号を含めて25本のメルマガ(No.258〜282)を配信させて頂きました。一年間、読んで下さり有難うございました。年末最後の配信は、恒例の本年の振り返りです。
 本メルマガは、時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に配信しています。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータ等をコツコツと紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/mame/

−2023年の振り返り−(【 】内の数値は発行号数です。)

今年は「経済学の父」アダム・スミス生誕300年、米市場を例に市場メカニズムについておさらい(消費者の行動変容の重要性を指摘)【281】。関東大震災からは100年目、人口等の東京圏への一極集中は当時からさらに進んでいます【274】
 さらに東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から12年、干支が一回りした現在も3万人近くの方々が避難を強いられています【280】

日本の食料・農業全般に関しては、GDPに占める農林水産業の割合は1%程度と低いとされるものの他の先進国と同水準であり【258】、一方で日本は国内農地の約2倍の海外農地面積に依存しています【262】。また、農業分野ではコスト上昇分の価格転嫁が進んでおらず【263】、「物価の優等生」とされてきた採卵養鶏についても飼料等のコストが上昇しています【259】
 また、農家人口(世帯員数)の減少もあり消費者にとって農の現場が遠くなっているいますが【275】、一方で小規模農家(小農)ほど消費者に直接販売している割合が多く消費者と直接つながる可能性が高いことを紹介しました【276】

日本の有機農業の取組み面積は0.6%と諸外国と比べても低いこと【266】、木材自給率は上昇に転じているものの苗木生産量は低迷していること【265】も紹介しました。
 コロナ禍の影響については、外食産業に大きな打撃を与えた【260】一方で「中食」は堅調でした【270】。また、若い世代を中心に田園回帰への関心が高まっています【269】

米については、供給カロリーに占める割合は約2割に低下しているものの食料自給力の観点からは依然として「主食」であること【279】、しかし米の国内生産量はすでに戦中戦後の水準を下回っている(一人当たりでは半減している)こと【273】を紹介しました。
 また、フード・マイレージ指標を基に、パン食をご飯食に変更した場合の輸送に伴うCO2排出量の削減効果も試算しています【267】

食品ロスの関連では、家庭においては手つかずのまま廃棄された食品が増えており【277】、コンビニ経営にも大きな負担となっています【278】。また、若い世代はエシカル消費の認知度は高いものの必ずしも実践にはつながっていません【268】

農作業には知的・発達障がい者のストレス軽減効果があるという実証データ【272】、農業用水路は一級河川や国道に比べても大きなストック量を有していること【271】も紹介しました。
 中心市街地では小売店が減少する一方で郊外型ショッピングセンターが増加しており【264】、「町の本屋さん」も閉店が続いています【261】

◆ オーシャン・カレント−潮目を変える−
 食や農の分野で先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスを紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/pr/

−2023年の振り返り−

それぞれの地域で様々な実践をされている、以下の尊敬する方々を紹介させて頂きました。
 大規模団地開発から農地を守った鈴木 亨さん(東京・八王子市)【276】、農福連携に取り組むNPO法人ユメソダテの前川哲弥さん(東京・世田谷区)【272】、ダウンシフトを実践されている高坂 勝さん(千葉・匝瑳市)【269】、地域交流広場ぱうぜ(東京・高島平)の石田ゆかりさん【264】、エシカルなマルシェを運営されている山口裕子さん(東京・板橋区)【268】、農家支援キッチンカーを運営する今関麻子さん【270】、林学博士の西野文貴先生【265】
 さらに、高橋博之さん((株)雨風太陽)による車座座談会【275】、47都道府県レストラン箕と環【260】、日本の田んぼを守る酒蔵・仁井田本家(福島・郡山市)【280】も紹介しました。

2023年の大きなトピックスとして、過去最大規模の鳥インフルエンザの発生【259】、猛暑・渇水の影響を受けた2023年産米の作況と品質低下【279】、食料・農業・農村基本法の見直し【258】【267】について紹介しました。

また、食生活と広く環境とのかかわり等の視点からは、プラネタリー・ヘルス・ダイエット【262】、オーガニックビレッジ【266】、フランスのエガリム法【263】、JEI エシカル基準【278】、食品ロス削減月間【277】、農水省の家庭備蓄ポータル【274】について紹介しました。

さらに、シベリア抑留者たちの自作のスプーン【273】、国宝に指定された通潤橋(熊本・山都町)【271】、ヨコハマライブラリースクール(横浜市立図書館)【261】、アダム・スミスは一度も使っていない「神の見えざる手」【281】も取り上げました。

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなる本を紹介します。
 (過去の記事はこちらに掲載)
 https://food-mileage.jp/category/br/

−2023年の振り返り−

生産者はじめ敬愛する方々のご著書として、以下を紹介させて頂きました(敬称略)。
 山下惣一『百姓の遺言』【275】、菅野芳秀『七転八倒百姓記』【258】、後藤静彦『ヒヨコに賭ける熱き思い』【259】、梅原 彰『農業は生き方です』【276】、松尾康範『居酒屋おやじがタイで平和を考える』【260】
 また、白川真澄『脱成長のポスト資本主義』【267】、島村菜津『シチリアの奇跡』【268】、井出留美『あるものでまかなう生活』【277】も紹介させて頂きました

社会経済、あるいは文明といった広い視点から食や農に言及したものとしては、宮台真司『日本の難点』【264】、福岡伸一・伊藤亜紗・藤原辰史『ポストコロナの生命哲学』【272】、辻 信一『ナマケモノ教授のムダのてつがく』【269】、富山和子『水の文化史−4つの川の物語』【271】を紹介しました。
 高島善哉『アダム・スミス』【281】は1960年代の著書ながら、多くの示唆がありました。

世界的な食料問題等の関連では、阮 蔚『世界食料危機』【273】、堤 未果『ルポ 食が壊れる』【270】、ジェシカ・ファンゾ『食卓から地球を変える』【262】、自然栽培協会『農業と食の選択が未来を変える』【278】
 さらに、谷口信和ほか『食料安保とみどり戦略を組み込んだ基本法改正へ』【263】、谷口吉光編著『有機農業はこうして広がった』【266】、桐村里紗『腸と森の「土」を育てる』【265】も紹介しました。

徳冨健次郎『みみずのたはこと』【274】は、東京近郊農村地域の急激な変貌の様子のルポルタージュ。関 礼子編『福島からの手紙』【280】は、震災・原発事故から12年目の避難者の方たちの手記集です。
 文芸書は、徳冨の他は田口幹人『まちの本屋』【261】、向田邦子『父の詫び状』【279】の2冊にとどまりました。明年は、食や農を考えるヒントとなる小説等ももっと読んでいこうと思っています。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
 ○ 第3回「農ある講座 in 所沢」、tack farm(埼玉・鳩山町)のこと。[12/15]
 https://food-mileage.jp/2023/12/15/blog-479/

○ 顔の見える関係のこと、「お肉の情報館」見学など[12/22]
 https://food-mileage.jp/2023/12/22/blog-480/

▼ 筆者が関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 参加等を希望される際には、必ず事前に主催者にお問い合せ下さい。

〇 「人間とは何か?」研究会 集中セミナーシリーズ
 日時:主に12月と1月の土日祝
 場所:オンライン(Zoom)
 主催:共調的社会脳研究会
 (詳細、問合せ等↓)
 https://sites.google.com/view/csbg/seminar

○ 奥沢ブッククラブ第99回
 小川 糸『つるかめ助産院』
 日時:1月15日(月)19:00〜21:00
 場所:オンライン
 主催:奥沢ブッククラブ
 (詳細、問合せ等↓)
 https://www.facebook.com/events/1728539354316628/

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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
 ウクライナ、ガザ情勢ともに越年の模様。改めて一日、一時間も早い停戦を祈ります。
 ということで、2023年のコツコツ再開は叶わず。過去のアーカイブ以下に掲載しています。
 https://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.283は明年1月11日(木)[和暦 師走朔日]に配信予定です。引き続きよろしくお願いします。
 正確でより役に立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです(本メールに返信頂ければ筆者に届きます)。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。いつもありがとうございます。2024年版(「北斎手帖」とのこと)も求めさせて頂きました。
 https://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しており、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter −フード・マイレージ資料室 通信−【ID;0001579997】 
 発行者:中田哲也
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 ブログ「新・伏臥慢録〜フード・マイレージ資料室から〜」
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